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5章 望まれていない勇者

92話 勇者の子孫

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「よし!!次は練習試合だ!!適当な相手を見つけて組むんだ!!」

 結局、基礎訓練中に少女は見つける事は出来ずに練習試合の時間になったのだが、ここでようやっと見つける事が出来た。

「おい、どういう事だよ。昨日あんなにボコボコにしてやったのに、何で元通りになってんだよ」

「・・・・・・」

「何とか言えや!!この半端者!」

 ダークエルフの少女を見つけた。少女は、青年とその取り巻きらしき男達に絡まれていた。恐らくあいつらが少女を瀕死に至らせた奴らだろう。

「まあ、良いや。今日も俺様と練習試合だ。嫌とは言わせねぇぞ」

「・・・分かった」

 練習相手は、あの青年で良いだろう。

「なあ、アンタ。僕の相手をしてくれないか?」

「ああ?誰だお前」

「今日志願したばかりの旅人だ。エンデ王の命令により、実力測定の為にやってきた。これ以上の説明がいるか?」

「なるほどねぇ・・・俺様に目を付けるだなんて薄汚い旅人のくせに見る目はあるみたいだな。だけど、悪いな俺様はコイツを調教しなきゃいけないんだ」

 やはり、この青年が少女をいじめていた者で間違いないようだ。ここで、少女は僕の存在に気づいて、フクロウのように目を丸くして驚いていた。

「ん?何してんだ気持ち悪い奴だなぁ!!」

「ぐっ・・・!!」

 その表情に気づいた青年が少女を殴り倒す。周りからはあざ笑う声が聞こえてくる。この青年だけではない。訓練兵全員が少女をいじめている。青年はその主犯格というわけか。

「アンタがこの娘にあんな傷を負わせた奴か?」

「それがどうした?混血をいたぶって何が悪い?」

 話が通じないタイプらしい。自分の行っている事が全て正しいと思っているやばいタイプの人間だ。何を言ってもこちらのストレスがたまるだけ。なら、こちらも挑発するしかない。

「彼女が、元通りになってるのがおかしいと言っていたね。治したのは僕だ。食べ物も与えた」

「てめぇ・・・!!勝手な事してんじゃねぇよ・・・」

「アンタの所有物なのか?違うだろう?なら、筋違いじゃないのか?」

「お前は部外者だろうが・・・」

「今から部外者ではなくなる。さあ、やろう。練習試合だ」

「望む所だ。ルイン家の実力見せてやる・・・!!」

 ルイン家。確か勇者の家系だな。何でこんな所にいるんだ?訓練を受ける為か?

 いや、それはどうでも良い。とにかく、こんなにも早く勇者の子孫に出会えたのはラッキーだ。第一目的である勇者の討伐の下調べが出来る。殺す事はできないけれども、強さを見極める事は出来そうだ。
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