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4章 最終防衛戦門
17話 砂嵐を鎮める
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「Wooooooooom!!」
「シャープ!狙われてるぞ!!」
「分かった!!」
5m級のサンドワームの物理攻撃は、巨体を鞭のようにしならせてぶつけるもの。人間の膂力では防ぎきれない上に、潰されてしまう。
攻撃を防ぐ方法は現状無い。避けるのみだ。
「よいしょ!!」
某アクションRPGのようにパリィで受け流す事は出来ないが、避けてからの攻撃で何とか応戦。潰そうとしてきたサンドワームの体に一突き加えようとするが────
「硬い!すっごい硬いよヒスイ!!まるで岩のような皮膚だ!!」
「サンドワームってそんなに硬かったっけ?」
「改造されたからじゃない?いよいよアタシ達、物理攻撃専門者の役割が無くなり始めた感じ?」
「そうでもないっすよ先輩。ちょっと見ててください」
ボウガンからボルトを放つ虹村さん。虹村さんの放ったボルトは、先程シャープがハルバードを刺した箇所に命中。ほんの少しだが、出血した。
「硬いのは表面だけ。中身がそうでもない感じっす。なので、我々の存在もいらないというわけではないと考えます」
「なるほど!サンキュー!早めに気づけて良かったよ!!」
倒せないという絶望的展開はなさそうで少しほっとする。すると、ここで────
「『雷の魔術』!!」
リリの魔術が炸裂。最初は雷。死にボルトと呼ばれる42Vは軽く超えた200Vは優に超えていたと思う。巨体の敵にも有効打だと思うのだが、サンドワームには何も効果なし。雷ではない模様。
「砕けろぉぉぉぉ!!」
モネさんのモーニングスターの棘が深々とサンドワームに刺さる。かなり気合を入れて振り下ろしたのだろう。一撃で硬い皮膚を破壊し、出血させた。
「ヒスイ!来い!」
「分かった!!」
モーニングスターは強力だが、棘はそこまで長くはない。なので、刺さってもそこまで深くは刺さらない。
一方、翡翠の使用するのは打刀・紫陽花。溶けてしまった柄も新品の物に変えてもらい、握りやすくなった一振り。
日本刀は古来より、斬る事と、突く事に特化した武器。既に装甲が剥げた部分を貫く事なんて容易なのだ。
「Woooooooooooooooommm!!!」
「やっと叫んだか・・・リリ!準備はできた?」
「もちろん!!『風の魔術』!!」
皮膚を容易に引き裂き、鉄の塊も吹き飛ばせるであろう台風のような強力な風がサンドワームを襲う。しかし、こちらも効果なし。
「ええー!そんなぁ・・・後残ってる属性魔術は炎系の魔術だけ。でも、サンドワームは耐熱を持ってるだろうし・・・」
「ですが、試してみても良いのではないでしょうか?特定の属性魔術を浴びたら強くなるエレメント系の魔物ではありませんし・・・」
「シュエリ・・・そうだね!ヒスイ!もう1回やってみるよ!!」
「オッケー!なる早でお願い!!」
リリになるべく敵意が向かないように、サンドワームを挑発しながら、攻撃を避け続ける。サンドワームに一体どれほどの知能が備わっているのかは不明だが、思い通りに獲物を仕留められなければ、イラつきは溜まっていくもの。サンドワームの攻撃は激しさを増していく。
巨大な鞭攻撃は、地面を抉り、壁を破壊していく。このままサンドワームの攻撃が続いたら、俺達の前に壁が先に駄目になってしまう。
けれども、攻撃を防ごうとしたら、一発であの世行き確定。リリの魔術行使を待つしか────。
「リリック!今すぐそこを離れな!!」
モネさんの怒号のような叫びが響く。彼女が声を荒らげたのは、サンドワームの攻撃が、リリに向かっているからである。故意に狙ったわけではなく、攻撃した方向にリリがいたという方が正しいだろう。
そんな方向に攻撃をさせてしまった俺の責任でもある。魔族の体は他種族に比べて非常に頑丈だが、絶対に死なない体ではない。しかも、リリは戦士タイプではなく、魔術師タイプで、肉体は鍛えていない。あの一撃を喰らったら確実に死ぬだろう。
そう考えた時には既に体が動いていた。意思とは無関係にではない。反射的に体が動き、足で飛び、壁の上に着地し、リリの前に立っていた。
モネさんの声に反応しないのは、目を瞑り、魔力に全集中を注いでいたから。もう、リリを担いで別の場所に避難する事は時間的にできない。それなら、俺が守るしかない。
「トゥエレェッ!!!」
防御魔術で体を守る。物理攻撃から身を守ると言っても、勿論限界は存在する。その限界は、使用者の才能と、使用魔力量に依存する。
今、俺が使用した魔力の量は、咄嗟に出したものの為、大した事はない。魔術に関しては凡才でもある為、防御魔術で作った結界は大した事がない。
本当に申し訳なさ程度の守りなのだ。守り切れないと分かったから、俺は無意識に手を前に出してしまった。躓いて、転んだ時、地面への衝突を避ける時のように。
手から腕にズシリと重たい物が乗っかる。サンドワームの鞭のような体当たりだ。このまま俺は、リリと一緒に叩き潰されてしまうのだろう。
「・・・・・・」
あれ?死んでなくないか?ちゃんと生きてない?俺・・・。
潰れてもいないし、骨も折れていない。ちょっと衝撃がきつかっただけ。
目を開いて確認すると、俺の両腕が、サンドワームの攻撃を受け止めていた。人を一瞬で平にしてしまうような力で放たれた一撃をたかが人間ごときが止めていた。
「オッケー!準備万端!いつでも撃てる・・・って、ヒスイ!?どうして!?」
「ごめん!俺にも分からない!!それより早くフランマを!!」
「あ、ごめん!!『フランマ』!!」
直径40cm級の火球がサンドワームに向かって飛んでいく。直撃した火球は、サンドワームの体を火だるまにする。
「Woooooooooommmmm!!!」
弱点の水が効かないどころか、雷と風も効かなかった化け物性能のサンドワームは、一番耐性を持っているであろう火によって、その命を落とした。
「シャープ!狙われてるぞ!!」
「分かった!!」
5m級のサンドワームの物理攻撃は、巨体を鞭のようにしならせてぶつけるもの。人間の膂力では防ぎきれない上に、潰されてしまう。
攻撃を防ぐ方法は現状無い。避けるのみだ。
「よいしょ!!」
某アクションRPGのようにパリィで受け流す事は出来ないが、避けてからの攻撃で何とか応戦。潰そうとしてきたサンドワームの体に一突き加えようとするが────
「硬い!すっごい硬いよヒスイ!!まるで岩のような皮膚だ!!」
「サンドワームってそんなに硬かったっけ?」
「改造されたからじゃない?いよいよアタシ達、物理攻撃専門者の役割が無くなり始めた感じ?」
「そうでもないっすよ先輩。ちょっと見ててください」
ボウガンからボルトを放つ虹村さん。虹村さんの放ったボルトは、先程シャープがハルバードを刺した箇所に命中。ほんの少しだが、出血した。
「硬いのは表面だけ。中身がそうでもない感じっす。なので、我々の存在もいらないというわけではないと考えます」
「なるほど!サンキュー!早めに気づけて良かったよ!!」
倒せないという絶望的展開はなさそうで少しほっとする。すると、ここで────
「『雷の魔術』!!」
リリの魔術が炸裂。最初は雷。死にボルトと呼ばれる42Vは軽く超えた200Vは優に超えていたと思う。巨体の敵にも有効打だと思うのだが、サンドワームには何も効果なし。雷ではない模様。
「砕けろぉぉぉぉ!!」
モネさんのモーニングスターの棘が深々とサンドワームに刺さる。かなり気合を入れて振り下ろしたのだろう。一撃で硬い皮膚を破壊し、出血させた。
「ヒスイ!来い!」
「分かった!!」
モーニングスターは強力だが、棘はそこまで長くはない。なので、刺さってもそこまで深くは刺さらない。
一方、翡翠の使用するのは打刀・紫陽花。溶けてしまった柄も新品の物に変えてもらい、握りやすくなった一振り。
日本刀は古来より、斬る事と、突く事に特化した武器。既に装甲が剥げた部分を貫く事なんて容易なのだ。
「Woooooooooooooooommm!!!」
「やっと叫んだか・・・リリ!準備はできた?」
「もちろん!!『風の魔術』!!」
皮膚を容易に引き裂き、鉄の塊も吹き飛ばせるであろう台風のような強力な風がサンドワームを襲う。しかし、こちらも効果なし。
「ええー!そんなぁ・・・後残ってる属性魔術は炎系の魔術だけ。でも、サンドワームは耐熱を持ってるだろうし・・・」
「ですが、試してみても良いのではないでしょうか?特定の属性魔術を浴びたら強くなるエレメント系の魔物ではありませんし・・・」
「シュエリ・・・そうだね!ヒスイ!もう1回やってみるよ!!」
「オッケー!なる早でお願い!!」
リリになるべく敵意が向かないように、サンドワームを挑発しながら、攻撃を避け続ける。サンドワームに一体どれほどの知能が備わっているのかは不明だが、思い通りに獲物を仕留められなければ、イラつきは溜まっていくもの。サンドワームの攻撃は激しさを増していく。
巨大な鞭攻撃は、地面を抉り、壁を破壊していく。このままサンドワームの攻撃が続いたら、俺達の前に壁が先に駄目になってしまう。
けれども、攻撃を防ごうとしたら、一発であの世行き確定。リリの魔術行使を待つしか────。
「リリック!今すぐそこを離れな!!」
モネさんの怒号のような叫びが響く。彼女が声を荒らげたのは、サンドワームの攻撃が、リリに向かっているからである。故意に狙ったわけではなく、攻撃した方向にリリがいたという方が正しいだろう。
そんな方向に攻撃をさせてしまった俺の責任でもある。魔族の体は他種族に比べて非常に頑丈だが、絶対に死なない体ではない。しかも、リリは戦士タイプではなく、魔術師タイプで、肉体は鍛えていない。あの一撃を喰らったら確実に死ぬだろう。
そう考えた時には既に体が動いていた。意思とは無関係にではない。反射的に体が動き、足で飛び、壁の上に着地し、リリの前に立っていた。
モネさんの声に反応しないのは、目を瞑り、魔力に全集中を注いでいたから。もう、リリを担いで別の場所に避難する事は時間的にできない。それなら、俺が守るしかない。
「トゥエレェッ!!!」
防御魔術で体を守る。物理攻撃から身を守ると言っても、勿論限界は存在する。その限界は、使用者の才能と、使用魔力量に依存する。
今、俺が使用した魔力の量は、咄嗟に出したものの為、大した事はない。魔術に関しては凡才でもある為、防御魔術で作った結界は大した事がない。
本当に申し訳なさ程度の守りなのだ。守り切れないと分かったから、俺は無意識に手を前に出してしまった。躓いて、転んだ時、地面への衝突を避ける時のように。
手から腕にズシリと重たい物が乗っかる。サンドワームの鞭のような体当たりだ。このまま俺は、リリと一緒に叩き潰されてしまうのだろう。
「・・・・・・」
あれ?死んでなくないか?ちゃんと生きてない?俺・・・。
潰れてもいないし、骨も折れていない。ちょっと衝撃がきつかっただけ。
目を開いて確認すると、俺の両腕が、サンドワームの攻撃を受け止めていた。人を一瞬で平にしてしまうような力で放たれた一撃をたかが人間ごときが止めていた。
「オッケー!準備万端!いつでも撃てる・・・って、ヒスイ!?どうして!?」
「ごめん!俺にも分からない!!それより早くフランマを!!」
「あ、ごめん!!『フランマ』!!」
直径40cm級の火球がサンドワームに向かって飛んでいく。直撃した火球は、サンドワームの体を火だるまにする。
「Woooooooooommmmm!!!」
弱点の水が効かないどころか、雷と風も効かなかった化け物性能のサンドワームは、一番耐性を持っているであろう火によって、その命を落とした。
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