大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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四章 魔族との和平交渉

第三十八話 ハリネズミは武器商人

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 蘭丸とボニーがノックを倒す十数分前。メアリーとアメリアは背中に剣や槍を無数に刺した男、ハリーと対面していた。

「で?アンタはアタシ達を馬鹿にしたけど、どうやって戦うんだ?」

「あるんだろう?他の異世界人のように魔力に依存しない力が」

 アメリアはここ半年間、ずっと幹部3人が率いる異世界人で構成された侵略軍と戦ってきたが、ハリーが戦ってい
る所を見た事が無かった。

「俺の力を見た事が無いぃぃ!そんな顔をしているが、そんな事はないぞぉぉぉ!お前は俺達がリーダーの軍団と何度も戦ってきたが、毎回のように能力を見ているぞぉぉぉ!」

「何?」

 そんなはずはない。今まで見たのは全て下っ端戦士の能力だけだった。幹部の能力はこの前初めてジールの能力を見たぐらいだ。

「お前は不思議に思った事はないかぁぁ?何故、戦士達を実力でボコボコにして追い払っても次の日には万全の状態でやってくるのかぁぁ」

 確かに不思議に思っていた。武器や鎧を破壊して、撤退させても、戦士達は数日後には鎧も武器もちゃんと揃えて私達の前へと現れた。

「その理由を聞きたいかぁぁぁ?それはなぁぁぁ」

 ハリーは、胸を広げるように両腕を広げると、宙に1本の剣、2本目の剣、3本目の槍と武器を次々と召喚し始めたんだ。

「俺が武器を作れるからだよぉぉぉ!!」

 召喚された武器達は矛先を私達の方に向けると、メアリーと私に向かって槍のように飛んできたんだ。

「あぶねっ!」

「見え見えだよっ!」

 メアリーは避け、私は弾いて落とす。驚いたが、不意打ちではない為、刺さる事はなかった。だが、この程度で終わる程、甘くないのは理解している。

「女だと思ってたが、この程度は動けるみたいだな!──────それじゃあ、これはどうだぁぁ!!」

 合計20本程度の斧が召喚される。斧はすぐには飛んでは来ず、しばらくの間宙で回転すると、回転を維持したまま飛んできた。一瞬でも当たったら血が噴水のように吹き出し、致命傷となるだろう。ヌールに乗ってこなくて良かったと思っている。中々の速度だったが、私達2人に傷をつけるには些か速度が足らな過ぎる。

「おいおい、どうした武器屋さん?その程度の速度しか出せないのか?だとしたらこっちが拍子抜けだぜ・・・」

「ああぁぁ・・・その通り。俺が作り出す武器の発射速度は僅か50キロ。とてもじゃないが、お前らを仕留められる速度じゃあ、無いぃぃ・・・俺の作った武器はなぁ・・・俺の意思でぇぇ自由に動かす事が出来るんだよ!!」

 言葉を言い終えた次の瞬間、隣にいたメアリーが悲鳴と血しぶきと共にうつ伏せになって倒れる。傷は脇腹に出来ており、何とも痛々しい。

「メアリー!大丈夫か!?」

「な、何とかな・・・」

 メアリーの真上から風を高速で斬る音が聴こえてくる。上を見上げると、先程避けた斧が浮いていた。刃の部分には血が付着しており、その血がメアリーの物だとすぐに理解した。どうやら、さっきの発言はハリーのハッタリではなく本当のようだ。

「アメリア!よそ見してんじゃねぇ!!」

 メアリーの忠告のお陰で私の後ろでも斧が背中を狙っている事に気付き、身体を沿って避ける。私とメアリーを襲ってきた2本の斧はハリーへと飛んで行くと、寸前で速度を落とし、ハリーの手の中に納まった。

「どうだぁぁぁ。これが俺の力だぁぁぁ!!」

「へっ!何が力だよ・・・ただのアモーラからのもらい物じゃないか」

 メアリー脇腹を抑えながら立ち上がると、バカにするように吐き捨てる。しかし、ハリーは怒る所かほくそ笑んでいた。

「そうさぁぁぁ。俺の武器を生み出す能力は確かにアモーラから貰ったものさ。楽に武器を作って売りさばいて楽に生活する為になぁぁぁ。だけど、俺はある日、この能力にそれ以上の価値があるんじゃないかと思い始め、活用方法を考え始めた。それがこの武器飛ばし・・・アモーラからも褒められたよ。『こんな使い方をした者は今までで貴方だけです』ってなぁぁ」

「つまり何が言いたいんだ?」

「他の異世界人は能力の価値を固定してしまってそれ以上の進化を求めないが、俺はちがぁぁぁう・・・。つまり、俺はどの異世界人よりも手強いってわけさぁぁぁ!!」

 自分の現状に満足せず、能力を極める。手強いのは確かだろう。しかし、だ。

「それなら何故、トップの座をジールに取られている?アイツも異世界人だろう?」

 アメリアのふと頭に思い浮かんだ疑問がハリーの心を傷つける。彼女が指摘した事は、ハリーが一番気にしている事だからだ。

「女騎士・・・お前は俺を怒らせた・・・怒らせたぁぁぁぁぁ!!」

 数えきれない程の武器が宙に作り出される。剣、槍、斧は勿論、戦槌、鎌、ガントレットまで生み出される。

「やばっ・・・!メアリー!助けて!!」

「任せろ!!『プロテクター』!!」

 アメリアの身体が見えない魔術の鎧に守られる。ついでに槍も魔術で短時間ながら丈夫になったようだ。

「これなら行ける・・・はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 アメリアは槍を両手で持ち、腕を前で伸ばすと、グルグルとプロペラのように回し始めた。すると、飛んできた武器は面白いくらい弾かれ目の前に落ちていく。

「くっ・・・!やるなぁぁぁ!だが、その程度で俺に勝てると思うなぁぁぁぁ。俺の武器作成は無限だz──────ぶへぇ!!」

 次々と武器を作り上げていたハリーが奇声を上げて吹き飛ばされる。同時に武器が飛んでくるのも収まった。

「ふう・・・さっきはよくも乙女の身体に傷をつけてくれたなぁ、クソハリネズミ・・・愛の告白をする前だってのによぉ!!」

「メ、メアリー!」

 吹き飛ばしたのはいつの間にか接近していたメアリーの拳の一撃だった。

「おおおおおお前ぇぇぇぇぇ!!よくも!よくもぉぉぉぉぉ!!」

「幽霊みたいな喋り方すんな!気持ち悪い!大体お前、隙だらけにも程があるんだよ!」

 メアリーはしっかりと観察していた。ハリーは武器を飛ばす事に必死過ぎて防御がザルになっている事に。そして、ヘイトがアメリアに全て向かっているのを上手く利用して急接近、そして顔面に重い一撃を入れる事に成功したのだ。ハリーにとってもかなりのダメージだったらしく、顎がずれてしまっている。

「アメリア!『どっちか囮作戦』だ!これは有効打だぞ!」

「流石私の親友。最高の作戦を考えるね」
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