23 / 38
それぞれの意志を受け継ぐ者たち3
しおりを挟む
「おじいちゃん! 」
「儂はもうだめじゃ……ラージよ、お前に一つ頼みごとをしても良いかの? 」
「うん、何でもするよ。何かな? 」
「儂の道場を継いで世界一の武道家になってはくれんかの。それが儂の子供の頃からの夢だったのじゃ」
ラージの祖父は最後にそういうと命を引き取った。
ラージが6歳の頃だった。
ラージはそれから立派な武道家になるため雨の日も風の日も、毎日鍛錬に身を費やした。祖父の目指した世界一の武道家になるために。
その成果あってかラージが20歳の時、武道家世界選手権で優勝することができた。
しかしその日、人生最大の不幸がラージを襲う。
試合の後、道場に戻ると「お前の教え子は預かった。返して欲しければ試合会場に1番近いビルの地下へ来い」という手紙と共に中が荒らされていたのだった。
教え子という言葉にラージは体の中で何かが切れるような感覚に襲われた。
「待ってろよ、お前たち……」
ラージは早足でその場を後にした。
ラージが指定のビルの地下へ行くとそこには不快な臭いが漂っていた。
「なんだ……この臭いは……」
ラージはその不快な臭いを嗅いで理性が飛びそうになったが、それを押さえつけながらラージは進んだ。その臭いは血の臭いに似ていた。
そこから少し歩くとぴちゃり、という音が足元からした。ラージはそこへゆっくりと視線を移した。紅い水溜り……いや、血溜まりだ。その血溜まりは少し先の車の上まで伸びており、その上に布に包まれた何かが置かれていた。
ラージはその何かに向かってゆっくりと進む。いや、何かというのはその物がどんなものかわからない時に使う言葉だ。ラージはそれがどんなものかもう分かっていた。というより、血溜まりを見た時から、言うなれば駐車場に入った時から分かっていた。死体だ。そして、かつて教え子だった物だ。
ラージがその物を認識して、絶望していると後ろから野太い声が響いた。
「よう、にいちゃん。俺からのプレゼントは気に入ってもらえたか。残りのプレゼントは俺の家にあるからうちに来いよ」
ラージが振り返ると、そこには巨漢の男が立っていた。その男に見覚えがあった。名はドロウン・グリード。武道家前大会王者だ。ラージの祖父が決勝で後一歩のところで負けた相手で今大会のラージの血書戦の相手。ラージの火事場の馬鹿力と言えるような投げ技でやっとことで勝った実力者だ。ドロウンを投げたのはラージが初めてらしい。
「ほんと、よくお前は俺に勝ったよ。ジェイソン、と呼ばれるこの俺によぉ」
そのジェイソンという言葉にラージは身がすくんだ。
「そうだよ。その調子だ、ラージ。自分に自信を持て。そして、我々と一緒にこの世界の頂点に立つのだ!ついて来い!」
ラージはその言葉を聞いた瞬間、身体が操られたかのように警戒の動きを止め、ドロウンについていった。
ドロウンの後ろにはドレスを着た女の影が動いていた。
「儂はもうだめじゃ……ラージよ、お前に一つ頼みごとをしても良いかの? 」
「うん、何でもするよ。何かな? 」
「儂の道場を継いで世界一の武道家になってはくれんかの。それが儂の子供の頃からの夢だったのじゃ」
ラージの祖父は最後にそういうと命を引き取った。
ラージが6歳の頃だった。
ラージはそれから立派な武道家になるため雨の日も風の日も、毎日鍛錬に身を費やした。祖父の目指した世界一の武道家になるために。
その成果あってかラージが20歳の時、武道家世界選手権で優勝することができた。
しかしその日、人生最大の不幸がラージを襲う。
試合の後、道場に戻ると「お前の教え子は預かった。返して欲しければ試合会場に1番近いビルの地下へ来い」という手紙と共に中が荒らされていたのだった。
教え子という言葉にラージは体の中で何かが切れるような感覚に襲われた。
「待ってろよ、お前たち……」
ラージは早足でその場を後にした。
ラージが指定のビルの地下へ行くとそこには不快な臭いが漂っていた。
「なんだ……この臭いは……」
ラージはその不快な臭いを嗅いで理性が飛びそうになったが、それを押さえつけながらラージは進んだ。その臭いは血の臭いに似ていた。
そこから少し歩くとぴちゃり、という音が足元からした。ラージはそこへゆっくりと視線を移した。紅い水溜り……いや、血溜まりだ。その血溜まりは少し先の車の上まで伸びており、その上に布に包まれた何かが置かれていた。
ラージはその何かに向かってゆっくりと進む。いや、何かというのはその物がどんなものかわからない時に使う言葉だ。ラージはそれがどんなものかもう分かっていた。というより、血溜まりを見た時から、言うなれば駐車場に入った時から分かっていた。死体だ。そして、かつて教え子だった物だ。
ラージがその物を認識して、絶望していると後ろから野太い声が響いた。
「よう、にいちゃん。俺からのプレゼントは気に入ってもらえたか。残りのプレゼントは俺の家にあるからうちに来いよ」
ラージが振り返ると、そこには巨漢の男が立っていた。その男に見覚えがあった。名はドロウン・グリード。武道家前大会王者だ。ラージの祖父が決勝で後一歩のところで負けた相手で今大会のラージの血書戦の相手。ラージの火事場の馬鹿力と言えるような投げ技でやっとことで勝った実力者だ。ドロウンを投げたのはラージが初めてらしい。
「ほんと、よくお前は俺に勝ったよ。ジェイソン、と呼ばれるこの俺によぉ」
そのジェイソンという言葉にラージは身がすくんだ。
「そうだよ。その調子だ、ラージ。自分に自信を持て。そして、我々と一緒にこの世界の頂点に立つのだ!ついて来い!」
ラージはその言葉を聞いた瞬間、身体が操られたかのように警戒の動きを止め、ドロウンについていった。
ドロウンの後ろにはドレスを着た女の影が動いていた。
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
道化たちの末路
希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。
甘そうな話は甘くない
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
「君には失望したよ。ミレイ傷つけるなんて酷いことを! 婚約解消の通知は君の両親にさせて貰うから、もう会うこともないだろうな!」
言い捨てるような突然の婚約解消に、困惑しかないアマリリス・クライド公爵令嬢。
「ミレイ様とは、どなたのことでしょうか? 私(わたくし)には分かりかねますわ」
「とぼけるのも程ほどにしろっ。まったくこれだから気位の高い女は好かんのだ」
先程から散々不満を並べ立てるのが、アマリリスの婚約者のデバン・クラッチ侯爵令息だ。煌めく碧眼と艶々の長い金髪を腰まで伸ばした長身の全身筋肉。
彼の家門は武に長けた者が多く輩出され、彼もそれに漏れないのだが脳筋過ぎた。
だけど顔は普通。
10人に1人くらいは見かける顔である。
そして自分とは真逆の、大人しくか弱い女性が好みなのだ。
前述のアマリリス・クライド公爵令嬢は猫目で菫色、銀糸のサラサラ髪を持つ美しい令嬢だ。祖母似の容姿の為、特に父方の祖父母に溺愛されている。
そんな彼女は言葉が通じない婚約者に、些かの疲労感を覚えた。
「ミレイ様のことは覚えがないのですが、お話は両親に伝えますわ。それでは」
彼女(アマリリス)が淑女の礼の最中に、それを見終えることなく歩き出したデバンの足取りは軽やかだった。
(漸くだ。あいつの有責で、やっと婚約解消が出来る。こちらに非がなければ、父上も同意するだろう)
この婚約はデバン・クラッチの父親、グラナス・クラッチ侯爵からの申し込みであった。クライド公爵家はアマリリスの兄が継ぐので、侯爵家を継ぐデバンは嫁入り先として丁度良いと整ったものだった。
カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる