天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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三章 辿り着いた先は闇

84話 コンパス国

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 関所を抜けてパンジグの隣国であるコンパスに入国した雷太とシャルロットを迎えたのは広大な草原だった。だだっ広い草原に雷太は心を奪われる。

「こんな広い草原見るの初めてだ・・・」

「何言ってるんだ。ゴルムにもあるだろう?」

「悪い、言い方が悪かった。緑の草原だ。オレンジ色の草原も中々だったけど、やっぱり草原といえば緑だな!」

「それは偏見だろ。それともあれか?お前の世界の草原は全部緑なのか?」

「ああ、この世界みたいにカラフルじゃねぇな」

「それは少しつまらなそうだな」

「だけど、いい世界だぜ。俺の世界は」

「胸を張って誇れる世界か・・・それは少し、いやかなり羨ましいな」

 そう呟くシャルロットの顔はとても寂しげでこちらも悲しい気持ちになってしまう。

「湿っぽくなる話は止めよう。今はとにかく・・・・・どこに迎えばいいと思う?」

「港町で良いんじゃないのか?船が沈没した話なんて港だったらその話題で盛り切りになるだろうし」

「確かに。とりあえず門番に聞いてみるか」

 コンパス国の門番に話しかける。

「あの~少し話良いですか?」

 使う言語は英語。トラコ様からの情報が正しければ通じるはずだが・・・。

「なんだ?」

 どうやら通じるみたいだ。改めて英語を勉強しておいて良かったと自分をほめておきたい。

「港町に行きたいんだが、ルートを教えてくれないか?」

「情報収集か?」

「ああ、そうだ。駄目か?」

「駄目ではないが、この国で大暴れはするなよ?パンジグ側で起こした騒動のようにな。港町トリスはここから北西にずっと歩いていくと見えてくる。途中に町や村がいくつかあるから休みながら向かうといい」

「とすると、遠いのか?」

「馬無しで向かうとすれば、5日はかかるな。馬車もあるが、馬車は2日後に来る予定だ。待っている暇なんてないんだろう?」

 門番は色々と察しながらも詮索はせずに俺達に的確な道を教えてくれた。親切な門番に感謝をして、俺達は関所を出る準備を整える。

「そういえば、ゴルムの奴らはこっちから来たのか?」

「いいや、来てない。どうやら船でパンジグに上陸したみたいだな」

 現地で情報収集をして俺達がパンジグにいる事を突き止めたのだろうか?真相は不明だが、コンパス国から入ってきていないのならばかなりラッキーだ。

 パンジグからコンパスに入国するためにはビザが必要だ。奴らが俺達を追って来るためにはビザを取得する必要があり、ビザの取得には時間がかかる。しかも、あんな騒ぎを起こした奴らにパンジグ側はビザなんて発行しないだろう。だとするなら余裕を持ってティナ捜索ができそうだ。

「よっしゃぁ!今見つけてやるからな!ティナァ!」

 港町トリス目掛けて雷太とシャルロットは歩み始めた。 
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