天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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三章 辿り着いた先は闇

98話 我慢の限界

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「ご覧ください!こちらの女はあの最強の国と呼ばれるゴルム人でございます!我が社の優秀な社員が砂浜で倒れている所を偶然発見した奇跡の商品!かなり過酷な旅をしていたのでしょう。かなり痩せていますが、健康状態は問題ない上に病気もしていません!」

 富豪達はほっと息をつく。しかし、中にはその見た目に疑問を抱いた富豪の1人がドルクに質問する。

「おい、そいつは本当に生きているのか?生きているなら証明しろ!」

 ドルクはその要望に応えるべく、ティナを連れてきた戦士に、ティナを持ち上げさせると、その腹に一撃を放つ。

「カハッ!」

 胃を刺激されたティナは嘔吐する。吐瀉物の中には食べ物らしき物はなく、ロクに食事を与えられていないことが分かる。

「これでどうです?生きてると証明できたでしょう?」

 人とは思えない非道ない行いに流石のシャルロットも怒りを露わにする。

「これは流石に酷いな・・・ライタここは落ち着いてオークションが終わるのを待とう。そして、ティナを勝ち取った奴から奪い取る作戦だ。良いな?」

 確認を求めるシャルロット。しかし、雷太の耳にはそんな冷静な指示が聞こえているわけが無かった。

 地面を踏み締める力が強くなり、地面が凹む。異変に気づいた周囲の警護にあたっていた戦士が雷太の肩を叩く。

「お、おい大丈夫か?さっきから唸ってるけど具合でも悪いのか?」

「ああ、すんごく悪いんだ・・・虫の居所がなぁ!!」

「はぁ?なにを言って・・・へぶっ!?」

 心配してくれた戦士のヘルメットが凹むぐらいのパンチを戦士の頭に加える。心配してくれた戦士は、断末魔を上げることなくその場で死亡した。

 しかし、金属を凹ませる音と、鎧を纏った体が地面に倒れる音で周りからの視線を一瞬で向けられてしまう。

 凹んだ頭の戦士を見て、驚愕する富豪達をかき分けながら、ステージの前に立つ。

 一部始終をステージの上から見ていたドルクはドスの効いた低い声で雷太に声をかける。

「貴様、何者だ?」

「聞く必要、あるか?」

 シャルロットの魔法が解け、雷太の本当の姿が露わになる。ドルクは納得したように頷いた。

「なるほど~そう言うことか!貴様はこの商品を奪い返しに来たのか。なるほどなるほど・・・」

「・・・・・・」

「やってみろよ、ゴミ虫。できるもんならな」

 この時、雷太の堪忍袋の緒がプツンと切れる。

「うぉおおおおおお!!」

 切れると同時に雷太は咆哮を上げながらドルクに向かって突撃していく。

「私を守れ!」

「かしこまりました・・・」

 近くにいた戦士によって、雷太は吹き飛ばされてしまう。壁に叩きつけられるほどに吹き飛ばされた雷太は痛みなんて気にせずに立ち上がり、立ち塞がってきた戦士に敵意を向ける。

「邪魔すんなら、ぶっ殺す!」

「・・・・・・」

 激しい殺し合いが始まった。
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