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不運を呼ぶ男

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私の魔法で作った雨は火が消化された後に消した、ずっと降っていたとこでいいことはないし、マイケルを助けるのにむしろ邪魔だろう。
シイは心配しているのかそわそわとしている、地蔵透視をすると家の中には倒れてるようなので地蔵念力を使いマイケルの体を浮かせる。

家が崩れてしまう前に救出しようとマイケルの体を外に出した、周りに居る人間はいきなり浮いて出て来たことにザワザワと騒いでいる。
しかし、マイケルが気絶していることに気付いたのか医者らしき人間がマイケルに近付いて行く。

マイケルの体を地面に寝かせるとホッとしたような表情でシイはマイケルの側に行く。
その小さな手でマイケルの頬に手を当てると気絶しているだけのことに安心しているようだ。



『……ありがとう、マイケルを助けてくれて……。 マイケルが居なくなったら私はどうしていいか分からなかった……人間ってこんなに脆いのね』

「ああ、だからこそシイは手加減を覚えなければならない。 人間は弱く脆い、妖精であるシイは力が強すぎるのだ」

『そうみたいね……私の力でマイケルを殺してしまったら私は魔に落ちてしまうわ。 今になると何で私はマイケルと遊んでいたのか自分でもわからなくて怖くなるわ……』



後悔したようなシイの言葉を聞きながらもマイケルを担架で運ぼうとしているのか、周りの人間がマイケルを担架に乗せるとシイは飛んで宙に浮く。
運ばれていくマイケルを見つめているシイは何かを決意したのか真剣な表情をしている。



「行くのか?」

『ええ、少し鍛えてくる。 私は風の中でも特に優秀なの、ちょちょいのチョイですぐに戻って来るわ。 そうすれば私はマイケルとずっと一緒に居れるもの!』



シイは本気なのだろう。
妖精と人間では寿命が違い過ぎる……そうすぐに戻って来れるかもわからないのにシイは自分の為に行くんだろうな。



「そうか、ならば餞別だ」



私は人間の常識を教えることは可能だが手加減を教えることは出来ない、手加減を覚えるのはシイ自身で頑張って貰わなければならないのだけどこの国の常識だけは教えておこう。
私にある知識の中でこの国の法律や常識をシイの頭の中に直接写す。

この世界の全ての知識を与えると頭の中の容量がパンクしてしまうからな、私が渡せるのはこの国のことだけだ。



『っありがとう、人間のことだけは私だけではどうしようもないものね』

「どうせなら声が伝わるようにするか?」

『……感謝はしているけども過剰の施しはいらないわ! 私は風のシイ、私は私の力でマイケルの隣を勝ち取って見せるわ!』



私の言葉に少し考えたようなシイだったがふるふると首を振ると私にビシッと指を差す、自信満々なシイは私に向かって不敵な笑みを浮かべた。
ならばと私は萌黄色の石の腕輪を作る、そしてそれをシイに渡した。



「なら、これを渡しておこう。 これにはマイケルの魔力と同じ性質の魔力を込めた、これと同調することが出来るようになればマイケルに声を届けることが出来るだろう」

『じゃあ、これだけは受け取っておくわ。 アヴニール、また会えたら会いましょう!』



シイは嬉しそうに私から腕輪を受け取ると自らの腕につける。
そして、私から離れると手を振ってからそのまま空に飛んで行った。





 
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