天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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二章 漂流先は獣の国

53話 骨の恐怖

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「『みんな!ただいま!』」

「コジロ!?無事に帰ってきたのか!?服は汚れているが怪我はないみたいだな!よかったよかった!」

「あの数のスケルトンから逃げ切るなんて、なんて脚力なんだ!」

「いいや、違うんだ。僕が早かったから助かったんじゃないんだ。逃げた道にたまたまあの人達がいたからなんだ」

 コジロが俺達に向かって指差す。すると、猫や鳥、豚などの顔を持った人達が一斉に集まってきて、俺を珍しそうにジロジロとみる。

「この顔立ち・・・あのお方にそっくりだな」

「コジロ、この方は一体誰なんだ?」

「コンパスに向かう船が壊れて漂流しちゃった雷太さん。異世界の人なんだって!」

「呼び出された者だったのか!なるほど道理であの方と顔立ちが似ているわけだ!」

「へぇ~この人が異世界の人間なのかぁ。見た目は普通のヒュームと何も変わらないのな」

 あのお方というのはおそらく俺以外のこの世界に呼び出された人なのだろう。いい加減名前くらい教えてほしいもんだ。

「聞いてよみんな!この人とんでもなく強いんだ!だから、きっとスケルトンも倒してくれるよ!」

 スケルトンはサシコテ村の問題。それを解決できる者が現れたのだから村人は大いに喜ぶ・・・はずだったのだが、少し気まずそうな顔をしている。

「実だな、スケルトンの人的被害についに村長の堪忍袋の緒が切れてな。パンジグ軍に救助要請を出したんだよ」

「きっと魔法便を使ったから今頃軍人の目に届いているはず。これで、スケルトンに怯える日々が終わるぞぉ!!」

 どうやらすでに討伐依頼を手配しているようだ。肩透かしを喰らったと同時に、村に平和が訪れたと安堵する。

「じゃあ、安心して情報収集とかできるな」

 事態が収束していく事に安堵した一同の間に、大きな何かが放り込まれる。ゴロゴロと転がり、大きめの石にぶつかって動きを止めたのは犬の生首・・・否、パンジグ人の生首だった。

 数秒の静寂の後に上がる悲鳴。幸せは空気は一瞬にして崩壊し、絶望があたりを包む。

「こ、この首は狩人のジンさんだ・・・!」「おい!あっちを見ろ!」

 村人が指差した方向は生首が飛んできた方向。村人と雷太達は一斉に振り向く。皆の目線の先にいたのは、白骨化してもなお、大地をかけるべく立ち上がった白骨の馬と、それに跨る日本式甲冑に似た鎧を見に纏ったスケルトン。

 それに連れ従うように白骨の馬に騎乗した武装したスケルトン達が村人達を威圧するように姿を表す。

「あ、あれは・・・スケルトンナイト・・・!!」

 シャルロットは恐怖からか、その場にへたり込んでしまう。

「・・・ススメ」

 先頭のスケルトンナイト腰に携えた刀を抜き、村人達にその切先を向ける。

 きっと合図だったのだろう。次の瞬間、スケルトンナイト達は武器を手に村人達に遅いかかった。
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