嫌われ元勇者は異世界から来た黒ギャルと出会う

dessy

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嫌われ元勇者

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ここは、エウリスト。

大帝国、ベネジスト王国の傘下にある中規模の街だ。

エウリストの中心部、食品や雑貨を取り扱う商店が集まる通りを歩く男が1人。


「安いよ安いよー!今日はこのディアーの肉が…げっ」

威勢よく声を張り上げていた店主もその男を見て思わず顔をしかめる。

「…ほら、あれが噂の…」

「あぁ…あの…」

「気色悪いわね…早くどこかに行ってくれないかしら…」


主婦の噂話の主役も、たちまち彼になる。


革のリュックを背負った男は、薄汚れたねずみ色のローブを頭から被り白い髪が目元を隠している。
グローブから突き出した指先はほの暗く、爪に至っては真っ黒だ。
 

「いたっ…」

頭に小さな衝撃が走る。

足元を見ると、小石が転がっていた。


後ろを振り返っても、誰も彼と目を合わせようとはしない。


そして、通りを歩き去る男を、そこにいる皆が眉をひそめ見送った。







街から20kmほど離れた場所に彼の住処があった。

木でできたボロボロの家。屋根も壁も所々穴が開き、隙間風が吹き込んでいる。
家の中にはベッドに机、鉢植えに入った植物が何個かがあるだけだ。

「はぁ…」

男は溜息をつきながらリュックから、街で借りた本を取り出していく。


植木鉢に入った適当な植物の葉を毟り、机に向かう。

そして、毟った葉をかじりながら本に目を通していく。

この男の名前はティリオ。
以前は勇者として、世界に名を轟かせていた。
しかし、今は人々から忌み嫌われるという真逆の人生を歩んでいる。


彼が元は名のある勇者でありながら人々に嫌われている理由、それは






彼の身体中の水分が毒で構成されているからである。
血液も汗も、涎や涙すらも毒なのだ。






今でこそ防護魔法を帯びた衣服を身にまとい、周りの人間に一切害は無いのだが、それでも人々は


『 彼に近づくと病気になる。』

『 彼に触ると死んでしまう。』


そう信じて疑わないのだ。


今彼がかじっている葉っぱも毒草。
しかも、触るだけで葉の表面の毛のような極小な棘から毒を注入。
その後、身体中を焼かれるような激痛が襲うほどの猛毒を持つ。

しかし、彼にとっては毒こそが栄養。
彼は毒を摂取することで、生命維持をしている。


("ゲルネン"…痛覚の麻痺。血管縮小の効果あり。)


毒草を食べながら、借りた本の有用な部分を独自のノートに書き写す。

これが彼の日課だ。



こうして今日も彼の何気無い一日が始まるはずだった。




しかし






ドゴオオオオオオォォン!!








突然鳴り響いた爆音が、ティリオの運命を大きく変えようとしていた。
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