大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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四章 魔族との和平交渉

第十九話 やはりすぐに仲良くとはいかない

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「これを付けていれば来客として扱われる。ただし、外したままだと十中八九襲われるから気を付けろ。良いな?」

 念を押されて渡されたのはアメジストがあしらわれたバッチだった。

「地上人はこの石をアメジストって言うんだっけ?この石はジースト王国の象徴なんだ」

「やっぱり鉱業が盛んなんだ」

「うん。他にもアダム鉱石っていう協力な武具を作る為に必要な鉱石もあるよ。まあ、希少だからアダム鉱石の武器は騎士でも使わないけど」

 アダム・・・いかにも神の力とかが宿ってそうな鉱石だ。

「それじゃあ、私は女王としての仕事があるので失礼する。夕飯時になったら飯と共にやってくる」

「一緒に食べるんだ・・・」

「何か問題でもあるのか?もしかして、地上人は誰かと一緒に食事を取るという文化は無いのか・・・?」

「いや、あるよ。あるんだけど、この国の統率者である女王が城に俺達を招いて食事するならまだしも、ここにきて食事は大丈夫なのかな・・・って」

「じゃあ、騎士団長としてくる」

 そう言ってアメリアは家を出ていった。都合の悪い場合は立場を上手く使い分ける。やはりできるな・・・。

「コウスケさん、この家の鍵はあるんで出かけてみません?折角苦労してやって来たんですし」

 ぴょんぴょんとウサギのように跳ねて提案してくるメアリー。確かに彼女の言い分には一理ある。ここに来るまで7人もの犠牲を出してきた。全ては地底人という謎の存在を調べる為。そして、今俺達は地底人の住む国に滞在している。地底人の町を歩いてどのような生活を送っているか調べるべきだろう。

「それじゃあ、行くか」

「はい!!」

 剣を腰に帯び、扉開け、外へと出る。家の中には荷物をある程度置いておいた為、戸締りはしっかりとしておく。

「えへへ~~別の国を観光なんて初めてです!」

「実は俺も初めて。あっちの世界にいた時は国内旅行ばっかりだったからな」

 ジースト王国の城下町は太陽が無いせいで光源が松明と光る石しかない薄暗い町だが、うす暗さに判比例するように町の人達の活気は素晴らしいものだった。

「いらっしゃい!いらっしゃい!今日の岩トカゲの肉は引き締まっていて噛み応え抜群だよ!!」

「ヌールの乳はいかが?今朝採れたての新鮮な乳だよ!!」

 基本的に売っているのは肉と乳製品。魚を売っている所はちらほらと見られるが、どれも高い上にあまり美味しそうな色をしていない。しかし、普段肉ばかり食べているからだろうか、魚を買う客がちらほらといる。

「はい、2000ファイね」

 聞きなれない単位が耳に入ってくる。ジースト王国のお金の単位だろうか?そういえば、今俺はフラム王国のアモしか持っていない。観光するにあたって、この国のお金は必要ではないのか?

「闘神ファイト―ルの名前のファイの部分を取ったんですかね?うちの国のアモと同じですね」

「面白い共通点だな」

 街並みを見ながら換金所はないか探してみる。流石に長く滞在してしまったせいで俺が地底人ではないと気づかれてしまったのか、奇異の目で見られ始めた。しかし、物理的な攻撃をしてくるわけではなく、ただ鋭い目線だけを送られ続けるのはアメリアから貰ったバッチのお陰だろう。

「換金所、換金所・・・って、あれ?」

 店の看板を巡る巡る見ていた時に気付く。ジーストで使われている言語はフラム語だと。今まで地底人とは会話しかしていなくて気が付かなかったが、違う文化のはずなのにフラム語が使われている。

「なあ、メアリー。フラム語が出来たのって大体何年前か知ってるか?」

「えっ?さ、さあ・・・でもフラムが出来たのは約500年前だったはず・・・」

 これはあくまで推測でしかないのだが、地底人は何らかの理由で地下にやってきたフラム人の末裔なのではないだろうか?500年もあればその場に適した進化は可能なはずなので有り得ない話ではないはずだ。

「進化とかそういうのは俺の専門外だからそこは他の人に任せるとしよう」

「?」

「いや、メアリーには関係のない話だから大丈夫だと・・・っと、見つけた見つけた。換金所だ」

 『信用換金所』。ベタな名前だし、胡散臭さが漂っている。本当に大丈夫だろうか?しかし、近くには代わりの換金所は無いし、怪しい換金所にはそこそこ人が入っている。

「仕方ない。ここで換金するか」

 幸いな事に換金する物はいっぱいある。それなりのお金になるはずだ。

「はぁい!いらっしゃいませ~~!今日はどのようなご用件・・・で・・・」

 初っ端から笑顔で出迎えてくれた職員の顔がどんどん青ざめていく。そして、最終的には尻もちをつき、壁まで逃げて行ってしまった。逃げた職員は酷く怯えた状態で大声で叫ぶ。

「ひ、ひぃぃ!地上人!!お願い!殺さないで!!」

 案の定、地上人の侵入者と疑われたようだ。しかし、俺の胸のバッチを見てすぐに落ち着きを取り戻す。

「あれぇ?来客のバッチィ?女王様が言ってた地上人のお客様ぁ?」

 既に国民には俺達がこの国にいるという事が知れ渡っているようだ。いちいち説明する手間が省けて助かる。

「実はこの国のお金を持っていないので、換金したいんですが・・・」

「ああ、換金・・・監禁ではなく、換金ですね。分かりました・・・」

 ブツブツと念仏のように何かを唱えながらカウンターへと歩いていく職員。驚くのは仕方ないが、お陰で入ってから間もないのに他の客から変な注目を浴びてしまった。

「では、換金したい物を置いて下さい」

 小さな革袋から小さな緑色の石を取り出す。ピーナッツ程の大きさしかないが、エメラルドである。依頼達成の30万アモの報酬金の代わりとしてもらったエメラルド。別の国に行く可能性があるからとすぐにアモに変えなくて本当に良かった。さあ!エメラルドよ!その価値を見せつけろ!!

「1万ファイになりますね」

「・・・へ?」

 1万ファイ?少なくね?いやいや待て。もしかしたらお金自体の価値が高いだけかもしれない。この国に林檎は売ってないので、宿に一泊する料金を聞こう。

「宿に一泊する時の料金ですか?ピンキリですが、一番お安い宿でしたら一泊5000ファイで泊まれますね」

「ご、5000ファイ!?ていう事はエメラルドを売っても2泊しか出来ないって事!?」

「は、はいぃぃぃ!すみませんんんん!!」

 何でだ!?このエメラルドは偽物だったというのか?いや、それはない。知り合いの商人に鑑定してもらった時は確かに本物だと言っていた。なら、何故・・・。

 この時、幸助の頭に過ぎるアメリアとの会話。この国は一体何処にあるのか。何が盛んなのか。これまでに手に入れた知識を使って見出す。

「そうか!この国は鉱業が盛んで宝石が山ほど採れるから、石ころ同然なんだ!!」

 どんなに綺麗な石でも、いくらでも取れたら希少価値は無くなる。突然だ。なら、ここで換金するのはやめておこう。そして、地底人にとって驚く程の価値を持つ地上には山ほどある物を出せば良いはずだ。例えば・・・。

「じゃあ、これならどうだ?」

「こ、これは・・・この色、形、匂い!!間違いない!これは・・・!!」

「薬草だ」

 途端、職員が椅子から転げ落ちる。地上にでたら山程手に入る薬草にだ。

「おおおおお客様!よろしいのでしょうか!?こんな貴重な品貰ってしまってもももももも!!」

「勿論!いくらで買い取ってくれる?」

「私の立場でギリギリ出せる50万ファイでどうでしょう?もし、よろしければオーナーに相談して・・・」

「良いですよ。50万で手を打ちましょう。それと、あともう5個付けておきますね」

「どひゃぁぁぁぁぁ!!」

 取り敢えず大金は手に入ったが、ジースト王国とフラム王国と交流ができたら、まず最初に薬草などの植物の価値を教える方が良いかもしれない。
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