14 / 50
第14話:転機
しおりを挟む聖王国から、うちの国に「神からの啓示があった」と連絡がきたのは、そんな時だった。
いや、正確には全世界へ連絡がいったようだけど、確認のしようが無いからね。
とにかく、国をあげてのお祭り騒ぎになった。
その内容は……
『この世界のどこかに、聖女様が誕生しておりました。成人前後の女性です。
近々聖王国神官が調べに行くので、当日、該当女性を城に集めておくように』
国の成人前後の女性って、何人居ると思ってるの?
馬鹿なの?聖王国。
……と思っていたら、そもそもの該当者は「城まで日帰りが出来る距離に住む」という前提だった。
曖昧だけど、城に行くのに夜中に家を出発するのは、常識的では無い。
朝日が昇ってから、だろうな。
うちは朝食を食べてから出発しても、日帰り出来る距離だ。
そして成人前後の女性に、三人共該当する。
面倒臭いから、行かなくても良いかなぁ?って思ってたら、マーガレット様からお誘いがあった。
「聖王国からの発表見ました?」
マーガレット様が楽しそうに言う。
「辞退出来ないかと思ってるの」
私の言葉に、マーガレット様だけでなく、アイリス様も驚いている。
「それは駄目よ!もしカーリー様が聖女様だったら、国が聖王国に怒られるのよ?」
いやいや、無いから。
「でも聖女でしょ?きっと清らかで優しい人だわ」
私は、自分の性格の悪さを自覚しているからね!
もっとも、あの環境で育って清らかで優しくなれたら、それは単なる鈍感な馬鹿だ。
それか自分の世界に引きこもれるナルシストか。
「それに一人でお城まで行くのは面倒だわ」
しかも絶対に使用人用のあの馬車よ?
通学程度なら良いけど、城までの距離を乗るのは辛いわ。
「それなら、他に目的が有れば良いわね。前日にうちに泊まりに来て、当日は三人で一緒にお城へ行きましょう?」
マーガレット様に提案される。
「あら!それは楽しそうですわね」
アイリス様もノリノリだ。
それなら行っても良いかなぁって、気になってきたわ。
「では、ドレスは三人でお揃いにしましょうよ」
今度はアイリス様が提案する。
「でもうちは、私にドレス代を使ってくれないわ」
姉と妹のドレスに、馬鹿みたいにお金をかけるはず。
「侯爵家から『娘がお揃いのドレスを作りたいと言ってるけど良いか?』と許可を求めるわね」
アイリス様がニッコリと笑う。
うん。それなら絶対に許可されるわ。
マーガレット様もアイリス様も、さすが王子達の婚約者候補になる令嬢だけあるわ。
一筋縄ではいかない、なかなかの腹黒さんです。
そういうところも大好きですわ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,223
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる