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第1章
小さな先輩
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高身長、秀才、イケメン、全てを兼ね備えているといわれている俺は今日高校に入学した。
入学式で女子に囲まれ、クラスに戻るまでも女子に囲まれ、クラスに戻ってからも女子に囲まれ、くたくたの俺は人が少なそうな旧校舎にやって来た。
なんで入学当初から旧校舎なんて知ってるのかだって?
そりゃ、さっき手紙に書いてあった学校の構図を覚えたからに決まってる。
旧校舎はやっぱり人気がなく、しんと静まり返っていた。
しばらく床に座って休憩しているとコツコツと歩く音が聞こえた。
「1年?」
歩く音は俺の前で止まり、そう問いかける。
「あ、はい、そうです。」
俺はそう言って顔をあげると、次の瞬間俺の中に衝撃が走った。
可愛い人だな。
素直にそう思った。
今まで常に女子に囲まれながら過ごしていたから人を可愛いと思うことも無かった、いや、思おうともしなかったのだろう。
前髪の左側が三編みされている銀髪は窓から差し込む光でキラキラと光っている。
くりくりの瞳が俺を捉え、見下ろしている。
「よくここまで来たな、迷子か?」
見た目に比例しない口調に、俺の胸の高まりは上昇するばかり。
「いえ、迷子ではないです。さっき構図覚えてきたので。少し疲れたので休憩していました。今、避けますね。」
俺が立ちが上がると、さっきまで上にあった顔がだんだん下がっていく。
立ち上がると俺が見下ろすかたちになってしまった。
「別に避けてほしかったわけじゃ、なっ、、、」
俺を見上げたまま驚く顔は、とても可愛らしかった。
「何年生の先輩ですか?」
身長的に見れば同級生かどうかも怪しいが、口調からして先輩なのだろう。
「2年の平井乃愛琉だ。」
乃愛琉、、、可愛い名前、、、
「そんなんですね、先輩、これからよろしくお願いします。じゃあ、俺は教室に戻ります。」
「待て!」
「?」
「お、お前の名前、、、」
少し頬を赤らめながら、先輩は聞いてきた。
「小永吉結蒼です。」
「そうか、結蒼。その、よろしく。」
それだけ言って、先輩は言ってしまった。
その日俺は、いつも疎ましく思う女子たちも気にならないほど先輩のことを考えていた。
無事初日は終わり、帰ろうと教室を出ると、女子数人がついて行くように教室を出た。
嫌な予感がして足を速めると、女子たちも足を速める。
そして、ついに下駄箱で捕まってしまった。
「結蒼くん!私、彩っていうんだけど、連絡先教えてくれない?」
「私は翠っていうの!良かったら仲良くしてほしいな!」
「私は朱梨!今日、一緒に帰らない?」
はあ、こうなるとめんどくさい。
いつもやんわり断っているけど、こうなるとなかなか引いてくれないことが多い。
だからといって、ハッキリ断って女子を敵に回すのも怖い。
どうしようかと頭を抱えていたら、グイッと誰かに手を引かれた。
「悪い、コイツ俺と帰るから」
頭をあげると俺の目線の少し下に、綺麗な銀髪が映る。
「先輩?!」
「行くぞ」
そう言って先輩は俺を強引に連れて行った。と言いたいところだが、連れていけるほど腕力が無かったのかびくともしなかったので、俺は先輩と肩を並べて玄関を出た。
そういうところも可愛いなと思ってしまう。
「先輩、ありがとうございました。」
「別に。モテる男は大変だな。」
そう言って、少し口を尖らせる先輩を見ると、なんだかからかいたくなった。
「先輩はモテないんですか?」
「なっ!そういうことじゃ、、、」
む~!とでも言いたげに頬を膨らませ、ジト目を向けてくる先輩はとんでもなく可愛い。
俺の目の前にいるのは天使だろうか。
「ふふっ」
気づいたら笑顔が溢れていた。
笑ったのはいつぶりだろうか。
「お前は笑ってたほうが、いいな、」
少し照れくさそうに、ぶっきらぼうに伝えてくれた先輩に心拍数は上がるばかり。
俺こっちだから、と俺の家への道と反対側の道に行く先輩に別れの挨拶を告げ、一人の道を歩く。
まだ心拍数は収まってなく、静かな道に心音が聞こえていないか不安になるほどだった。
これを恋というのだろうか?
家につき、ソファーにもたれながら考える。
疲れてそんな衝撃に驚く気力も無い俺は、スマホで「恋」について調べてみる。
『特定の人に強く惹かれ、切ないまでに深く思いを寄せる感情』か、、、
今まで恋なんてものに全くと言っていいほど触れてこなかった俺は、恋がどんなものかは分からない。
でも、何となくそんな気がする。
「恋」そんな一言で表していいほど単純な気持ちでは無いかもしれない。
それをまとめて「恋」と言うのかもしれない。
いくら考えても出ない結論を求めてもしょうがない。
俺は頭の中で思考を閉じた。
新しい高校生活は、中学生の頃とあまり変わらなかった。
大きく違うことといえば、数少ない友達が皆違う学校に行ってしまい、話せる人が居ないということだろうか。
まあ、常に女子に囲まれてちゃ男子も近寄れないか。
高校からはお弁当になるので、俺はこれから毎日ボッチ飯を堪能することになるだろう。
そんな事を考えていたら、あっという間にお昼になってしまった。
旧校舎行こうかな?
そう思って席を立つと、昨日の女子3人が駆け寄ってきた。
「結蒼くん!どこ行くの?」
「一人で食べるなら、私たちと一緒に食べない?」
「お話しようよ!」
まずい、昨日は先輩が助けてくれたけど、ここは1年教室だから誰も助けてくれない。
「ごめん、今日は一人で食べるから」
「いいじゃん!一緒に食べようよ!」
「そうだよ!きっと楽しいから!」
「結蒼、来い」
そう言って俺を連れて行こうとする人物。
「先輩?!なんで1年教室に?」
「別に、用事があって来たらお前が居たから、、」
用事?2年生に何の用事があるのだろうか。
「、、、弁当、一緒に食べないか?」
照れくさいのか目を合わせてくれない先輩が面白くて、可愛くて笑ってしまった。
「何笑ってんだよ」
「もちろん、食べましょう」
「ああ」
そう言って俺たちは旧校舎へと向かった。
「何あのチビ?」
「うちらの結蒼くんを奪いやがって」
「しかも呼び捨て、マジあり得ない」
「くしゅっ!」
「先輩大丈夫ですか?風邪ですか?」
「いや、別に。」
俺はこのときはあんなことになるなんて、夢にも思わなかった。
入学式で女子に囲まれ、クラスに戻るまでも女子に囲まれ、クラスに戻ってからも女子に囲まれ、くたくたの俺は人が少なそうな旧校舎にやって来た。
なんで入学当初から旧校舎なんて知ってるのかだって?
そりゃ、さっき手紙に書いてあった学校の構図を覚えたからに決まってる。
旧校舎はやっぱり人気がなく、しんと静まり返っていた。
しばらく床に座って休憩しているとコツコツと歩く音が聞こえた。
「1年?」
歩く音は俺の前で止まり、そう問いかける。
「あ、はい、そうです。」
俺はそう言って顔をあげると、次の瞬間俺の中に衝撃が走った。
可愛い人だな。
素直にそう思った。
今まで常に女子に囲まれながら過ごしていたから人を可愛いと思うことも無かった、いや、思おうともしなかったのだろう。
前髪の左側が三編みされている銀髪は窓から差し込む光でキラキラと光っている。
くりくりの瞳が俺を捉え、見下ろしている。
「よくここまで来たな、迷子か?」
見た目に比例しない口調に、俺の胸の高まりは上昇するばかり。
「いえ、迷子ではないです。さっき構図覚えてきたので。少し疲れたので休憩していました。今、避けますね。」
俺が立ちが上がると、さっきまで上にあった顔がだんだん下がっていく。
立ち上がると俺が見下ろすかたちになってしまった。
「別に避けてほしかったわけじゃ、なっ、、、」
俺を見上げたまま驚く顔は、とても可愛らしかった。
「何年生の先輩ですか?」
身長的に見れば同級生かどうかも怪しいが、口調からして先輩なのだろう。
「2年の平井乃愛琉だ。」
乃愛琉、、、可愛い名前、、、
「そんなんですね、先輩、これからよろしくお願いします。じゃあ、俺は教室に戻ります。」
「待て!」
「?」
「お、お前の名前、、、」
少し頬を赤らめながら、先輩は聞いてきた。
「小永吉結蒼です。」
「そうか、結蒼。その、よろしく。」
それだけ言って、先輩は言ってしまった。
その日俺は、いつも疎ましく思う女子たちも気にならないほど先輩のことを考えていた。
無事初日は終わり、帰ろうと教室を出ると、女子数人がついて行くように教室を出た。
嫌な予感がして足を速めると、女子たちも足を速める。
そして、ついに下駄箱で捕まってしまった。
「結蒼くん!私、彩っていうんだけど、連絡先教えてくれない?」
「私は翠っていうの!良かったら仲良くしてほしいな!」
「私は朱梨!今日、一緒に帰らない?」
はあ、こうなるとめんどくさい。
いつもやんわり断っているけど、こうなるとなかなか引いてくれないことが多い。
だからといって、ハッキリ断って女子を敵に回すのも怖い。
どうしようかと頭を抱えていたら、グイッと誰かに手を引かれた。
「悪い、コイツ俺と帰るから」
頭をあげると俺の目線の少し下に、綺麗な銀髪が映る。
「先輩?!」
「行くぞ」
そう言って先輩は俺を強引に連れて行った。と言いたいところだが、連れていけるほど腕力が無かったのかびくともしなかったので、俺は先輩と肩を並べて玄関を出た。
そういうところも可愛いなと思ってしまう。
「先輩、ありがとうございました。」
「別に。モテる男は大変だな。」
そう言って、少し口を尖らせる先輩を見ると、なんだかからかいたくなった。
「先輩はモテないんですか?」
「なっ!そういうことじゃ、、、」
む~!とでも言いたげに頬を膨らませ、ジト目を向けてくる先輩はとんでもなく可愛い。
俺の目の前にいるのは天使だろうか。
「ふふっ」
気づいたら笑顔が溢れていた。
笑ったのはいつぶりだろうか。
「お前は笑ってたほうが、いいな、」
少し照れくさそうに、ぶっきらぼうに伝えてくれた先輩に心拍数は上がるばかり。
俺こっちだから、と俺の家への道と反対側の道に行く先輩に別れの挨拶を告げ、一人の道を歩く。
まだ心拍数は収まってなく、静かな道に心音が聞こえていないか不安になるほどだった。
これを恋というのだろうか?
家につき、ソファーにもたれながら考える。
疲れてそんな衝撃に驚く気力も無い俺は、スマホで「恋」について調べてみる。
『特定の人に強く惹かれ、切ないまでに深く思いを寄せる感情』か、、、
今まで恋なんてものに全くと言っていいほど触れてこなかった俺は、恋がどんなものかは分からない。
でも、何となくそんな気がする。
「恋」そんな一言で表していいほど単純な気持ちでは無いかもしれない。
それをまとめて「恋」と言うのかもしれない。
いくら考えても出ない結論を求めてもしょうがない。
俺は頭の中で思考を閉じた。
新しい高校生活は、中学生の頃とあまり変わらなかった。
大きく違うことといえば、数少ない友達が皆違う学校に行ってしまい、話せる人が居ないということだろうか。
まあ、常に女子に囲まれてちゃ男子も近寄れないか。
高校からはお弁当になるので、俺はこれから毎日ボッチ飯を堪能することになるだろう。
そんな事を考えていたら、あっという間にお昼になってしまった。
旧校舎行こうかな?
そう思って席を立つと、昨日の女子3人が駆け寄ってきた。
「結蒼くん!どこ行くの?」
「一人で食べるなら、私たちと一緒に食べない?」
「お話しようよ!」
まずい、昨日は先輩が助けてくれたけど、ここは1年教室だから誰も助けてくれない。
「ごめん、今日は一人で食べるから」
「いいじゃん!一緒に食べようよ!」
「そうだよ!きっと楽しいから!」
「結蒼、来い」
そう言って俺を連れて行こうとする人物。
「先輩?!なんで1年教室に?」
「別に、用事があって来たらお前が居たから、、」
用事?2年生に何の用事があるのだろうか。
「、、、弁当、一緒に食べないか?」
照れくさいのか目を合わせてくれない先輩が面白くて、可愛くて笑ってしまった。
「何笑ってんだよ」
「もちろん、食べましょう」
「ああ」
そう言って俺たちは旧校舎へと向かった。
「何あのチビ?」
「うちらの結蒼くんを奪いやがって」
「しかも呼び捨て、マジあり得ない」
「くしゅっ!」
「先輩大丈夫ですか?風邪ですか?」
「いや、別に。」
俺はこのときはあんなことになるなんて、夢にも思わなかった。
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