42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太

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4章 偽りの歴史

167話 好きな事で戦っていく

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「抵抗感はあったよ。なんたって自分の好きな事で生き物・・・果てには人を殺してるんだから」

 連続するようにボールがナックルのグローブの中にすっぽりと入る。

「でも、俺にはこれしか無かった。前世では他の事をやってこなかったわけだしね」

「辛くはないんですが?」

「辛くはあるけど、いつもではないかな?寝ようとしている時、ふと思い出すくらいだね。普段辛さが出てこないのは、仕事だと割り切ってるからだと思う」

「その割り切りの技術は、プロやってたからですか?」

「分かんないや。いつのまにかこうなってたからね」

 その言い方からして、ナックルも多分・・・。

「抵抗感があるの?好きなスポーツを殺しの道具にしてるのが」

3球目。先程よりもキレが良くなった。球速は142キロ。

「ファルコさんは僕と一緒に戦ってたからわかりますよね?僕が棍棒を振るっている姿を・・・」

「ああ・・・あれは完全にノンステップ打法を応用してるね」

 恐らく、俺と同じで体に染み付いてしまっているのだろう。ノンステップ打法が。

「棍棒を使ってノンステップ打法が自然と出ちゃう事に気づいた時、他の武器を使おうと思ったんです。でも、気づくのが遅かった。気づいた時には既に僕は棍棒使いで知名度を得ていました」

 俺とは違い、最初から気づけなかったのか。そのまま気づかなければ良かったのだろうが、俺とのファーストコンタクトの際、彼は俺の鉄球を打ち返した。その時に嫌が応でも気づいてしまっただろう。

「戦っている時、苦しそうな顔をしているのもそれが原因?」

 4球目・・・先程よりもキレがなくなってしまったが、キレイに入った。

「もしかして顔に出てましたか?言われたことがないので気づけませんでした」

「まあ、戦ってる時に苦しい表情する人は結構いるからね。指摘されないのも当然だし、俺も今まで気づけなかったよ」

 彼が一刻も早く戦いを終わらせたい理由が今、分かった気がする。好きな事を殺しの道具にすることを彼はいち早く終わらせたいんだ。

「そういう辛い時は、どうしているの?」

「壁当てしたりして気を紛らわせています。好きなことを武器にした事実を誤魔化す為に好きな事をする・・・ちょっと変ですかね?」

「いいや、全然変じゃないさ。むしろ良いと思う。それに、今は壁当てじゃなくてキャッチボールができるじゃないか。俺と、ナックルでね」

 5球目。キレも良く、まっすぐ飛んでいった。151キロ。142から一気に飛躍したな。

「よしっ!感覚は掴んだ!!今日はこの辺で終わりにしよう!!」

「はいっ!!ありがとうございました!」

 お礼を言うのはこっちの方だというのに、ナックルは律儀にお礼を言ってきた。その顔は、顔色は悪いのに、とても明るく眩しかった。
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