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五章妖精達の森
妖精達の宴
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絵でも見ているかと思った。それほどにまで彼女は美しかった。
可愛いと思った事は何回もある。数えきれないくらい。
だが、美しいと感じたのは初めて出会った時以来かもしれない。
「どうかな・・・?」
そこにはいつもの人懐っこい猫ような可愛いシトラではなく、金の髪に新緑のドレスを纏った美少女が立っていた。
「綺麗だ・・・」
柄にもなく僕は美という物に感動していた。今までそんな事無かったというのに。
「シトラは昔から緑が本当に似合うからな。いつかの為に発注しておいて良かったよ」
いつも店でしているエプロン姿も良いが、ドレス姿も高貴な雰囲気が出ていてとても良い。
メスールさんには感謝しかない。
「歩も似合ってるじゃん!歩は黒の服が1番似合うね」
「そうかな?ありがとう」
本当は青が好きなのだが、何故か他人から黒が1番似合うと言われる。
青髪の魔女からもらった鎧を纏った時もそうだった。黒い鎧が強さを引き立てていると。
別に黒は嫌いではないが、好きな色が似合ってるいると言われたい歩である。
「暗くなる前に写真を撮ろう!美男美女が並んでいるんだ。撮らないなんて奴はいないさ」
美男と言われて少し照れながらもシトラに近づいて背すじを伸ばす歩。
パシャりとエデンの世界では1、2西紀前くらいの大きなカメラで写真を撮る。
すぐに写真として出てくるカメラのようで出来上がった写真を見てみる。
何となく予想はしていたが、写真は白黒だった。
メスールさんは白黒の写真を不満げに見ている。
「歩君、シトラが送ってきてくれた写真は色がついていたが、そちらの方が技術が進歩しているのかね?」
「はい、かなり進んでいるはずです・・・何なら僕が持参したカメラで撮りませんか?」
「エデンのカメラ?見せてくれ」
ちょっと待って下さいねと言いながら歩がポケットから出したのはカメラではなく、スマホだった。
「これがカメラなのかい?」
「本当は繋りの石のような物なのですが、連絡以外にも色んな機能がついているんです」
「私達の世界もいつかこんな物が出るのかしらね?」
スマートフォンに皆は興味津々である。それも仕方がない。僕がメスールさん達の立場だったら同じように興味を示している。
「ここのボタンを押したら写真が撮れるので・・・」
「かしこまりました」
カメラ担当のメイドにスマホでの撮影を簡単に教えて再び撮影開始。
今回は僕だけでなくメスールさんとレムルさんも一緒である。
パシャリ!スマホのカメラレンズが光る。
「これで良いのでしょうか?」
「どれどれ・・・」
撮れた写真を確認・・・完璧だ!
「おや?写真は出てこないのかね?」
「デジタルっていうこのカメラとはまったく違う技術が使われてまして。写真が手元にくるには少し段取りが必要なんです」
「あら、そうですの。もし良かったらあちらから送って下さる?」
「勿論ですとも!もし良ければ後でメイドさん達も撮りましょう」
「ええ、良いですわ!そろそろメイドの全員集合写真を撮りたいと思っていた所なんです!」
話で盛り上がっていると従者が馬車を引き連れて屋敷前にやって来た。
デザインは全く違うがシンデレラを彷彿とさせる。
「では、行ってくる。留守は頼んだぞ」
「行ってらっしゃいませ」
メイド達が頭を下げる中、歩達は馬車に乗ってエルフの城へと向かっていった。
★
「エルフ城に着きました」
馬車に揺られる事1時間。ついにエルフの王が住まう城エルフ城へと到着した。
馬車の中に明かりがあったから気づかなかったのだが、外はもう暗かった。
1時間座っていた身体を背伸びして伸ばす。シトラも歩に並んで背伸びをする。
「久しぶりの馬車はキツいわー。車って本当に便利な乗り物だって分かるわね!」
「それには同感だな。でも馬車はそうそう経験出来る物じゃないから乗れて良かったよ」
移動に馬車を使っている国はエデンに果たしてあるだろうか?フランスとかならありそう。
「にしても僕場違いじゃないかな?」
辺りを見回して見ると美しいドレスに身を包んだ貴族の女性やタキシードが似合う貴族の男性がちらほらといる。
それに対して僕はどうだろうか?どことなく田舎者のような顔をしている僕は果たして見ていて情けないだろうか?
「そんな事ないよ。多分その考え逆だよ?」
「逆って?何が?」
「城に入ったら分かるよ。ほら、早く行こ!」
「2人共!気を付けなさい!」
「大丈夫だよ。シトラと歩君だって子供じゃないし」
レジェドも剣を持って後についていく。
レジェドがついていくのを見てホッと安心するメスール夫婦。
2人は顔を見合うと仲良く城の中へと入っていった。
「凄い・・・まるで芸術だよ・・・」
城に入った瞬間、あまりの美しさにタメ息をつく歩。
夜空に輝く星のように宝石を埋め込まれた柱、汚れ1つ無い床、シンプルながらも天使の羽のように真っ白な壁。
どれを取っても百点満点だ。
「あれ?もしかしてシトラ?」
「メリッサじゃん!久しぶり~!」
突然現れたどこかの家のお嬢様。シトラの反応からして知り合いのようだ。
「1年半?ぶりねー!メスールさんから聞いたよ!エデンの方で恋人見つけて一緒に暮らしてるんだって?」
「うん。今アタシの横にいるのがその人よ」
「えっ!?嘘!?めっちゃ可愛いじゃん!!」
「へっ!?」
シトラの友人のメリッサさんが顔を赤らめてこっちへと近づいてくる。ふんわりと甘い香水の匂いが漂う。
メリッサさんもシトラには劣るが(歩の目から見たら)とても美人だ。やはりエルフという種族は顔立ちが整っている。
「どうも~私シトラの友達のメリッサって言いまーす!どうぞよろしくー!」
「初めまして、小野山歩です。気軽に歩とお呼びください」
何とか動揺を隠しながらメリッサさんの手を握って握手をする。
ブンブンと握手するメリッサに少し戸惑い気味の歩。シトラはニコニコと横で笑っている。
「あら?可愛い顔して意外に力強いわね?少しレベルを拝見しても?」
「はい、構いませんよ」
メリッサさんもステータスカードの持主のようで少し離れてサーチを発動する。
サーチで僕のレベルを見たのだろう。驚愕を顔いっぱいに表していた。
「78・・・?嘘でしょ・・・」
「どう?アタシの旦那。しかも料理も出来るんだよ!」
「完璧な人捕まえたわね!ナイスファイトシトラ!」
メリッサさんはそう言うとグータッチをシトラに求め、快くシトラはグータッチをする。
僕も求められたのでグータッチをすると、メリッサさんに耳元で囁かれる。
「絶対にシトラから離れないようにしなさい。エルフの女は君みたいな顔の男の子が大好物だから・・・」
「え・・・?あ、はい」
ようやく先程のシトラの発言の意味が理解出来た。
つまり僕はあれだ。エルフの女性が好む顔立ちをしているんだ。
恋人であるシトラの隣から離れたりしたら襲われる可能性がある。メリッサさんは警告してくれたのだ。
「ね?分かったでしょ?」
「ああ、うん。すんごい怖くなってきた」
果たして僕は自分の貞操を守る事が出来るのであろうか。
「だ・か・ら!もっと近付いて歩こ?」
「そうするよ」
シトラはいつもの小悪魔のような笑みを見せると僕の腕に絡み付いてくる。シトラの胸が腕にがっつりと言わんばかりに当たって赤面してしまうが、意識しないようにする。
「あの娘メスールさんの娘さんじゃなくて!?」
「じゃあ、隣にいるのは恋人?滅茶苦茶可愛いじゃない!!」
「あんな良い子何処で見つけて来たのよ・・・」
「エデンらしいわよ」
「ちょっと私エデンに旅行しに行こうかしら?」
ヒソヒソとセレブ達の話し声が聞こえてくる。どうしようメリッサさんの言う通りだ・・・。
「本当に気を付けてね歩。今日集まってる人達かなり獣かも・・・」
「絶対に離れないし、絶対に離れたくない」
今回のパーティー。魔物との戦いよりも危険かもしれない?
可愛いと思った事は何回もある。数えきれないくらい。
だが、美しいと感じたのは初めて出会った時以来かもしれない。
「どうかな・・・?」
そこにはいつもの人懐っこい猫ような可愛いシトラではなく、金の髪に新緑のドレスを纏った美少女が立っていた。
「綺麗だ・・・」
柄にもなく僕は美という物に感動していた。今までそんな事無かったというのに。
「シトラは昔から緑が本当に似合うからな。いつかの為に発注しておいて良かったよ」
いつも店でしているエプロン姿も良いが、ドレス姿も高貴な雰囲気が出ていてとても良い。
メスールさんには感謝しかない。
「歩も似合ってるじゃん!歩は黒の服が1番似合うね」
「そうかな?ありがとう」
本当は青が好きなのだが、何故か他人から黒が1番似合うと言われる。
青髪の魔女からもらった鎧を纏った時もそうだった。黒い鎧が強さを引き立てていると。
別に黒は嫌いではないが、好きな色が似合ってるいると言われたい歩である。
「暗くなる前に写真を撮ろう!美男美女が並んでいるんだ。撮らないなんて奴はいないさ」
美男と言われて少し照れながらもシトラに近づいて背すじを伸ばす歩。
パシャりとエデンの世界では1、2西紀前くらいの大きなカメラで写真を撮る。
すぐに写真として出てくるカメラのようで出来上がった写真を見てみる。
何となく予想はしていたが、写真は白黒だった。
メスールさんは白黒の写真を不満げに見ている。
「歩君、シトラが送ってきてくれた写真は色がついていたが、そちらの方が技術が進歩しているのかね?」
「はい、かなり進んでいるはずです・・・何なら僕が持参したカメラで撮りませんか?」
「エデンのカメラ?見せてくれ」
ちょっと待って下さいねと言いながら歩がポケットから出したのはカメラではなく、スマホだった。
「これがカメラなのかい?」
「本当は繋りの石のような物なのですが、連絡以外にも色んな機能がついているんです」
「私達の世界もいつかこんな物が出るのかしらね?」
スマートフォンに皆は興味津々である。それも仕方がない。僕がメスールさん達の立場だったら同じように興味を示している。
「ここのボタンを押したら写真が撮れるので・・・」
「かしこまりました」
カメラ担当のメイドにスマホでの撮影を簡単に教えて再び撮影開始。
今回は僕だけでなくメスールさんとレムルさんも一緒である。
パシャリ!スマホのカメラレンズが光る。
「これで良いのでしょうか?」
「どれどれ・・・」
撮れた写真を確認・・・完璧だ!
「おや?写真は出てこないのかね?」
「デジタルっていうこのカメラとはまったく違う技術が使われてまして。写真が手元にくるには少し段取りが必要なんです」
「あら、そうですの。もし良かったらあちらから送って下さる?」
「勿論ですとも!もし良ければ後でメイドさん達も撮りましょう」
「ええ、良いですわ!そろそろメイドの全員集合写真を撮りたいと思っていた所なんです!」
話で盛り上がっていると従者が馬車を引き連れて屋敷前にやって来た。
デザインは全く違うがシンデレラを彷彿とさせる。
「では、行ってくる。留守は頼んだぞ」
「行ってらっしゃいませ」
メイド達が頭を下げる中、歩達は馬車に乗ってエルフの城へと向かっていった。
★
「エルフ城に着きました」
馬車に揺られる事1時間。ついにエルフの王が住まう城エルフ城へと到着した。
馬車の中に明かりがあったから気づかなかったのだが、外はもう暗かった。
1時間座っていた身体を背伸びして伸ばす。シトラも歩に並んで背伸びをする。
「久しぶりの馬車はキツいわー。車って本当に便利な乗り物だって分かるわね!」
「それには同感だな。でも馬車はそうそう経験出来る物じゃないから乗れて良かったよ」
移動に馬車を使っている国はエデンに果たしてあるだろうか?フランスとかならありそう。
「にしても僕場違いじゃないかな?」
辺りを見回して見ると美しいドレスに身を包んだ貴族の女性やタキシードが似合う貴族の男性がちらほらといる。
それに対して僕はどうだろうか?どことなく田舎者のような顔をしている僕は果たして見ていて情けないだろうか?
「そんな事ないよ。多分その考え逆だよ?」
「逆って?何が?」
「城に入ったら分かるよ。ほら、早く行こ!」
「2人共!気を付けなさい!」
「大丈夫だよ。シトラと歩君だって子供じゃないし」
レジェドも剣を持って後についていく。
レジェドがついていくのを見てホッと安心するメスール夫婦。
2人は顔を見合うと仲良く城の中へと入っていった。
「凄い・・・まるで芸術だよ・・・」
城に入った瞬間、あまりの美しさにタメ息をつく歩。
夜空に輝く星のように宝石を埋め込まれた柱、汚れ1つ無い床、シンプルながらも天使の羽のように真っ白な壁。
どれを取っても百点満点だ。
「あれ?もしかしてシトラ?」
「メリッサじゃん!久しぶり~!」
突然現れたどこかの家のお嬢様。シトラの反応からして知り合いのようだ。
「1年半?ぶりねー!メスールさんから聞いたよ!エデンの方で恋人見つけて一緒に暮らしてるんだって?」
「うん。今アタシの横にいるのがその人よ」
「えっ!?嘘!?めっちゃ可愛いじゃん!!」
「へっ!?」
シトラの友人のメリッサさんが顔を赤らめてこっちへと近づいてくる。ふんわりと甘い香水の匂いが漂う。
メリッサさんもシトラには劣るが(歩の目から見たら)とても美人だ。やはりエルフという種族は顔立ちが整っている。
「どうも~私シトラの友達のメリッサって言いまーす!どうぞよろしくー!」
「初めまして、小野山歩です。気軽に歩とお呼びください」
何とか動揺を隠しながらメリッサさんの手を握って握手をする。
ブンブンと握手するメリッサに少し戸惑い気味の歩。シトラはニコニコと横で笑っている。
「あら?可愛い顔して意外に力強いわね?少しレベルを拝見しても?」
「はい、構いませんよ」
メリッサさんもステータスカードの持主のようで少し離れてサーチを発動する。
サーチで僕のレベルを見たのだろう。驚愕を顔いっぱいに表していた。
「78・・・?嘘でしょ・・・」
「どう?アタシの旦那。しかも料理も出来るんだよ!」
「完璧な人捕まえたわね!ナイスファイトシトラ!」
メリッサさんはそう言うとグータッチをシトラに求め、快くシトラはグータッチをする。
僕も求められたのでグータッチをすると、メリッサさんに耳元で囁かれる。
「絶対にシトラから離れないようにしなさい。エルフの女は君みたいな顔の男の子が大好物だから・・・」
「え・・・?あ、はい」
ようやく先程のシトラの発言の意味が理解出来た。
つまり僕はあれだ。エルフの女性が好む顔立ちをしているんだ。
恋人であるシトラの隣から離れたりしたら襲われる可能性がある。メリッサさんは警告してくれたのだ。
「ね?分かったでしょ?」
「ああ、うん。すんごい怖くなってきた」
果たして僕は自分の貞操を守る事が出来るのであろうか。
「だ・か・ら!もっと近付いて歩こ?」
「そうするよ」
シトラはいつもの小悪魔のような笑みを見せると僕の腕に絡み付いてくる。シトラの胸が腕にがっつりと言わんばかりに当たって赤面してしまうが、意識しないようにする。
「あの娘メスールさんの娘さんじゃなくて!?」
「じゃあ、隣にいるのは恋人?滅茶苦茶可愛いじゃない!!」
「あんな良い子何処で見つけて来たのよ・・・」
「エデンらしいわよ」
「ちょっと私エデンに旅行しに行こうかしら?」
ヒソヒソとセレブ達の話し声が聞こえてくる。どうしようメリッサさんの言う通りだ・・・。
「本当に気を付けてね歩。今日集まってる人達かなり獣かも・・・」
「絶対に離れないし、絶対に離れたくない」
今回のパーティー。魔物との戦いよりも危険かもしれない?
応援ありがとうございます!
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