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第五十一話(病室の中)
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ーーあれ、此処って……。
目覚めてから初めに視界に飛び込んできたのは白塗りの天井。次に白色のカーテン。そして、腕を包帯でぐるぐる巻きにした痛々しい妹の姿。
何故かは分からないが、慈愛は兄と一緒のベッドの上で眠っている。
隣にはもう一つ同じようなベッドが並んでいて、それはおそらくだが慈愛ちゃんの為に用意されたものだ。
「慈愛ちゃん…………まあいっか」
ーー折角気持ち良さそうに眠っているのに起こしちゃ可哀想だしな。
日影が優しく妹の銀髪を撫でていると病室のドアが開いて誰かが入ってきた。
「あら日影。やっと起きたのね。お久しぶり」
「歌姉。ひょっとして見舞いに来てくれたのか?」
「そう。あんたじゃなくて慈愛ちゃんのお見舞いにね」
相変わらずの姉のひいきっぷりは、日影が大怪我をしても変わらないようだ。
流石に慈愛ちゃんの体を抱えたままじゃ、あの一撃は避ける暇が無かったな。おかげで頭に包帯を何巻もするような重傷を負っちまったよ。
相手は相手で永久歯を失う大惨事になった訳だが……、まあ、それも自業自得だ。
「小学生としての生活はどうだった?十分に満喫は出来たのかしら?」
「そう、だな……あんなリスキー過ぎる仕事は二度と引き受けたくないな。いつ正体がバレるのかひやひやしっぱなしだった」
「その件であんたに伝えておかなくちゃならない話があるの。聞いてくれる?」
何となくだが、歌姉がこれから話す内容に予想がついた。
警察という単語が日影にそれなりの不快感と不安感を与える。
脳裏をよぎったのは「再逮捕」の可能性だ。
……あーあ。
考えたくもねぇな。可愛い妹とさよならしなくちゃならない何て。
************************
「お兄ちゃん、あーんして下さい。食べさせてあげます」
「悪いな、慈愛ちゃん」
昼食として配膳された病院食を目を覚ました慈愛に食べさせて貰っている日影。
こんなに微笑ましく兄妹やっていられるのも後少しか。
(俺、今度は何時牢の中から出てこれるんだろう……)
木ノ下日影に傷害と建造物侵入の容疑がかけられている。歌姉は確かにそう言った。
大切な慈愛ちゃん傷付けられてさ、怒りの感情を制御する何て俺には出来ねぇよ。
頭に血が上って派手に暴れたからなぁ……。
あの女子児童三人が計画を阻まれた腹癒せに小学三年生「水嶋日影」の正体を警察に暴露した。それしか考えられない。
顔面を殴って鈴木の前歯や鼻を砕いたから「傷害」
本来十八歳のフリーターが小学校に年齢を偽って通ったから「建造物侵入」か。
……ま、覚悟はしてたけど、やっぱり無理があったんだ。十八歳の俺が九歳の小学生の中に溶け込む何て。
「どうしました?何か考え事ですか?」
「何でも無いよ。今度はお兄ちゃんが食べさせてやる」
「本当ですか?嬉しいです」
慈愛は利き腕である右腕を骨折しているというのに、使い慣れていない左腕を使って日影に病院食を食べさせていた。
本来なら両腕が使える兄が食事を取り辛い妹に食べさせてあげるのが普通だろう。
日影は自分の膝の上に慈愛を座らせると、炒飯をスプーンで掬い小さく可愛らしい口へ運んだ。
「どうだ。美味しいか?」
「はい。美味しいです。もっと下さい」
「はいはい。ちょっと待ってな」
あどけない表情でそんなお願いされたら断れないな。
一口食べさせては「もっと」と可愛くおねだりされて、三口目、四口目、五口目と何回も食べさせてやった。
ほんと、俺何かに懐いてくれて頼ってくれて可愛い妹だ……。
「お兄ちゃん、もっと!」
「ははっ。慈愛ちゃんは本当に甘えん坊だなぁ……そんなに慌てなくたってお兄ちゃんは居なくなったりしないさ……」
この陽気な感じを見るに、歌姉は俺の頭の怪我が完治したらどうなるのか慈愛ちゃんには知らせていないんだろうな。
お兄ちゃんのことが大好きでいつもべったりなこの子が、それを知った上でこんな明るく接しているなら何だか寂しいな。
「あ、あれっ……お兄、ちゃん?……どうして、泣いてるんですか?」
日影のスプーンを握った手が止まって、後ろからすすり泣くような声が聞こえた。
慈愛は兄の異変を察知し、すぐ様後ろを振り返った。
「うっ……ふっ、く……そりゃ、泣きたくも、なるさ……慈愛ちゃんっ……とっ、あと……ちょっとしか、一緒に居られないって、考えただけで……うっ、うぁっ、うあぁぁぁぁぁっ……!!」
日影の妹に対する愛別離苦の叫びはおそらく病室の外まで響いていただろう。
大泣きするだけでは爆発した想いを制御出来ずに、兄は後ろからぎゅっと、慈愛の小さな体を抱擁する。
「ごめん、な……、慈愛ちゃん。……お兄ちゃんな、頭の怪我治ったらまた刑務所に行かなくちゃならないんだ」
「知ってます。お兄ちゃんが眠っている時に警察の人が来たんです」
「へ……?」
そっ、そんな……嘘、だろ?
慈愛ちゃんは俺と離れ離れになっても平気だって言うのかっ!?
……いいや、騒ぐな俺。落ち着け。決めつけるのはまだ早いんじゃなかろうか。
日影は衝撃の事実を目の当たりにし、絶望している中で、慈愛に本当のところどう思っているのか鎌を掛けてみることにした。
「そ、そう、だよな……慈愛ちゃんももう少しで四年生だし、何時迄もお兄ちゃんにべったりじゃないか。俺が刑務所に行ったってどうでも良いんだよな。はは……悲しいぜ。心が張り裂けそうだよ」
「ーーお兄ちゃんの馬鹿。私だって悲しいに決まってるじゃないですか。お兄ちゃんは眠っていたから知らないとは思いますが、これでも一杯泣いたんですからね……お兄ちゃんの隣で、一晩泣き明かしたんですよ……」
ぎゅっと抱きしめていた小さな体が、小刻みに震えていることに気付いた。こちらに振り向いた幼いながらも綺麗に整った顔は、瞳から流れた涙で濡れている。
「お兄ちゃんのばかっ。ばかあぁっ!……ふっ、ふぇっ……お別れの時が来るっ、まで、は……泣かないって……、笑顔でいるって決め、てたのにっ……うくっ……ひっく……」
日影は妹が滅多に口にしない「馬鹿」という言葉を連呼されて、どうしたら良いかあたふたし始める。
どうしよう……俺酷いこと言ったよな。こんな悲しませるつもりじゃなかったのに。
「ごめん、慈愛ちゃん。俺、もしかしたら大好きな妹にお兄ちゃん離れされちゃったのかと思って……えっと、その……寂しかったんだ。……本当にごめんね」
「うっ、ひぅ……お兄ちゃんのこと、嫌いになる、わけ……無いです。私も、お兄ちゃんのこと……大好き、ですから」
「じっ、慈愛ちゃんっっ!!」
妹が涙を堪えながら口にした想いの籠った台詞に、気持ちの高ぶりを隠せなかった日影は、慈愛の小さな体をより一層強く抱きしめた。
目覚めてから初めに視界に飛び込んできたのは白塗りの天井。次に白色のカーテン。そして、腕を包帯でぐるぐる巻きにした痛々しい妹の姿。
何故かは分からないが、慈愛は兄と一緒のベッドの上で眠っている。
隣にはもう一つ同じようなベッドが並んでいて、それはおそらくだが慈愛ちゃんの為に用意されたものだ。
「慈愛ちゃん…………まあいっか」
ーー折角気持ち良さそうに眠っているのに起こしちゃ可哀想だしな。
日影が優しく妹の銀髪を撫でていると病室のドアが開いて誰かが入ってきた。
「あら日影。やっと起きたのね。お久しぶり」
「歌姉。ひょっとして見舞いに来てくれたのか?」
「そう。あんたじゃなくて慈愛ちゃんのお見舞いにね」
相変わらずの姉のひいきっぷりは、日影が大怪我をしても変わらないようだ。
流石に慈愛ちゃんの体を抱えたままじゃ、あの一撃は避ける暇が無かったな。おかげで頭に包帯を何巻もするような重傷を負っちまったよ。
相手は相手で永久歯を失う大惨事になった訳だが……、まあ、それも自業自得だ。
「小学生としての生活はどうだった?十分に満喫は出来たのかしら?」
「そう、だな……あんなリスキー過ぎる仕事は二度と引き受けたくないな。いつ正体がバレるのかひやひやしっぱなしだった」
「その件であんたに伝えておかなくちゃならない話があるの。聞いてくれる?」
何となくだが、歌姉がこれから話す内容に予想がついた。
警察という単語が日影にそれなりの不快感と不安感を与える。
脳裏をよぎったのは「再逮捕」の可能性だ。
……あーあ。
考えたくもねぇな。可愛い妹とさよならしなくちゃならない何て。
************************
「お兄ちゃん、あーんして下さい。食べさせてあげます」
「悪いな、慈愛ちゃん」
昼食として配膳された病院食を目を覚ました慈愛に食べさせて貰っている日影。
こんなに微笑ましく兄妹やっていられるのも後少しか。
(俺、今度は何時牢の中から出てこれるんだろう……)
木ノ下日影に傷害と建造物侵入の容疑がかけられている。歌姉は確かにそう言った。
大切な慈愛ちゃん傷付けられてさ、怒りの感情を制御する何て俺には出来ねぇよ。
頭に血が上って派手に暴れたからなぁ……。
あの女子児童三人が計画を阻まれた腹癒せに小学三年生「水嶋日影」の正体を警察に暴露した。それしか考えられない。
顔面を殴って鈴木の前歯や鼻を砕いたから「傷害」
本来十八歳のフリーターが小学校に年齢を偽って通ったから「建造物侵入」か。
……ま、覚悟はしてたけど、やっぱり無理があったんだ。十八歳の俺が九歳の小学生の中に溶け込む何て。
「どうしました?何か考え事ですか?」
「何でも無いよ。今度はお兄ちゃんが食べさせてやる」
「本当ですか?嬉しいです」
慈愛は利き腕である右腕を骨折しているというのに、使い慣れていない左腕を使って日影に病院食を食べさせていた。
本来なら両腕が使える兄が食事を取り辛い妹に食べさせてあげるのが普通だろう。
日影は自分の膝の上に慈愛を座らせると、炒飯をスプーンで掬い小さく可愛らしい口へ運んだ。
「どうだ。美味しいか?」
「はい。美味しいです。もっと下さい」
「はいはい。ちょっと待ってな」
あどけない表情でそんなお願いされたら断れないな。
一口食べさせては「もっと」と可愛くおねだりされて、三口目、四口目、五口目と何回も食べさせてやった。
ほんと、俺何かに懐いてくれて頼ってくれて可愛い妹だ……。
「お兄ちゃん、もっと!」
「ははっ。慈愛ちゃんは本当に甘えん坊だなぁ……そんなに慌てなくたってお兄ちゃんは居なくなったりしないさ……」
この陽気な感じを見るに、歌姉は俺の頭の怪我が完治したらどうなるのか慈愛ちゃんには知らせていないんだろうな。
お兄ちゃんのことが大好きでいつもべったりなこの子が、それを知った上でこんな明るく接しているなら何だか寂しいな。
「あ、あれっ……お兄、ちゃん?……どうして、泣いてるんですか?」
日影のスプーンを握った手が止まって、後ろからすすり泣くような声が聞こえた。
慈愛は兄の異変を察知し、すぐ様後ろを振り返った。
「うっ……ふっ、く……そりゃ、泣きたくも、なるさ……慈愛ちゃんっ……とっ、あと……ちょっとしか、一緒に居られないって、考えただけで……うっ、うぁっ、うあぁぁぁぁぁっ……!!」
日影の妹に対する愛別離苦の叫びはおそらく病室の外まで響いていただろう。
大泣きするだけでは爆発した想いを制御出来ずに、兄は後ろからぎゅっと、慈愛の小さな体を抱擁する。
「ごめん、な……、慈愛ちゃん。……お兄ちゃんな、頭の怪我治ったらまた刑務所に行かなくちゃならないんだ」
「知ってます。お兄ちゃんが眠っている時に警察の人が来たんです」
「へ……?」
そっ、そんな……嘘、だろ?
慈愛ちゃんは俺と離れ離れになっても平気だって言うのかっ!?
……いいや、騒ぐな俺。落ち着け。決めつけるのはまだ早いんじゃなかろうか。
日影は衝撃の事実を目の当たりにし、絶望している中で、慈愛に本当のところどう思っているのか鎌を掛けてみることにした。
「そ、そう、だよな……慈愛ちゃんももう少しで四年生だし、何時迄もお兄ちゃんにべったりじゃないか。俺が刑務所に行ったってどうでも良いんだよな。はは……悲しいぜ。心が張り裂けそうだよ」
「ーーお兄ちゃんの馬鹿。私だって悲しいに決まってるじゃないですか。お兄ちゃんは眠っていたから知らないとは思いますが、これでも一杯泣いたんですからね……お兄ちゃんの隣で、一晩泣き明かしたんですよ……」
ぎゅっと抱きしめていた小さな体が、小刻みに震えていることに気付いた。こちらに振り向いた幼いながらも綺麗に整った顔は、瞳から流れた涙で濡れている。
「お兄ちゃんのばかっ。ばかあぁっ!……ふっ、ふぇっ……お別れの時が来るっ、まで、は……泣かないって……、笑顔でいるって決め、てたのにっ……うくっ……ひっく……」
日影は妹が滅多に口にしない「馬鹿」という言葉を連呼されて、どうしたら良いかあたふたし始める。
どうしよう……俺酷いこと言ったよな。こんな悲しませるつもりじゃなかったのに。
「ごめん、慈愛ちゃん。俺、もしかしたら大好きな妹にお兄ちゃん離れされちゃったのかと思って……えっと、その……寂しかったんだ。……本当にごめんね」
「うっ、ひぅ……お兄ちゃんのこと、嫌いになる、わけ……無いです。私も、お兄ちゃんのこと……大好き、ですから」
「じっ、慈愛ちゃんっっ!!」
妹が涙を堪えながら口にした想いの籠った台詞に、気持ちの高ぶりを隠せなかった日影は、慈愛の小さな体をより一層強く抱きしめた。
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