42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太

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1章 投げる冒険者

28話 攻守交替

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 現時点での俺の最高速度は時速141キロ。コボルトやコオロギの魔物を殺していた事から分かる様に、普通に生物を殺せる威力だ。

 勿論、手加減して投げる事も出来る。しかし、コオロギの魔物達は決して怠慢投球を許さないだろう。もし、そんな事をした場合、俺は殺される。その後に用無しとなったヘリナ先輩は殺される。つまり、俺には選択肢は残されていないというわけだ。

 ・・・コオロギの魔物達から見たら。返却して貰った鉄球の入った革袋。野球ボールサイズの鉄球が5個入る様に作ったハンドメイドの革袋だ。しかし、鉄球は3つしか入れていないにもかかわらずパンパンになっている。それは何故か?数を偽る為?違う。別の物を入れる為だ。

 革袋に手を突っ込み、中に入った5個の内、1個を取り出し、手の中に収める。何を手に取ったか分からないようにしっかりと手で隠しながら入れた為、コオロギの魔物達は俺を何にも疑っていない。

 何を手に取ったのか気づかれないまま、膝を折り曲げるように右足を持ち上げ、前へと大きく踏み込む。踏み込んだ足に体重を乗せ、左手に握った物を上から下に投げるようにして球を放つ。オーバースローと呼ばれるフォームだ。

 前世の中学の頃から使っていたフォーム。これ以外のフォームも試した事はあるけど、死球数が増えてしまうのが大体。球速も出るので、今後も変える事はないだろう。

 球はヘリナ先輩の顔面のど真ん中に命中。ヘリナ先輩の端正な顔立ちは、ひき肉のようにミンチには・・・ならなかった。

 コオロギの魔物達は何故?という顔をしていた。俺は全力で投げたし、しっかりと当てる気満々だった。しかし、ヘリナ先輩の顔からは脳も血も飛び出していない。何故なら、今俺が投げたのは鉄球ではなく、中に綿がぎっしりと詰まったただの布袋だからである。

 魔物達がそれに気づいたのは、布袋が足元にコロコロと転がってきた時だった。魔物達は怒り狂ったが、次の瞬間、ヘリナ先輩の周りにした複数体の首は宙を舞う。

「・・・おはよう」

「おはようございます、ヘリナ先輩」

 首を斬ったのは、ヘリナ。彼女は直前まで眠っていた事を疑われるくらい物凄い速度で覚醒し、コオロギの魔物に反撃したのだ。

「アンタが起こしてくれたの?」

「はい。まあ、手が使えなかったんで、魔法でね」

 魔法は物に付与する事が出来る。ファルコは布袋を投げる前に魔法をかけていた。その魔法とは、リカバリー。魔法によって起きてしまった状態異常を瞬時に治す回復魔法の一種。それを込めた布袋をヘリナにぶつけた事によって、瞬時に目を覚ます事に成功したのだ。

「調子はどうです?」

「最高。何分寝てた?」

「多分、10分くらい」

「全滅させるには十分・・・!!」

 さあ、次はこっちが攻撃の番だ。
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