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嘘つき少年の願い

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たまに神具、神様が作ったモノが人間に譲渡される場合はあるがそんなのは極稀だな。
私は先ほど視た少年の魔力を頼りに少年の元に地蔵転移する。



「……」



転移した先には少年が居た。
自分で作ったのか小さな畑を世話しており、食物はあまり育っていないようだ……畑を調べてみると土に栄養が足りてないような感じみたいだな。

これでは食物が良く育たないのも当たり前だろう、普通の子供に比べたらガリガリなので栄養が足りてないのだろうな……。
妖精が一生懸命何かを運んでいるようだが焼け石に水であろう、このままでは枯れてしまうので少しだけ手伝いをするか。


……よし、これでいいだろう。
大幅の知識を神様から頂いてる私にとっては畑の土に栄養を与えるなんてことは造作も無いこと、妖精も嬉しそうに舞ってるのでよしとしようか。

こっそりと畑の隅の方に移動すると透明化を解く。



「え? こんなのあったっけ?」



少し休憩しようとしたのか振り返った少年は私の姿を見てきょとんとした表情を浮かべながらも不思議に思っているのはペタペタと私の体に触れている。
一人で頑張っていたのだろうか、少年とは思えないくらい手の平にマメが出来ているのがわかる。



「私は地蔵のアヴニールだ」

「うわ!! せ、石像が喋った!?」



少年に挨拶をしてみるも少年はビックリしたように後退り、混乱しているようだった。
ふむ、声をかけるのごいきなり過ぎてしまったか……驚かせるつもりはなかったのだが私のような地蔵が話し掛けてきたらビックリするのも仕方ないか。



「私は石像ではなく地蔵である。 神様より使命を受けてこの世界を旅している」

「神様? ……えっと…….全く見えないけどアヴニールさんは教会の偉い人ですか?」

「教会ではなく神様からの直接の使いではあるが……まあ、何でも良い。 実は少年に聞きたいことがあるのだ」



教会の者と間違われるのは初めてではあるが腐ってる人間が大半みたいだからな、まともな人間に間違われるならばまだいいのだが。
少年の中で私は偉い人(?)だと思われたのか少年は私の前に座り、こくりと小さく頷いた。



「ぼ、僕にですか?」

「ああ、無くなった母親から何か受け取らなかったか?」

「お母さんに……あっ、受け取りました。 これは大切な物で何かあったらこれを使いなさいって!」



魔道具かどうかは分からないがやはり母親に貰った物はあったのだろうな、肌身離さず持っているのかごそごそと服の中から出したのは綺麗なエメラルドグリーンのブローチのようだ。
少年が持っているブローチに地蔵鑑定をしてみる。

……ふむ、やはりこれはそんな魔道具ではないようだな、作られたのはウルドラ王国のようだがこれは身分証の役割みたいだな。
元王女である母親に渡された物なのだろうな、美術品としての価値はあるだろうがこれを使えるのは血縁者である少年だけだ。



「ああ、もうしまっていい、これは大事にするんだな」

「うん、お母さんが残してくれた僕の宝物なんです」

 




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