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第180話 [領都オブシアン]
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ドルボアさんにそう言われ、外を見ると辺り一面が銀世界になっていた。
「あれ?2時間前に見た時は雪なんて降ってなかったのに?」
「この時期は一日置きに山から雪が降ってきて1時間程この様な状態になりますね。」
「それにしては積もってないですね。」
「街全体や街道には魔法が施されており、1時間もすれば雪は無くなってしまいますよ。」
「なるほど、だから街の周辺よりも雪が積もってないんですね。」
「そうですね。ただ・・・。」
「どうされたんですか?」
「いえ、例年よりも周辺の雪の量が多いような気がするなぁと思いまして。」
「そうなんですか?」
「はい。もしかしたら今年は例年よりも寒いのかもしれません。」
「もしかして問題があるんですか?」
「いえ、街道が雪の所為で鎖されない限りはなんとかなるので問題ありません。それよりも街の外からも見えている、あの塔が領主の邸となりますが、このまま行っても宜しいでしょうか?」
「大丈夫ですよ。」
俺達はそう言いながらドルボアさんの馬車という事もあり、門を素通りして街の中心にある塔を目指していた。
「ところで何故、塔なんですか?」
「そうですね。不思議に思われるかもしれませんが、この街と街道の為です。」
「街と街道・・・あっ!なるほど雪を溶かしてる魔法は、あの塔で掛けてるんですね。」
「はい。その通りです。」
「でもそんなに大事な事を話しても良かったんですか?」
「問題ありません、シュウト様ですから。」
え?・・・えぇと。
俺がドルボアさんの答えに戸惑っているとドルボアさんは更に話し掛けてきた。
「では、シュウト様は塔を破壊して、この領都オブシアンを混乱に陥れる様な事をなさいますか?」
「いや、しないです。」
「では、塔を破壊して街道を雪で塞ぎ、民を苦しめますか?」
「しないです。」
「もくしは他国にこの情報を渡しますか?」
「無いです。」
「ですのでお教えする事に何の問題もありません。」
はぁ~信頼が重くない?
俺がそう思っていると馬車が塔の前で止まった。
「さぁ着きました。では、シュウト様の事を隠す意味もありますし、ネクロと並んで着いて来てもらう事は可能でしょうか?その方が護衛の1人として邸の中に入れますが如何なさいますか?」
「はい。それでお願いします。」
「ネクロ、では頼む。」
「ハッ!ではシュウト様は儂の後に着いて来て下され。」
ネクロさんにそう言われた俺はネクロさんの後を追って邸の中に入った。
中に入るとドルボアさんは執事の人に何かを話すと執事の人は隣に居たメイドさんに指示を出し、その後、大きな扉へ案内された。
「父上、ただいま戻りました。」
「うむ、入れ。」
中からそう聞こえた俺達が中に入ると壮年の男性とその奥様と思われる女性が座っており、その他、ドルボアさんと歳近い男女の方、その隣に俺と同年代位の男女が居た。
「久しいのぅドルボアよ。」
「お久しぶりです父上。」
「お前が帰って来れるとはそろそろなのか?」
「いえ、まだ後任に任せるにはもう少し掛かるかと。」
「そうか。では此度はどうした?もしや、その隣におる御仁の付き添いか?」
「その通りですが、紹介するには結界を張らせて頂きたいのですが、宜しいでしょうか?」
ドルボアさんにそう言われた壮年の男性は少し考えてから頷くとドルボアさんは執事の人とネクロさんに合図を出した。すると2人は息を合わせて結界を張ってくれた。
「それでその方は何方なのだ?」
「父上、その前に此処に居る者全員に契約をしてもらいます。」
「そこまでか、分かった皆の者異論はないな。」
壮年の男性がそう言うと全員が頷いたのでドルボアさんが契約書を渡して契約済ませた。
「では、御紹介致します。此方に・・・・・」
ドルボアさんが俺の事を紹介するといつも通りの光景が広がった。
「皆さん、立って下さい。普通に接してくれた方が良いんで。」
「・・・。」
「父上、シュウト様がそう仰っているのです。それにまだ自己紹介もされてないではないですか。」
ドルボアさんのその言葉にハッ!とした表情を浮かべた壮年の男性は勢いよく立ち上がり、俺に頭を下げてきた。
「シュウト様、申し訳ございません。私はこのドゥネス・オブシアン公爵領の領主をしております。ヘラシオン・ドゥネス・オブシアンと申します。名乗るのが遅れて申し訳ございませんでした。」
「気にしないで下さい。それに他の公爵家当主の皆さんも殿って言ってますし、ヘラシオンさんも殿で良いですよ。」
「そ、そういう訳には・・・。」
「なら、呼び捨てで。その方が気楽なんで。」
「で、でしたらシュウト殿とお呼び致します。」
「いや、言葉使いも普通でお願いします。」
俺がそう言うとヘラシオンさんが困った顔をしていたのを見たドルボアさんが声を掛けた。
「父上、父上のお気持ちも分かりますが、シュウト様のご意向です。シュウト様が使徒様としての格好をしていない時はせめて父上だけでもその様に。」
そう言われたヘラシオンさんは暫く考えてから答えてくれた。
「・・・そうか、使徒様の格好というのはよく分からんが、そうしよう。それでシュウト殿、使徒様として格好とはどの様な格好なのか教えてくれぬか?そうでなくては間違った言動を儂もこの者らも分からぬゆえにしてしまうかもしれないのでの。」
「父上、他の者の紹介も終わってないのですし、シュウト様が着替える必要もありますよ。紹介の後でお願いされてはどうですか?」
「おぉ、そうじゃな。」
俺は他の方を紹介される前にドルボアさんに声を掛けた。
「ドルボアさん、1つ良いですか?」
「何でしょうか?」
「ドルボアさんも此処はお城でも無いですし、普通で良いんですけど。」
「それは出来ません。」
「何故ですか?」
「それはシュウト様が王家のメダルを所持しているからでございます。」
「王家のメダルですか?」
「はい。王家のメダルを所持している者は王家の客人もしくは、王家の親類となり、扱いとしては公爵家当主と最低限、同等の扱いと成りますので。」
「えっ!?そんな事になるんですか!?」
「はい。当然そうなります。でなければ、機密区画等の場所に入る事は許されませんので。あっ、そういう意味では公爵家よりも地位がありますが、そこはシュウト様が、望まれませんので、公爵家当主と同等という事に。」
「はぁ、分かりました。あっ、でも世代が一緒の人はせめて普通にして頂けると嬉しいです。」
「そうですね。それでしたら公式の場でない限り、昔からのお友達という事で通せますね。」
ドルボアさんの言葉に俺がホッとしているとヘラシオンさんが声を掛けてきた。
「シュウト殿、他の者を紹介しても良いかのぅ?」
「あっ!すいません。お願いします。」
「そうか、それでは儂の横にいるのが妻の
ペークシスじゃ。」
「ペークシス・ドゥネス・オブシアンと申します。ペークシスとお呼び下さい。」
「流石に呼び捨ては出来ませんし、ペークシスさんでお願いします。」
俺がそう言うとペークシスさんはニコッとして頷いてくれた。
「その隣りに居るのは公爵補佐をしておる次男のニックスじゃ。」
「王都で大臣をしている兄に代わり、補佐を担当しておりますニックス・ドゥネス・オブシアンでございます。お好きにお呼び下さい。」
「ニックスさんとお呼びしますね。」
「承知致しました。」
「その横に居るのは娘なんじゃが、少々お転婆でのぅ。今は騎士団長をしているイスベルじゃ。」
「父上、お転婆は余計ではないか!」
「いや、嫁にも行かず、騎士団長をしておる者をお転婆と言って何が悪い。」
「それは私以上に強い者が居らんかったからではないですか!」
「その様な事を言っておるから貰い手が無いのじゃ!」
「ん゛ん゛・・・父上、後に。イスベルもシュウト様の前で失態を晒すな。」
ドルボアさんがそう言うと2人共、喧嘩を止めた。
「申し訳ございませんシュウト様。私がこの公爵領の騎士団長をしておりますイスベル・ドゥネス・オブシアンでございます。」
「よろしくお願いしますイスベルさん。でも何故、ご令嬢なのに騎士団長なんですか?」
俺がそう言うとドルボアさんが答えてくれた。
「それはこの公爵領で妹が1番強く、他領からは女剣聖や剣姫と呼ばれる程だからで、この公爵領の兵士を鍛えていたらいつの間にか騎士団長の座に着いていたのです。」
「そ、そうなんですね。」
「恥ずかしい限りじゃが、指揮能力、戦闘技術は共に公爵領随一なのじゃ。」
「そうなんですね。」
俺がそう言うとドルボアさんが再度話し掛けて女性の隣りに移動した。
「後の者は私が紹介致します。隣りに居りますのは私の妻でグラシアールと申します。」
「グラシアール・ドゥネス・オブシアンと申します。お好きにお呼び下さい。」
「では、グラシアールさんとお呼びしますね。」
「その隣りが息子のタロスでございます。」
「タロスです。僕は多分歳も近いからタロスって呼んでね。」
「分かった。俺の事もシュウトって呼んでくれ。」
「あぁ、公式の場所じゃない時はそうするよ。」
「あぁ、頼む。」
「それからその隣りに居りますのが、私の娘でスーニエでございます。」
「スーニエ・ドゥネス・オブシアンです。私も歳が近いのでスーニエとお呼び下さい。」
「分かった。スーニエはどうする?」
「私はこれでも公爵家の令嬢ですのでシュウト様でお願い致します。」
スーニエがそう言うとタロスがクスッと笑った。
「お兄様、何故笑ったのですか?」
「いや、だってイスベル叔母様に憧れて剣術以外に令嬢としての習い事を何一つしてないだろ?」
「お、お兄様それはそのぅ・・・。」
「スーニエ、どういう事だ?父には令嬢としての習い事も必ずすると言っていなかったか?」
「えぇと・・・そのぅ・・・。」
「ドルボア、まぁまだ子供じゃ今から鍛えれば良いではないか。」
「父上は孫に甘過ぎます。イスベルの様に成ったらどうするのですか。またも他領から彼処には娘は居ないとバカにされるのですよ。」
「兄上、どういう事ですか?何処の誰がその様な事を?」
「あっ・・・イスベル、いやまぁ・・・。」
「イスベル、一先ず後にの。」
「・・・兄上、後で。」
「・・・あぁ、分かった。最後にそこの者は公爵家で執事長をしてますアイズベルグです。」
「只今御紹介に預かりましたアイズベルグと申します、ベルグとお呼び下さい。」
「よろしくお願いしますベルグさん。」
「これで紹介は終わりじゃの。それでは使徒様としての格好をお願い出来ますかな?」
「分かりました。」
俺はそう言うと一旦、断りを入れてから着替える為にアイテムボックス改の中に入った。
「あれ?2時間前に見た時は雪なんて降ってなかったのに?」
「この時期は一日置きに山から雪が降ってきて1時間程この様な状態になりますね。」
「それにしては積もってないですね。」
「街全体や街道には魔法が施されており、1時間もすれば雪は無くなってしまいますよ。」
「なるほど、だから街の周辺よりも雪が積もってないんですね。」
「そうですね。ただ・・・。」
「どうされたんですか?」
「いえ、例年よりも周辺の雪の量が多いような気がするなぁと思いまして。」
「そうなんですか?」
「はい。もしかしたら今年は例年よりも寒いのかもしれません。」
「もしかして問題があるんですか?」
「いえ、街道が雪の所為で鎖されない限りはなんとかなるので問題ありません。それよりも街の外からも見えている、あの塔が領主の邸となりますが、このまま行っても宜しいでしょうか?」
「大丈夫ですよ。」
俺達はそう言いながらドルボアさんの馬車という事もあり、門を素通りして街の中心にある塔を目指していた。
「ところで何故、塔なんですか?」
「そうですね。不思議に思われるかもしれませんが、この街と街道の為です。」
「街と街道・・・あっ!なるほど雪を溶かしてる魔法は、あの塔で掛けてるんですね。」
「はい。その通りです。」
「でもそんなに大事な事を話しても良かったんですか?」
「問題ありません、シュウト様ですから。」
え?・・・えぇと。
俺がドルボアさんの答えに戸惑っているとドルボアさんは更に話し掛けてきた。
「では、シュウト様は塔を破壊して、この領都オブシアンを混乱に陥れる様な事をなさいますか?」
「いや、しないです。」
「では、塔を破壊して街道を雪で塞ぎ、民を苦しめますか?」
「しないです。」
「もくしは他国にこの情報を渡しますか?」
「無いです。」
「ですのでお教えする事に何の問題もありません。」
はぁ~信頼が重くない?
俺がそう思っていると馬車が塔の前で止まった。
「さぁ着きました。では、シュウト様の事を隠す意味もありますし、ネクロと並んで着いて来てもらう事は可能でしょうか?その方が護衛の1人として邸の中に入れますが如何なさいますか?」
「はい。それでお願いします。」
「ネクロ、では頼む。」
「ハッ!ではシュウト様は儂の後に着いて来て下され。」
ネクロさんにそう言われた俺はネクロさんの後を追って邸の中に入った。
中に入るとドルボアさんは執事の人に何かを話すと執事の人は隣に居たメイドさんに指示を出し、その後、大きな扉へ案内された。
「父上、ただいま戻りました。」
「うむ、入れ。」
中からそう聞こえた俺達が中に入ると壮年の男性とその奥様と思われる女性が座っており、その他、ドルボアさんと歳近い男女の方、その隣に俺と同年代位の男女が居た。
「久しいのぅドルボアよ。」
「お久しぶりです父上。」
「お前が帰って来れるとはそろそろなのか?」
「いえ、まだ後任に任せるにはもう少し掛かるかと。」
「そうか。では此度はどうした?もしや、その隣におる御仁の付き添いか?」
「その通りですが、紹介するには結界を張らせて頂きたいのですが、宜しいでしょうか?」
ドルボアさんにそう言われた壮年の男性は少し考えてから頷くとドルボアさんは執事の人とネクロさんに合図を出した。すると2人は息を合わせて結界を張ってくれた。
「それでその方は何方なのだ?」
「父上、その前に此処に居る者全員に契約をしてもらいます。」
「そこまでか、分かった皆の者異論はないな。」
壮年の男性がそう言うと全員が頷いたのでドルボアさんが契約書を渡して契約済ませた。
「では、御紹介致します。此方に・・・・・」
ドルボアさんが俺の事を紹介するといつも通りの光景が広がった。
「皆さん、立って下さい。普通に接してくれた方が良いんで。」
「・・・。」
「父上、シュウト様がそう仰っているのです。それにまだ自己紹介もされてないではないですか。」
ドルボアさんのその言葉にハッ!とした表情を浮かべた壮年の男性は勢いよく立ち上がり、俺に頭を下げてきた。
「シュウト様、申し訳ございません。私はこのドゥネス・オブシアン公爵領の領主をしております。ヘラシオン・ドゥネス・オブシアンと申します。名乗るのが遅れて申し訳ございませんでした。」
「気にしないで下さい。それに他の公爵家当主の皆さんも殿って言ってますし、ヘラシオンさんも殿で良いですよ。」
「そ、そういう訳には・・・。」
「なら、呼び捨てで。その方が気楽なんで。」
「で、でしたらシュウト殿とお呼び致します。」
「いや、言葉使いも普通でお願いします。」
俺がそう言うとヘラシオンさんが困った顔をしていたのを見たドルボアさんが声を掛けた。
「父上、父上のお気持ちも分かりますが、シュウト様のご意向です。シュウト様が使徒様としての格好をしていない時はせめて父上だけでもその様に。」
そう言われたヘラシオンさんは暫く考えてから答えてくれた。
「・・・そうか、使徒様の格好というのはよく分からんが、そうしよう。それでシュウト殿、使徒様として格好とはどの様な格好なのか教えてくれぬか?そうでなくては間違った言動を儂もこの者らも分からぬゆえにしてしまうかもしれないのでの。」
「父上、他の者の紹介も終わってないのですし、シュウト様が着替える必要もありますよ。紹介の後でお願いされてはどうですか?」
「おぉ、そうじゃな。」
俺は他の方を紹介される前にドルボアさんに声を掛けた。
「ドルボアさん、1つ良いですか?」
「何でしょうか?」
「ドルボアさんも此処はお城でも無いですし、普通で良いんですけど。」
「それは出来ません。」
「何故ですか?」
「それはシュウト様が王家のメダルを所持しているからでございます。」
「王家のメダルですか?」
「はい。王家のメダルを所持している者は王家の客人もしくは、王家の親類となり、扱いとしては公爵家当主と最低限、同等の扱いと成りますので。」
「えっ!?そんな事になるんですか!?」
「はい。当然そうなります。でなければ、機密区画等の場所に入る事は許されませんので。あっ、そういう意味では公爵家よりも地位がありますが、そこはシュウト様が、望まれませんので、公爵家当主と同等という事に。」
「はぁ、分かりました。あっ、でも世代が一緒の人はせめて普通にして頂けると嬉しいです。」
「そうですね。それでしたら公式の場でない限り、昔からのお友達という事で通せますね。」
ドルボアさんの言葉に俺がホッとしているとヘラシオンさんが声を掛けてきた。
「シュウト殿、他の者を紹介しても良いかのぅ?」
「あっ!すいません。お願いします。」
「そうか、それでは儂の横にいるのが妻の
ペークシスじゃ。」
「ペークシス・ドゥネス・オブシアンと申します。ペークシスとお呼び下さい。」
「流石に呼び捨ては出来ませんし、ペークシスさんでお願いします。」
俺がそう言うとペークシスさんはニコッとして頷いてくれた。
「その隣りに居るのは公爵補佐をしておる次男のニックスじゃ。」
「王都で大臣をしている兄に代わり、補佐を担当しておりますニックス・ドゥネス・オブシアンでございます。お好きにお呼び下さい。」
「ニックスさんとお呼びしますね。」
「承知致しました。」
「その横に居るのは娘なんじゃが、少々お転婆でのぅ。今は騎士団長をしているイスベルじゃ。」
「父上、お転婆は余計ではないか!」
「いや、嫁にも行かず、騎士団長をしておる者をお転婆と言って何が悪い。」
「それは私以上に強い者が居らんかったからではないですか!」
「その様な事を言っておるから貰い手が無いのじゃ!」
「ん゛ん゛・・・父上、後に。イスベルもシュウト様の前で失態を晒すな。」
ドルボアさんがそう言うと2人共、喧嘩を止めた。
「申し訳ございませんシュウト様。私がこの公爵領の騎士団長をしておりますイスベル・ドゥネス・オブシアンでございます。」
「よろしくお願いしますイスベルさん。でも何故、ご令嬢なのに騎士団長なんですか?」
俺がそう言うとドルボアさんが答えてくれた。
「それはこの公爵領で妹が1番強く、他領からは女剣聖や剣姫と呼ばれる程だからで、この公爵領の兵士を鍛えていたらいつの間にか騎士団長の座に着いていたのです。」
「そ、そうなんですね。」
「恥ずかしい限りじゃが、指揮能力、戦闘技術は共に公爵領随一なのじゃ。」
「そうなんですね。」
俺がそう言うとドルボアさんが再度話し掛けて女性の隣りに移動した。
「後の者は私が紹介致します。隣りに居りますのは私の妻でグラシアールと申します。」
「グラシアール・ドゥネス・オブシアンと申します。お好きにお呼び下さい。」
「では、グラシアールさんとお呼びしますね。」
「その隣りが息子のタロスでございます。」
「タロスです。僕は多分歳も近いからタロスって呼んでね。」
「分かった。俺の事もシュウトって呼んでくれ。」
「あぁ、公式の場所じゃない時はそうするよ。」
「あぁ、頼む。」
「それからその隣りに居りますのが、私の娘でスーニエでございます。」
「スーニエ・ドゥネス・オブシアンです。私も歳が近いのでスーニエとお呼び下さい。」
「分かった。スーニエはどうする?」
「私はこれでも公爵家の令嬢ですのでシュウト様でお願い致します。」
スーニエがそう言うとタロスがクスッと笑った。
「お兄様、何故笑ったのですか?」
「いや、だってイスベル叔母様に憧れて剣術以外に令嬢としての習い事を何一つしてないだろ?」
「お、お兄様それはそのぅ・・・。」
「スーニエ、どういう事だ?父には令嬢としての習い事も必ずすると言っていなかったか?」
「えぇと・・・そのぅ・・・。」
「ドルボア、まぁまだ子供じゃ今から鍛えれば良いではないか。」
「父上は孫に甘過ぎます。イスベルの様に成ったらどうするのですか。またも他領から彼処には娘は居ないとバカにされるのですよ。」
「兄上、どういう事ですか?何処の誰がその様な事を?」
「あっ・・・イスベル、いやまぁ・・・。」
「イスベル、一先ず後にの。」
「・・・兄上、後で。」
「・・・あぁ、分かった。最後にそこの者は公爵家で執事長をしてますアイズベルグです。」
「只今御紹介に預かりましたアイズベルグと申します、ベルグとお呼び下さい。」
「よろしくお願いしますベルグさん。」
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