天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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四章 一騎当千の拳

146話 勉強の成果

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「イガラシ!貴様に勝てる見込みはないぞ!!」

「そいつはどうかな?」

「・・・なるほど、貴様にはそういえば奥の手があったな。ならば!!」

 跳躍し雷太の頭上を飛び、背後に回る。雷太の隙を作るために背後に回ったわけではない。だとするなら、あまりにも後ろに回る速度が遅過ぎる。

ティオボルドが後ろに回ったのはもっと別の理由があったからだ。

「貴様のスキルはゲオルグ騎士団長から直々に聞いている。彼のバリアを簡単に破るそのスキル、シンプルだがあまりにも厄介だ。だが、同時に威力が強く範囲が広い為周りのものを吹き飛ばしてしまうという欠点を持っている」

 雷太のスキル『一撃必殺』を的確に考察するティオボルド。そう、彼は『一撃必殺』の危険性とその弱点を知っているからこそ雷太の背後、正門側に立ったのだ。

 正門側には仲間達が大勢いる。中には怪我をして動けない者もいた。

「貴様は仲間を殺してまで俺を倒せるか?この戦いではっきりと分かったことがある。イガラシ、お前は典型的な良い奴だ。だから、仲間を盾にされたら貴様はあの凶暴なスキルを使う事はできん!!」

「くっ!!卑怯だぞ!ティオボルド!!」

「言っただろう!勝利以外に俺が求めるモノはない!!勝ちこそが全てなのだと!!」

 アーマードティオボルドは右腕を突き出すと、右腕をまるでロケットのようにこちらに向かって飛ばしてきた。ロケットパンチだ。

「おらぁ!!・・・くぅううううう!!」

 真正面から受け止める。魔力で推進力が向上してるお陰で押し返すことが出来ない。

「こんのぉ!!」

 真下に潜り込み、ロケットパンチを軌道を真上に曲げて難を回避。上空に飛んでいった右腕はU字の軌道を描きながらティオボルドの元へと戻って行った。

「ほう、やるな。では、これならどうだ!!」

 今度は両腕を突き出して2つのロケットパンチを繰り出してくる。純粋に2倍の量が迫り来る。

「くっ!!うぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 避ける暇がなく、再び体一つで受け止めるが、先程よりも勢いよく押されてしまう。威力も高くなっており、真上に持ち上げるのも困難な状態。

 やがてロケットパンチは角度を変え、俺を地面に叩きつけにかかる。上から下の力に勝てるわけがなく、体はどんどん土の中へと入っていく。

 このまま耐え続けることが出来ても、土に埋もれることによる窒息は確実。なんとしてでも脱出しなければならない。

 アーマードティオボルドの素材は恐らく鉄だ。鉄なら拳で破壊することができる。しかし、ある程度の距離がなければ拳を与えられない。今、手を引いたらロケットパンチに潰されるのは確実。

 完全にお手上げ・・・なんかじゃない!

「魔法、覚えておいてよかったぜ!!」

 体内の魔力を手に集中させる。魔力は風へと変換されていく。

「『Wind』!」

 雷太の全魔力を用いた全力の風魔法は一時的ではあるものの、ロケットパンチを浮かせることに成功する。

 それにより、拳を放つ余裕が生まれた雷太はすかさず立ち上がり、向かってくるロケットパンチに向かって拳を放つ。

「チェストォォォォォォ!!」

 金属製のロケットパンチは雷太の拳が当たった所を中心にひび割れ、粉々に砕けるのであった。
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