天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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三章 辿り着いた先は闇

95話 偽りの自分

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 洗脳した戦士にオークション会場まで案内させることにした。戦士は表ではなく、ずっと裏路地を歩き続けている。

「おい、本当にこっちであってるのか?」

「間違いありません」

 裏路地を歩き続ける事、数分。着いたのはなんの変哲もない大きなボロ屋だった。

「おい、どう見てもボロ屋にしか見えないんだが?」

「ライタ、早計すぎるぞ。人を見た目で判断してはいけないように、このボロ屋も見た目で判断してはいけない。恐らくこれはカモフラージュだ」

「魔法か?それともスキルか?」

「分からない。近づいてみないことにはな」

 ボロ屋に近づいてみると、ボロ屋がまるで水面映っているかのようにゆらりと揺れる。少し恐れを感じながら進んでみると、目の前にあったボロ屋は消え失せ、ポツンと地下へと続く階段が姿を表した。

 恐らく階段の先にあるのがオークション会場なのだろうが、周りには階段を守る戦士の姿が見当たらない。

「見張りはいないのか?」

「見張りは貴方が倒した者の中にいました。今頃裏路地で伸びているでしょう」

 俺を倒すための人員確保の皺寄せが階段の見張りに行っていたみたいだ。幸運であると同時に、オークションを行なっている組織はロクな組織ではないことが露呈する。

「人員不足でも見張りは立たせておかなきゃダメでしょ・・・」

「それは同感だが、実際はどうなんだ?」

「貴方達が裏で暴力を振るったお方は組織のNo.2に当たる人です。人員を増やすのは当然かと思われます・・・」

「あいつそんなに偉かったのか・・・って、今なんて言った?」

「どうやら私達が行った行動は相手に筒抜けみたいだな。今はどうかは知らないが・・・お前は何か知っているか?」

「貴方達を発見できたのは、ボスのスキル『監視』のおかげです。しかし、使用には制限があり、一定時間使用するとしばらく使えなくなります。先程使用したので、あと30分は使用できないです」

「それか、それでは今が絶好の変装タイムというわけだな」

「まじ?それじゃあ、またさっきの行き止まりの場所まで戻って鎧奪わないとじゃん」

「おいおい、ライタ。今目の前に誰がいると思ってるんだ?」

 ニヤリと笑みを浮かべるシャルロット。自信に満ちた表情を見た雷太も思わず笑みを浮かべてしまう。

「『falsches Selbst偽りの自分』」

 紫の霧が足元から発生する。驚いた目を瞑り、ゆっくりと開くと目線の先にあったのは鍛錬でボロボロになった俺の手ではなく、籠手を付けた手だった。

 全身をみると、体は鎧を身に纏っている。しかし、金属鎧特有の金属が擦れる音はせず、道着が擦れる音のみが聞こえてくる。

 シャルロットがいた方向をみると、俺と似たような戦士の姿になっている。身長も誤魔化せるみたいだ。

「再現してるのは見た目だけなんだな」

「でも、変に甲冑を身に纏うよりかは良いだろう?さぁ、行くぞ」

 洗脳した戦士は命令で何処かへ行かせてからオークション会場のある地下へと潜っていった。
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