雨の日のお伽噺

雨月 千疾

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月の出ていない夜

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骸の1つを触ってみた
手で包み込むように持った
冷たさと空虚が渦巻いている
手を離すとゆらゆらと揺れた
止めようと思って
手を伸ばすと
逃げるように揺れている
手を引くと
挑発するように揺れている
何もかもがどうでもよくなって
振り返った
『月はどこにもないんだよ』
後ろから声がした
振り返ると
吊るされていた骸が全部無くなっていた
前を見ても何も無い
月のない夜空が広がっていた
月の出ていない夜
ただそれだけいつもと違うことだ
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