天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

文字の大きさ
36 / 192
一章 悲報、国存続に必須の巫女を召喚3日目で拉致ることに

35話 形成逆転の一発

しおりを挟む
「おらぁ!!」

 雷太の高さ20mからの脳天蹴りがベヒモスに当たる。ベヒモスは一瞬怯んだが、すかさず雷太に噛みつき、下半身を丸呑みにした。

「離し・・・やがれぇ!」

 べキリとまるで木の枝を折るような感覚でベヒモスの稲妻状の歯をへし折り、それを持ち主の目に刺す。

 痛みにあまり、ベヒモスは雷太を口から離してしまうが雷太も歯が腹に少し刺さってしまい出血してしまっている。

「はぁ.はぁ・・・やっぱり獣との戦いはまだ慣れないな・・・」

 雷太の元の世界での試合相手のほとんどが人間である(空手は人間の競技である為、当たり前だが)。一度、熊とも山の中で遭遇して殺し合ったことがあるが、それ以外の動物との戦闘経験はまるでない。

 今の世界に来てから急激にその回数を増やしてはいるものの、まだ慣れるレベルには達していないみたいだ。

 そして何よりベヒモスは四足歩行の魔物の中でも特に大きい。種族平均体長は驚異の15m!更に今戦っているベヒモスはその平均を大きく上回る20mという巨躯を有している。

 しかし、雷太の攻撃が効いていないというわけではない。頭を殴られ続けて頭は混乱しているし、牙も折られ、片目は潰れている。確実に消耗はしている。

 しかし、雷太の決定打に欠けているのだ。もっと正確に言うならば威力が足りていない。ベヒモスを倒す為の火力が不足しているのだ。

 ベヒモスの口から吐き出された雷太がティナの方に転がってくる。

「いてて・・・あいつ強いな。頭をしこたま殴ってるのに全然効いてねぇ」

「いえ、それなりに効いてはいます。しかし、まだまだ倒すための威力が足りていません」

「それは俺も気づいてる。これじゃ長期戦になるな」

「ところでライターさん。スキルは使っていますか?」

「スキル・・・そうか!忘れてた!」

 世界への適応には身体能力の向上以外にもメリットがある。その1つがスキル会得だ。

 この世界の住民は全員が何かしらのスキルを有している。雷太も途中からとはいえ、この世界の住民になっているのでスキルを手に入れているのだ。

「やっぱりスキルを使っていなかったんですか・・・よく聞いてください。異世界から呼ばれた人のスキルは非常に強力なものになります。使ってみてください」

「そんな使ってみてって言われてもどうやって使えば良いのか分からない・・・」

「兄さんはこう言ってました『スキルは胸の中心を意識していると、光るモノが見える。それを掴むイメージをすると体が無意識に動いて使えるようになる』って」

「胸の中の光・・・」

 雷太はゆっくりと目を閉じ胸の中心、心臓を意識した。小刻みに鼓動する心臓。意識していると、目を閉じているのに明るい光が目の前に現れる。それを掴んでみると、体が自然と動き始め、正拳突きの構えをとる。

 右手を弓のように引き、左手で狙いを定める。

 ベヒモスは立ち上がり、こちらへと向かってきている。大きく口を開けて再び食べようとしてくる。

「ハァァァァァッッ!!」

 それを跳躍で避け、ベヒモスの真上に着くと体が勝手に動き出し、右手で作った拳を放つ。

 拳からは衝撃波が発生。拳の先にいたベヒモスの体はプレス機に押し潰されたかのようにぺちゃんこになると、血と肉を飛び散らせながら爆散。

 その後も衝撃波の威力は落ちる事なく、港町のど真ん中に直径50m、深さ不明の大きな穴を生み出してしまった。

「え・・・・・・」

 着地した雷太はベヒモスを1発で倒したとてつもない衝撃波を放った右手を見てみる。すると手のひらはほんのりと光っており、光はゆっくりと小さくなって消えてしまった。

「これが俺のスキル・・・」

 あまりの威力に驚き、雷太は数分間身動きを取る事ができなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...