異世界と繋がる不思議な門を警備する仕事に就きしました!

町島航太

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1章 就職!異世界の門日本支部!

11話 入国審査 part2

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「ええと、ケルービさんでよろしいでしょうか?」

「はいー!そうですーよろしくおねがいしますー」

 口には出さないが、胡散臭いを擬人化したような人だ。それに、背中に背負っているバッグ、とても大きい。

「ケルービさんはどのような目的での入国ですか?」

「はいっ!私、商人でしてー、ザナの珍品を売りに参りましたー!あっ、因みにこちらが勤労ビザです~」

 勤労ビザの偽造は・・・していないようだ。正真正銘本物の勤労ビザだ。

「因みに門番さんはリオ人さんですか?」

「ええ、そうですけど・・・何か問題でも?」

「いえいえ!何もございません!ただただ気になっただけでございます!」

 リオ人はザナには比較的少ないので、珍しいのだろうか。いや、大して顔立ちに違いがないはずなので物珍しさはないはずだが・・・。

「では、次に持ち物検査を行います。背負っているバッグを下ろして中身を見せてください」

「はいはい!勿論!モチロン!」

 ケルービさんも快く自分の荷物を差し出してきた。先程とは違って今回の相手は商人。処分しなくちゃいけない品が最低でも1つは出てくるだろう。

 そう覚悟しながらバッグを開くと、今までの彼の俺に対する程度の理由が分かった気がした。

 少しバカにされた気分にさらされてイラつきながらも、深呼吸で心を整え、バッグを指差し、言い放つ。

「『レヴァーレ』」

「やべっ・・・!!」

 解除の魔術を呟き、発動させると、バッグの中に突如として木製の虫籠が現れる。慌てて隠そうとするケルービよりも早く虫籠を取り、中身を確認する。

 中に入っていたのは黒いツヤのある上羽に天使の羽の模様が描かれた逞しいカブト虫だった。

「ケルービさん、これは、何でしょうか?」

「ええと、それは・・・」

 答えを渋るケルービ。異変に気づいたシャープ君が虫籠の中を見て、大声を浴びた。

「あぁー!!ルシフェルオオカブト!一部のエルフの森に生える木の樹液にしか現れない激レア昆虫じゃん!どうしてこんなレア物がこんな所に!!」

「ルシフェルオオカブト?」

「うん!絶滅危惧種に指定されてる昆虫で、裏取引だと都会に家が建てられるくらいの値段で取引されてるって噂の幻のカブト虫だよ!持ち込みは勿論だけど、捕獲も禁止されてるのにどうやって・・・」

「ケルービさん?」

「ちぃっ!リオ人の癖に魔術が使えるとか聞いてねぇぞ!おい!お陰で計画が台無しじゃないか!!」

「やっぱり!俺がリオ人なのか聞いた理由はそれか!」

 ケルービの目論見は恐らく、魔術が使えない(と思ってた)リオ人の門番に持ち込み審査を行なってもらい、カブト虫をバレずに持ち込む事。

 バッグを開けた時点でなんとなくは察したが、バカにされた気分で何だがすごく腹が立つ。

「シャープ君、ちょっと主任呼んできて」

「OK!任せてよ!!」

 審査室を出て、報告しに向かうシャープ。ケルービは既に四面楚歌。逃げる事ができないわけだが、薄ら笑いを浮かべている事からまだ諦めていない模様。

「仕方ない!だ!皆これで死んじまえ!!」

 そう言ってケルービが取り出したのは土色一色のルービックキューブ。硬そうなそれを地面に向かって叩きつけるように投げると、突如として光り出し、巨大化を始める。

 ルービックキューブは複数の正方形に分裂し、人に違い形を取り、俺達の前へと立ち塞がった。

「これこそ私の最強の携帯式ボディーガード!ルービックゴーレム!!さあ、抹殺しろ!!」
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