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一章 悲報、国存続に必須の巫女を召喚3日目で拉致ることに
5話 魔法
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「ふわぁ・・・まあまあ寝れたよ。ライタ、君は疲れては取れた?」
「いいや、全く」
2時間後、フェイは起床した。その間に雷太が撃退した人数は36人。相手の戦意が削がれるまで殴るという行為を36人分行ったからだろう拳はボロボロになってしまっている。
「どうやら俺達には休む事すら許されないみたいだな。拳がボロボロだ」
「守ってくれたのか・・・ありがとうライタ。何かお礼はできないかな?」
「なら、この拳治してくれ。殴りすぎて骨が痛い」
「分かった。それじゃあ、手をこちらに」
フェイの前に手を差し出すと、彼は熟れた果実を取り扱うように丁寧に両手で包み込む。骨と皮だけの手に同情していると、彼の手の平から淡い緑色の光が溢れ出す。
緑色の光はズキズキと痛む俺の手を癒し、元の傷一つない状態へと戻してくれた。
「すげぇ・・・これが魔法か」
「凄いのは魔法じゃない僕だ。魔法の練度の高さが回復力を上げている」
「じゃあ、俺が覚えてもあんまり意味はないか。覚えられればずっと戦えると思ったんだけどな」
「そう簡単に覚えられるものじゃない。ある程度まで極めた僕が言うんだから確かだ」
フェイの言葉には自信のようなものが込められているように感じる。
「そういえば、お前は今まで何をしていたんだ?素人だから分かんないけどよ、召喚魔法ってかなり難しい気がするぜ」
「僕はこれでも国に使える魔法使いだったんだ。収入も安定していたし、妹を守れるからね」
「なるほど、国家公務員だったわけか。それじゃあ、何処に妹がいるのかも分かるのか?」
「分かるよ。どういう道順で行けば辿り着けるのかは目を失ってもなお頭の中に叩き込まれている。問題なく案内できるよ」
「それは良かった。それで?何処に閉じ込められているんだ?」
「王都の地下教会。妹はそこに10年近く閉じ込められている。僕の目を潰した事をいい事に幽閉場所は変わっていないはずだ」
「皆の憩いの場所が地下ね・・・怪しさ満載じゃねぇか」
「そうだね。一般には知られていない場所さ。万が一にも巫女が攫われたらとんでもない事になるからね」
「了解。それじゃあ行くか」
「大丈夫なのかい?君は僕を守るために戦っていたというのに動けるのない?」
「ああ、きついけど問題ない。それに、まだ追っ手が来る可能性だってあるから休んでいる暇なんてない」
「・・・すまない。道案内は僕がしよう」
「目が見えないのに出来るのか?」
「問題なくはないが、道案内は出来る。それじゃあ行こう」
それから2日間、俺達は森の中で迷ったのであった。
「いいや、全く」
2時間後、フェイは起床した。その間に雷太が撃退した人数は36人。相手の戦意が削がれるまで殴るという行為を36人分行ったからだろう拳はボロボロになってしまっている。
「どうやら俺達には休む事すら許されないみたいだな。拳がボロボロだ」
「守ってくれたのか・・・ありがとうライタ。何かお礼はできないかな?」
「なら、この拳治してくれ。殴りすぎて骨が痛い」
「分かった。それじゃあ、手をこちらに」
フェイの前に手を差し出すと、彼は熟れた果実を取り扱うように丁寧に両手で包み込む。骨と皮だけの手に同情していると、彼の手の平から淡い緑色の光が溢れ出す。
緑色の光はズキズキと痛む俺の手を癒し、元の傷一つない状態へと戻してくれた。
「すげぇ・・・これが魔法か」
「凄いのは魔法じゃない僕だ。魔法の練度の高さが回復力を上げている」
「じゃあ、俺が覚えてもあんまり意味はないか。覚えられればずっと戦えると思ったんだけどな」
「そう簡単に覚えられるものじゃない。ある程度まで極めた僕が言うんだから確かだ」
フェイの言葉には自信のようなものが込められているように感じる。
「そういえば、お前は今まで何をしていたんだ?素人だから分かんないけどよ、召喚魔法ってかなり難しい気がするぜ」
「僕はこれでも国に使える魔法使いだったんだ。収入も安定していたし、妹を守れるからね」
「なるほど、国家公務員だったわけか。それじゃあ、何処に妹がいるのかも分かるのか?」
「分かるよ。どういう道順で行けば辿り着けるのかは目を失ってもなお頭の中に叩き込まれている。問題なく案内できるよ」
「それは良かった。それで?何処に閉じ込められているんだ?」
「王都の地下教会。妹はそこに10年近く閉じ込められている。僕の目を潰した事をいい事に幽閉場所は変わっていないはずだ」
「皆の憩いの場所が地下ね・・・怪しさ満載じゃねぇか」
「そうだね。一般には知られていない場所さ。万が一にも巫女が攫われたらとんでもない事になるからね」
「了解。それじゃあ行くか」
「大丈夫なのかい?君は僕を守るために戦っていたというのに動けるのない?」
「ああ、きついけど問題ない。それに、まだ追っ手が来る可能性だってあるから休んでいる暇なんてない」
「・・・すまない。道案内は僕がしよう」
「目が見えないのに出来るのか?」
「問題なくはないが、道案内は出来る。それじゃあ行こう」
それから2日間、俺達は森の中で迷ったのであった。
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