FORCE 11

傳高秋

文字の大きさ
上 下
1 / 1
プロローグ

第0話『ダブルエース、出動せよ』

しおりを挟む
第0話『ダブルエース、出動せよ』

<<こちら110番です、事件ですか?事故ですか?>>
<<今警備員が襲われて、なにかのケースと女子高生が>>



 東京都 新宿区
区内の都道の左車線をゆっくり流す
足立ナンバーの黒いレクサス IS500h。
トヨタが警視庁にデータ収集も兼ねて製作された一般に販売ない特注仕様車で、
存在しないグレードのためリアのモデルエンブレムは着いていない。
運転席には瞳が大きく凛とした目つき、
精悍な輪郭で爽やかな雰囲気で整った顔立ちに顔をした
スマートでしっかりとした体型をしたYシャツと黒いジーンス姿をした黒髪の男。
助手席には黒系のショートボブに
ややつり上がった大きな瞳と二重まぶた、小さな唇と整った顔立ちで、
胸は大きくありながらも美しく、脚もほっそりと長いなど、
引き締まっていてスタイルがいい紺のパンツスーツの女。
この警視庁 広域機動警察隊の若い男女、
黄瀬千秋 警部補と藤川里奈 巡査部長は
密行中、周囲を見ながら雑談に更けていた。

千秋:「なんか腹減ってきたな」
里奈:「朝食べなかったの?」
千秋:「食欲がなくてね」
里奈:「コンビニ、寄る?」
千秋:「近いとこあったら行くか」

その直後、『ポーポー』っと緊急無線を知らせるアラームが鳴った。
コンビニはお預けが確定した瞬間、二人はため息をつく。

無線:<警視庁から各局、第四方面四谷PS管内、
複数人が現金ケースを強奪したのち付近で
犯行を目撃した女性を拉致したとの入電>

無線を聞いた途端、カーロケであるタフパッドと常時ミラーリングされている
センターディスプレイから事件の詳細を確認する。
通報場所と発生時間を確認すると現在地から少し進んだ所だった。

里奈:「どうする? 現場行く?」
千秋:「ハコか二機捜がもう行ってんじゃねぇかな。
俺たちはマル被撃墜の方がいいだろ、強力な武器もある」
里奈:「そうね、わかったわ」

左車線でゆっくり走っていたISの動きがやや足早になった。
二人は車一台一台に目を凝らしていく。
逃走車両は黒のワンボックスカー。
そのまま大通りを逃走していると予想できる。
二人はその大通りの交差点で待機。

千秋:「なぁ里奈、マル被は信無視すると思うか」
里奈:「距離によるんじゃないかしら。
現時点の発生地点からかなり近い今回の場合なら、突っ切るわよきっと」

その会話の直後、黒いセレナが
赤信号を無視して猛スピードで交差点に突っ込んできた。

千秋:「おめでとうご名答」

ISはバックミラーの付け根部分に仕込まれた高輝度LED警光灯を点滅させ
3.5リッターV型6気筒エンジンの咆哮とサイレンを響かせて
高出力のエンジンとモーターのパワーで勢いよく発進する。
ブラックマークを路面に残して、漆黒の戦闘機はあっという間にワープしていく。
逃走するセレナは横転しそうな角度まで傾いて曲がり、
ISはパワーも活かした四輪ブレーキングドリフトを豪快にかましていく。
必死で逃げるセレナは137馬力しかないのに対して、
ISはシステム出力400馬力以上ある性能だけでも圧倒的故に余裕しか窺えない。
車だけでも勝ち目はないのは明々白々だった。
大通りに出ればもっと逃げてみろと言わんばかりにISは一気に車間を詰める。
その差は後端と前端でタバコ一本の長さほどだ。
追い込まれたセレナは急ハンドルで左折して路地に入り込む。

千秋:「かかったな....」

そう、その路地は行き止まりだった。
行き場を失った犯人は車を捨てて逃走をする。
ISはドリフトしたままのスライドした体勢で止まると
千秋と里奈が犯人に向かって走る。
里奈が逃走車両の車内を確認すると、
怯えた表情の女子高生がガムテープで手足を縛られた状態で残されていた。

里奈:「大丈夫、もう安心して。 私達、警察よ」

一方、二人組の犯人を追う千秋は壁をよじ登ろうとする犯人に
容赦なくSIG SAUER P229を突きつけ、挨拶代わりと言わんばかりに数発撃った。
驚いた犯人二人は手を滑らせて地面へと落ちた。
千秋のもとに里奈もやってきた。

里奈:「どうやら、そっちも片付いたみたいね」
千秋:「どうだかな....」

二人組の犯人は立ち上がると、それぞれナイフを構える。

里奈:「ふふっ、上等じゃない」

千秋と里奈に襲いかかる犯人
千秋は相撲の立ち合いの変化のようにいなして、合気道の技で一回転。
里奈は真正面からみぞおちに強烈な蹴りを一発。
そして千秋は転んだ男のナイフを持っている腕を掴むと
思いっきり地面に叩きつける。
そのダメージは非常に大きく悲痛を叫ぶほどだ。
一方里奈はナイフを持っている腕をつかんで一気にひねる。
そしてそのまま十字固めで腕を一気に締め上げると鈍い音がした瞬間
男はかなり痛がって、倒れ込んでしまった。

里奈:「広域511 藤川から広域湾岸、警視庁、現時点を以てマル被二人確保」



里奈:「やりすぎたわね、お互いに」

ISの両サイドに千秋は開いた運転席のドアに手をつき、
里奈はドアにもたれて千秋の方へ体を向けていた。

千秋:「んないつものこったろ、何を今更」
里奈:「まぁでも、お手柄じゃないかしら」
千秋:「褒められたもんじゃねぇけどな」
里奈:「今思い出しんたけど....コンビニ、行かない?」
千秋:「忘れてた.....」
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。


処理中です...