転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア

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第366話 [吸魂の儀。]

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俺達が街の門に差し掛かると中から誰かが急いだ様子で出てくる気配がした。

「タケノミヤさん、誰か来ましたけど、止められないんじゃなかったでしたっけ?」

「普段はそうですが、どうやら緊急の様です。シュウト殿、少し予定を変更する形になるかもしれません。」

「良いですよ。」

俺がそう言うとタケノミヤさんが何かを唱えて馬車を止めた。すると門から走ってきた人が扉の前まで来て跪いた。

「何事ですか?」

「ハッ!現在、陰陽寮にて爆発が起き、街中に霊が溢れ返った為、緊急令が発令されております。」

「爆発・・・霊・・・まさか!」

タケノミヤさんはそう言うと俺の方を見てきたので、俺は静かに肩を叩いた。

「やはり・・・はっ!そうだ!・・・状況は分かりました。私が対処しますので門を開けなさい!早く!」

「ハッ!」

タケノミヤさんにそう言われた人は立ち上がり急いで門へと走って行った。

「シュウト殿、どうやら大量の封印結晶に納められていた御霊の浄化を試みた様です。」

「大量?・・・あぁ、確かに街中に霊が居るのに対して人々は家や屋敷の中にいますね。これが緊急令ですか?」

「流石シュウト殿、その通りにございます。ですが、街中ですか・・・これは参りました。」

「どうされました?」

「今、街には事態に対処する為、街中に陰陽師とその配下が居るはずです。ですので、シュウト殿には申し訳ないのですが、私が持つ封印結晶に魂を集めつつ行動しようと思っていたのですが、今の状況では・・・。」

「時間が掛かると?」

「はい。」

「それなら協力しましょうか?」

「いえいえ、それではシュウト殿の御姿を皆に見られる可能性が。それにそうでなくともいきなり対処していた霊が転生してしまった場合、更なる騒動に発展しかねません。」

「あぁ。・・・ところで封印結晶とはなんですか?」

「はい。封印結晶とはこの街の陰陽寮の儀式場に保管されている陰陽玉の代わりに霊魂を封印する結晶です。」

「代わり?あぁ。それでその封印結晶って陰陽玉と比べて、どのくらい違うんですか?」

「比べるなど、以ての外!」

俺の言葉にタケノミヤさんは興奮気味にそう言われた俺は少し焦りながら話を続ける事にした。

「あっ、えぇと、泰山府君様が創った陰陽玉じゃなくて幻精霊達が作った方ですよ。」

「そうだとしてもシュウト殿の御力なくして出来ません。シュウト殿の御力の結晶と言っても過言では無いはずです。」

「まぁ、固めたんでそうなりますね。」

「はい。でしたら私共の使用する封印結晶などと比べてはなりませぬ。」

「は、はぁ・・・。それってどのくらい違うんですか?」

「・・・。」

俺がそう言うとタケノミヤさんは黙ったままジッと俺を見てきた。

「あっ!比べるとかじゃなくて実状はどうかなぁ~?って。」

「・・・確かに実際に封印結晶がどの程度の収容数があるのかご存知ないのであれば当然の疑問でしたね。私の早とちりで申し訳ありません。」

「いえいえ、それでどうなんですか?」

俺がそう言うとタケノミヤさんが袖口から大中小の結晶石を取り出して見せてくれた。

「こちらの小さい方から最大収容数が1人、5人、10人となっております。ただ最大収容数が10人だとしても元々仲違いと言いますか相性の悪い者同士の霊ですと暴れる事が御座いまして、収容数は変わってきます。」

「あぁ、そこは霊魂になったとしても相性って有るんですね。・・・まぁでも確かに意思をお持ちの方は多かったし・・・暴れると壊れてしまうとかですか?」

「はい。それぞれ耐久値がございまして、その耐久値を超えると破損し中から弾き飛ばされる様に霊魂が何処かへと行ってしまい、その経験をされた霊達は入る事を嫌がる傾向にあります。ですので、今回の方達は収容に時間が掛かるかと。」

「なるほど、何かしら恐怖などの感情が芽生えるって事ですかぁ・・・それで陰陽玉はどうなんですか?」

「文献でしか分かりませんが収容数に制限は記載されていません。ただ送り出した霊魂の方の証言では、心地良い平原に皆で居たとの事でしたので、別の世界が広がっているのかと思われます。」

って事は俺のアイテムボックス改と近いのかなぁ

俺がそう考えながら黙っているとタケノミヤさんが不思議そうな顔で覗き込んできた。

「あぁすいません。なんとなくですけど、分かりました。ただ素人の考えで申し訳ないんですけど、それなら陰陽玉を使ってみたらどうですか?」

俺がそう言うとタケノミヤさんはハッとした表情に変わり袖口から大事そうに陰陽玉を取り出した。

「確かにその通りです。何故思い出せなかったのか、自分自身恥ずかしい限りです。」

「あっ、使えるって事ですか。」

「はい。通常の使い方とは別に今と同じ様な状況での使用方法も文献に載っており、私自身の魔力が足るものかは別として行ってみようかと思います。」

「魔力?・・・それって協力は可能ですか?」

「宜しいのですか!?」

「出来るなら・・・やり方とかは分かりませんけど。」

「でしたら・・・これより街の中心に到達しましたら‘’吸魂の儀”を執り行いますので、その前に陰陽玉へ魔力を込めて頂けますでしょうか?」

「どの程度・・・?」

「それはこちらで合図致しますので、ゆっくりとお願い出来ますか?」

「ゆっくりですか?」

「はい。なんとなくですが、勢い良く込めた場合、別の術が発動しそうなので。」

「別の術?」

「はい。文献が正確な場合、陰陽玉のみで発動する術なのですが、広範囲の魂を全て浄化、消滅させてしまう結界の様なモノが広がるそうです。」

「あぁ、確かに危険ですね・・・分かりました。」

俺の返事を聞いたタケノミヤさんは深々と頭を下げてから急いで街の中心へと馬車を走らせていき、俺に陰陽玉を渡すと開始の合図を俺に送ってきた。

街の中心に着いた様で馬車が止まり、暫くすると陰陽玉の色が黒と白に別れて輝き出した。

「シュウト殿、そこまでで。」

そう言われた俺は変化した陰陽玉をタケノミヤさんの指示の元タケノミヤさんが書いた魔法陣の中心に置いた。

タケノミヤさんが目を閉じて呪文を唱えると魔法陣から太極図が浮き出し空へ投影されると街全体に広がって行き、回転し始めた。

何も起こらないと思っていると街全体から霊魂が吸い寄せられる様に回転する太極図に吸収され、全ての霊魂を吸収し終わると今度は太極図自体が小さくなっていき、陰陽玉へと入って消えてしまった。

「これで完了ですか?」

「恐らく、私が持っていた封印結晶からも魂が抜け出し、太極図へ吸い込まれていましたので、街中の魂はこの陰陽玉の中にいらっしゃるのかと。」

「恐らくとは?」

「街全体を観る力は御座いませんので。」

「あぁそういう事ですか。」

俺はそう言うと街全体を神の瞳を使用して確認した。

「確かにタケノミヤさんが仰った様に全員収容されたみたいですね。」

「術が成功した様で良かったです。あのまま私自身だけでしたら街の半分程で終わってしまっていたのは確実です。この度は御助力頂き、誠にありがとう御座いました。」

「いえいえ、魔力を込めただけですし。それより此処ってタケノミヤさんが仰っていた陰陽寮ですか?」

俺が気にする様子を見せずにタケノミヤさんにそう言うとタケノミヤさんも何も言わずに一礼してから話し始めた。

「はい。他の藩と違い、土地柄もありまして、ヤクマル藩は城を中心から外し、陰陽寮を中心に構える街となっております。」

「確かに山を背後にしてるのか、山の方に城がありますもんね。でもあの山って何も襲ってこないんですか?」

「霊峰フジと呼ばれる山でして、魔物が発生しない上に悪意の有る魔法を使用する事も出来ないのです。」

「聖域とは違う感じですよねぇ・・・。」

「はい。その通りです。私供も調べましたが、分からないという結果しか存じ上げません。」

「なるほど、険しい山みたいですし、敵陣も潜伏出来そうにないですね。」

「はい。過去には1度陣を張ろうとした者が居たそうなのですが、不可能だったという文献もありますね。」

「なるほど。」

「では‘’魂送の儀”を行う儀式場へと参りましょうか。」

そう言われた俺はタケノミヤさんに並んで歩き始め、周囲には今回の騒ぎで誰も居なかった事もあって、歩きながらタケノミヤさんに質問する事にした。

「タマオクリ?魂を送るって事ですよね?」

「はい。魂送の儀とは専用の護符で囲まれ、外界とは遮断し、呪文を使用する事で魂を浄化し、転生に備える状態を作り、転生してもらう術に御座います。」

「あぁ、前世でも少し違いますけど聞いた事はありますね。」

「ほう、それは興味深い。差し支えなければその少しの違いをご教授願えませんでしょうか?」

「良いですよ。こっちの世界ではあるか分かりませんけど、転生させるのではなく、冥界に送る儀式だったと思います。」

「冥界?・・・魔人などの魔物の上位種が居るという冥界ですか?」

「あっ、それとは違って、う~ん・・・概念と言ったら良いのか、そういう世界が在ると信じられてきたんです。」

「左様でしたか。もしかしたらこの世界は相当悪い魂ではない限り直ぐに転生すると決められていますので、泰山府君様が変えられたのかもしれませんね。」

「それは有り得るかもしれませんね。」

俺達がそう話していると大きな扉の前へと到着しタケノミヤさんが立ち止まり、皆んなもそれに従い立ち止まった。

「此処ですか?」

「はい。此方が儀式場となります。」

タケノミヤさんがそう言いながら印を組むと扉が勝手に開き、俺達はタケノミヤさんに促されるまま弓兵とノブツナさんを残して中に入って行った。

「あれ?ノブツナさんは?」

「この場は私の最も信頼して、最も相性の良い従者としてノブテルしか入れないとされています。まぁそれは邪魔されると危険が伴うだけなので、信頼出来る者なら何人でも良いのですが、ノブツナ殿が前例を作ると問題が生じるとかで禁止事項として徹底してるのです。」

「なるほど。」

そう言いながら中に入ると元は幾つもの封印結晶だったであろう粉々の結晶と数人の炭になった人達が立っていた。

「やはりあの者達か・・・。」
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