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「おはよう」
「おはようございます。昨晩はぐっすり眠れたようで何よりでございます」
おかしいなぁ。
目が覚めたはずなのに、俺は昨日寝たベッドと同じ場所で起床した。
目の前にはクリスタが無表情で俺の起床を待っていた。
辺りを見ても、昨日と同じように豪華な家具が揃えられている。パンピー愛用のアイリス●オーヤマ家具は一つとしてそこに存在していなかった。
もしかしたら、夢じゃないのかもしれない。
そんなめちゃくちゃな考えが頭を過ぎる。
もし、もしも今の俺がこれから先になるなら大変な事態
「父様と母様はもう起きてるか? 魔法のことについて話したいんだ」
「お二人とも起きておられます。ぼっちゃまの話をしたらとても興奮されていましたよ」
「それなら話が早い。身支度を整えたら少し話しをしたい」
「かしこまりました。すぐに準備致しますね」
クリスタはそういうと、俺の前に立つ。
首を傾げていると、
「ぼっちゃまいきますね」
凄まじい力で俺の服を剥ぎはじめた。
「いやいやいやいや!? 何してるんだ!?」
「お召し物を変えるのですが、どうされたのです?」
そうか。忘れてたけど今の俺は家族のおぼっちゃんだった。今までこの美人メイドに毎日服を変えさせてもらっていたようだな。
俺が抵抗したことに驚いたようで、目をパチパチさせながら俺のことを不思議そうに見た。
「すまん。何でもないよ」
抵抗しても無駄だろうし、諦めて着せ替え人形になることにした。
鏡の前に立ち、初めてこの世界での自分の姿を見たが、どうやら俺の身体はかなり変わっていた。
身長は150センチほどだ。
ただ、どこにでもいる日本人顔だったのに、金髪に青目、彫りの深くパーツの整った可愛らしい顔立ちになっている。
年齢もかなり若く、12歳程度に思えた。
美人に着替えさせられるのがかなり照れ臭かったのでそんなことを考えていると、俺は寝巻きから立派な家族の一緒に着せ替えられていた。
これぞ貴族といわんばかりの派手な服だ。
ゴテゴテとした装飾のせいで動きにくいが、向かうとしよう。
「クリスタ、俺を父様と母様のところに連れて行ってくれ」
「畏まりました」
クリスタの後について館を進む。
昨日は魔法への興奮と眠気もあったせいで周りを全く周りを見ていなかったが、どこもかしこも高そうな装飾品ばかりだ。
そんな廊下を進んでいくと、広間のような巨大な部屋に案内された。
コンコン
「失礼します」
扉を叩いたあと、クリスタが部屋に入る。
俺もそれについていくと、中には美人の奥様とやけにごついおっさんが椅子に座って談笑していた。
「おぉ! アルク、みんなが言ってた情報は本当なのか?」
「おはよう、アルク。私もブレイブさんが言ってたことが本当なのか気になるわ」
俺がクリスタの後ろから姿を見せると、二人は俺のところにバタバタと駆け寄ってきた。
昨日の話はばっちり聞いてるようだし、説明する必要はなさそうだ。
父様は腰に剣を差してるけど、美人母様の方は腰に杖を差しているし、魔法を使えそうな雰囲気がある。
「ブレイブ様、アリア様、ぼっちゃまはすでに中級魔法をお使いになられます。外で見てみるのがよろしいかと」
「ほぉ!!」
「話には聞いていたけど冗談よね? いくらなんでも魔法を使って初日に中級魔法を使いこなすなんて……」
母様が疑惑の目をクリスタに向ける。
そもそも男が魔法を使うこと自体ありえない世界なのに、さらにありえないことを重ねているせいで信ぴょう性が薄れているに違いない。
「見ていただければお分かりになります」
クリスタは母様に淡々と告げる。
クリスタを先頭に、俺は昨日魔法を使った場所の近くへと案内された。
近くには昨日俺が岩に放った影響を受けてか、地面に大きな焦げ跡が残されている。
「この焦げ跡は昨日ぼっちゃんが付けた焦げ跡です。これだけでもすごさがお分かりになるかとは思いますが……。ぼっちゃん、昨日の魔法をもう一度あの岩にぶつけてください」
クリスタが指さした先には、昨日よりも大きな岩が地面に突き刺さっている。
大きさは10メートル近くある、大岩田。
「こんな巨大な岩を破壊させるつもり? 中級魔法を使ったとしてもこれは破壊できないわ」
母様は魔法について詳しいのかもしれない。
俺が魔法を使うとかそういった問題ではなく、単純に普通の中級魔法では無理だと判断しているように見れた。
「母様、見ていてよ」
昨日と同じようにすれば魔法が発動できるだろうし、昨日と同じようにやってみよう。
ギルガメッシュをイメージし、昨日と同じように武器を大量に生成する。
昨日同じことをやってなれているおかげか、昨日よりも生成が簡単になっているように感じた。
目を瞑り、集中力を爆発させると、俺の背後に100を超える武器が一気に空中に現れた。
「ア、アルク? アルクがこれをやっているのよね?」
「そうだよ母様。なんだかよく分からないけど出来たんだ」
そのまま手を前に突き出し、巨大な岩に生成した武器をぶつける。
さすがにサイズが大きく、最初は焦げ跡が付く程度だったが、次第に削れていき最終的には俺の炎の武器にによって岩は砕かれた。
バラバラと破片が飛び散り、辺りに火の粉が舞っていく。
「すごい! すごいわアルク!!!」
「か、かぁさま……はなしっ……てっ!!」
光景をみた母様が俺のところまで寄ってくると、俺のことを力強く抱きしめた。
でかい胸に押しつぶされて、うまく息が出来ない。
「アリア、アルクが苦しそうにしているから放してあげなさい」
「ごめんねアルク。私、ちょっと興奮しちゃったわ」
「別にいいよ。僕、ちゃんと魔法使えていたでしょ?」
「えぇ! さすが私の息子ね。これなら魔法を教えてあげないともったいないわ」
「そうだな。家の書庫にある魔術書を読むと良い。アルクが魔法を使えるならかなり勉強になるはずだ」
「アリア様は世界一の魔法使いである大賢者。そのアリア様が厳選した魔術書が書庫には保管されているので、きっとぼっちゃまも面白さを感じ取れるかと思います」
えぇ……。なんだかすごそうな杖を持っていたけど、そんなにすごい魔法使いだったのか。
「ただな、アルク。今まで通り剣の修行も行うから魔法に夢中になりすぎるなよ?」
「わ、分かりました……」
「剣聖でいらっしゃるブレイブ様から指導を受け、世界一の魔法使いであるアリア様からも学び取る。ぼっちゃまは本当に歴史に名を残す人物になるかもしれませんね」
け、剣聖……!?
俺はとんでもないことを耳にしてしまったのかもしれない。
この世界での剣聖がどの程度の立ち位置なのかも分からないけど、剣聖と世界一の魔法使いの息子ってとんでもないDNAを受け継いでるんじゃないのか……。
貴族っぽいって立場もなかなかどうしてすごいって思ってたけど、それ以上に今の俺の体にはとんでもない力を秘めてるかもしれない。
「剣聖は世界一の剣士の称号。アルク様が壁を超える日は遠くないかもしれませんね」
「がははははっ! まだまだ負けんよ。しばらくは俺が剣聖だ」
あぁ、やっぱりすごい称号だった。
俺は世界一の剣士と世界一の魔法使いの子供か。
これはかかるプレッシャーもすごいものになりそうだ。
「アルク、明日から魔法と剣と両方を学びなさい。世界最高の力を身につけるのだ」
一人で状況を整理しようとしていると、すさまじい眼力を感じた。
そちらを見てみると、父様が鋭い目つきで俺を見る。
俺に選択肢はなかった。
「わ、分かりました……」
世界一のこわ面おっさんに凄まれては同意以外の選択肢は存在しない。
明日から俺がどんな風にしごかれるのか、恐怖でしかない。
こうして、俺は剣聖と賢者の息子として、地獄の修行日々を過ごすことになったのだった。
「おはようございます。昨晩はぐっすり眠れたようで何よりでございます」
おかしいなぁ。
目が覚めたはずなのに、俺は昨日寝たベッドと同じ場所で起床した。
目の前にはクリスタが無表情で俺の起床を待っていた。
辺りを見ても、昨日と同じように豪華な家具が揃えられている。パンピー愛用のアイリス●オーヤマ家具は一つとしてそこに存在していなかった。
もしかしたら、夢じゃないのかもしれない。
そんなめちゃくちゃな考えが頭を過ぎる。
もし、もしも今の俺がこれから先になるなら大変な事態
「父様と母様はもう起きてるか? 魔法のことについて話したいんだ」
「お二人とも起きておられます。ぼっちゃまの話をしたらとても興奮されていましたよ」
「それなら話が早い。身支度を整えたら少し話しをしたい」
「かしこまりました。すぐに準備致しますね」
クリスタはそういうと、俺の前に立つ。
首を傾げていると、
「ぼっちゃまいきますね」
凄まじい力で俺の服を剥ぎはじめた。
「いやいやいやいや!? 何してるんだ!?」
「お召し物を変えるのですが、どうされたのです?」
そうか。忘れてたけど今の俺は家族のおぼっちゃんだった。今までこの美人メイドに毎日服を変えさせてもらっていたようだな。
俺が抵抗したことに驚いたようで、目をパチパチさせながら俺のことを不思議そうに見た。
「すまん。何でもないよ」
抵抗しても無駄だろうし、諦めて着せ替え人形になることにした。
鏡の前に立ち、初めてこの世界での自分の姿を見たが、どうやら俺の身体はかなり変わっていた。
身長は150センチほどだ。
ただ、どこにでもいる日本人顔だったのに、金髪に青目、彫りの深くパーツの整った可愛らしい顔立ちになっている。
年齢もかなり若く、12歳程度に思えた。
美人に着替えさせられるのがかなり照れ臭かったのでそんなことを考えていると、俺は寝巻きから立派な家族の一緒に着せ替えられていた。
これぞ貴族といわんばかりの派手な服だ。
ゴテゴテとした装飾のせいで動きにくいが、向かうとしよう。
「クリスタ、俺を父様と母様のところに連れて行ってくれ」
「畏まりました」
クリスタの後について館を進む。
昨日は魔法への興奮と眠気もあったせいで周りを全く周りを見ていなかったが、どこもかしこも高そうな装飾品ばかりだ。
そんな廊下を進んでいくと、広間のような巨大な部屋に案内された。
コンコン
「失礼します」
扉を叩いたあと、クリスタが部屋に入る。
俺もそれについていくと、中には美人の奥様とやけにごついおっさんが椅子に座って談笑していた。
「おぉ! アルク、みんなが言ってた情報は本当なのか?」
「おはよう、アルク。私もブレイブさんが言ってたことが本当なのか気になるわ」
俺がクリスタの後ろから姿を見せると、二人は俺のところにバタバタと駆け寄ってきた。
昨日の話はばっちり聞いてるようだし、説明する必要はなさそうだ。
父様は腰に剣を差してるけど、美人母様の方は腰に杖を差しているし、魔法を使えそうな雰囲気がある。
「ブレイブ様、アリア様、ぼっちゃまはすでに中級魔法をお使いになられます。外で見てみるのがよろしいかと」
「ほぉ!!」
「話には聞いていたけど冗談よね? いくらなんでも魔法を使って初日に中級魔法を使いこなすなんて……」
母様が疑惑の目をクリスタに向ける。
そもそも男が魔法を使うこと自体ありえない世界なのに、さらにありえないことを重ねているせいで信ぴょう性が薄れているに違いない。
「見ていただければお分かりになります」
クリスタは母様に淡々と告げる。
クリスタを先頭に、俺は昨日魔法を使った場所の近くへと案内された。
近くには昨日俺が岩に放った影響を受けてか、地面に大きな焦げ跡が残されている。
「この焦げ跡は昨日ぼっちゃんが付けた焦げ跡です。これだけでもすごさがお分かりになるかとは思いますが……。ぼっちゃん、昨日の魔法をもう一度あの岩にぶつけてください」
クリスタが指さした先には、昨日よりも大きな岩が地面に突き刺さっている。
大きさは10メートル近くある、大岩田。
「こんな巨大な岩を破壊させるつもり? 中級魔法を使ったとしてもこれは破壊できないわ」
母様は魔法について詳しいのかもしれない。
俺が魔法を使うとかそういった問題ではなく、単純に普通の中級魔法では無理だと判断しているように見れた。
「母様、見ていてよ」
昨日と同じようにすれば魔法が発動できるだろうし、昨日と同じようにやってみよう。
ギルガメッシュをイメージし、昨日と同じように武器を大量に生成する。
昨日同じことをやってなれているおかげか、昨日よりも生成が簡単になっているように感じた。
目を瞑り、集中力を爆発させると、俺の背後に100を超える武器が一気に空中に現れた。
「ア、アルク? アルクがこれをやっているのよね?」
「そうだよ母様。なんだかよく分からないけど出来たんだ」
そのまま手を前に突き出し、巨大な岩に生成した武器をぶつける。
さすがにサイズが大きく、最初は焦げ跡が付く程度だったが、次第に削れていき最終的には俺の炎の武器にによって岩は砕かれた。
バラバラと破片が飛び散り、辺りに火の粉が舞っていく。
「すごい! すごいわアルク!!!」
「か、かぁさま……はなしっ……てっ!!」
光景をみた母様が俺のところまで寄ってくると、俺のことを力強く抱きしめた。
でかい胸に押しつぶされて、うまく息が出来ない。
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「別にいいよ。僕、ちゃんと魔法使えていたでしょ?」
「えぇ! さすが私の息子ね。これなら魔法を教えてあげないともったいないわ」
「そうだな。家の書庫にある魔術書を読むと良い。アルクが魔法を使えるならかなり勉強になるはずだ」
「アリア様は世界一の魔法使いである大賢者。そのアリア様が厳選した魔術書が書庫には保管されているので、きっとぼっちゃまも面白さを感じ取れるかと思います」
えぇ……。なんだかすごそうな杖を持っていたけど、そんなにすごい魔法使いだったのか。
「ただな、アルク。今まで通り剣の修行も行うから魔法に夢中になりすぎるなよ?」
「わ、分かりました……」
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この世界での剣聖がどの程度の立ち位置なのかも分からないけど、剣聖と世界一の魔法使いの息子ってとんでもないDNAを受け継いでるんじゃないのか……。
貴族っぽいって立場もなかなかどうしてすごいって思ってたけど、それ以上に今の俺の体にはとんでもない力を秘めてるかもしれない。
「剣聖は世界一の剣士の称号。アルク様が壁を超える日は遠くないかもしれませんね」
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あぁ、やっぱりすごい称号だった。
俺は世界一の剣士と世界一の魔法使いの子供か。
これはかかるプレッシャーもすごいものになりそうだ。
「アルク、明日から魔法と剣と両方を学びなさい。世界最高の力を身につけるのだ」
一人で状況を整理しようとしていると、すさまじい眼力を感じた。
そちらを見てみると、父様が鋭い目つきで俺を見る。
俺に選択肢はなかった。
「わ、分かりました……」
世界一のこわ面おっさんに凄まれては同意以外の選択肢は存在しない。
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