天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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終章 未来へ導く光

184話 巫女の覚醒

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「う、嘘だろ!?こんな土壇場で巫女が覚醒した!?」

 リヴァは驚き目を丸くする。隙有りとみた雷太はすかさず顔面にパンチを入れる。すると、先程まで余裕そうな表情を浮かべていたリヴァが急に攻撃を痛がり始めたではないか。

「効いた!蓄積ダメージか?いや、違う!」

 自分の四肢に宿る光を見て確信する。己に灯されている光が強くなっている。

「ティナァ!ついにやってんだな!!最高だぜ!」

 俺からの褒め言葉にティナはサムズアップをしてこたえてみせる。俺も頑張らなきゃと元気が出る。

「反撃開始だごらぁ!!」

「調子に乗るなよ!人間如きが!!」

 リヴァの体から黒い膿が吐き出される。咄嗟に顔の前に腕を出して防ぐと、黒い膿は霧となって消えていく。矛でありながら盾の役割も果たしているようだ。

「これじゃあ、少しつまらねぇな!!さっきまでの苦戦が嘘みたいだ!!」

「調子に乗るなと言っているだろうがぁぁぁぁぁぁ!!」

 リヴァの怒号に呼応するように瓦礫の中からワイバーンが現れ、雷太に一斉に襲いかかる。雷太は迎撃準備をするが、構えている間に、突如横から現れた光の柱によってワイバーン達は蹴散らされてしまった。

「なっ!?お前もか!勇者ジュリエット!!」

 ティナのスキル『巫女』は覚醒により、浄化の光を仲間に付与することができる。それは、既に浄化の光を所有しているジュリエットも例外ではなく、彼女の場合は浄化の光が更に強化されている。

「ふざけるな!僕はこの最強の環境を作るために500年以上もかけてきたんだぞ!それなのに、たった一瞬で壊されるなんてあんまりじゃないか!!」

 リヴァは怒り、闇が体から漏れ出す。足元が更に黒くなり、闇に染まっているのが分かる。

「させません!!」

 しかし、そんな状況を覚醒したティナが許すはずがなく、祈りを捧げて瞬く間に闇を浄化していく。更についでと言わんばかりに周囲に漂っていた闇も浄化した事により、500年かけて作り上げてきたリヴァの楽園は崩壊してしまう。

 ティナを中心に半径1kmから大気や土が元の綺麗な状態へと回復。リヴァは一気に弱体化する。

「そ、そんなぁ!!僕の楽園がぁぁぁぁぁ!!」

 先程までの余裕はどこへ行ったのやら。哲郎の光鎖を破壊し、哲郎の元へと襲いかかる。

「全部!全部お前のせいだぁぁぁぁぁ」

 ティナが覚醒した原因を作った哲郎に怒りをぶつけるべく、全身で押し潰しを図る。

「スキルお試し『空間移動』」

 雷太を踏み潰しから救ったスキルを使用し、押し潰しから逃れ、雷太の元へとやってきた。
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