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40話 解放される時
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40話 解放される時
惇希side
カンパニュラ、最高のステージだった!!
たくさんの歓声と拍手に包まれて、俺たちのツアーは終わった。
最後に踊ったカンパニュラは伝説のステージと呼ばれるくらい、凄かったと控室に戻ると称賛を浴びた。
なんだか照れくさくて、でも、嬉しくて、透弥と視線を合わせては、クスっと微笑んだ。
その後、みんなと打ち上げに行ったけど、俺は…
早々に打ち上げ会場を後にして、家に帰った。
カラダが動くうちに、家に帰りたかったから。
たぶん、この魔法はもうすぐ切れてしまうから。切れてしまう前に、みんなとは笑顔で別れたかったから。
『ごめん、お先っ!じゃあなっ!!』
いつもみたいに元気に手を挙げて、みんなにお別れを言った。
たぶん、これがお別れだから…。
みんなに残る俺の最後が、笑顔で元気な姿で残りますようにと願って、精いっぱい元気よく、明るい笑顔で手を振った。
ホントに楽しい時間だった。
憧れてたゆうまくんのライブ、そしてソロパートをデュオで透弥と踊る。何度かみんなに迷惑をかけてしまうようなステージもあったけど、みんなが俺を支えてくれた。
俺の踊る場所を残してくれた。
そして、最高のラストダンスを踊れた。
透弥と踊ったラストダンスは、俺史上最も完璧で、最高の出来だった!
なぁ?透弥。
いつも俺のダンスを見ていたお前ならわかるだろ?
俺の今日のダンスがどれほど素晴らしかったのか!
他の大勢にわかってもらえなくても、お前だけにわかってもらえればそれでいい。
俺の最高のダンス、隣にはお前がいた。
透弥と一緒に過ごした時間が、凝縮されたみたいなそんなステージだった。
いつだって、一緒だったしライバルだったし、お前がいたからここまでやって来れたと思う。
好きさえ超えて、ずっと一緒に居られればよかった…。
でも、俺は苦恋花病できっともう限界だ。
透弥の体液を体内に取り入れたから、一日動くことが出来たのかもしれない?
今のこの状態は奇跡みたいな事なんだ。
まだまだ解明されていないこの病
特効薬が出来るのはいつの日になるのだろう?
透弥と最後に踊ったカンパニュラをもう一度踊りたい…あの時の夢のような時間をもう一度…
なんて、思ってしまった。
でも、特効薬が出来るころには、きっと、俺はもういない。
最後に透弥が俺にくれたキスと、ひと時でもひとつになれた幸せな時間が宝物だ。
そして、雪と大輝にも感謝している。
雪があの時、部屋を変わってくれなかったら…。
きっと、俺の今はないだろう。
―――なぁ、雪…。
本当は、気が付いてる?
俺と透弥の事?
…いや、俺が透弥を好きなことに気が付いていたんだろ?
そして、雪はもしかしたら、この苦恋花病の事も気が付いていた?
こんな先輩でごめんな。
雪は、本当に可愛い後輩で、一緒に出掛けたり、いろんな話するのが、本当にに楽しかった…。
いろんな想いが、頭の中をぐちゃぐちゃと駆け巡った。
ようやく家に着く頃には、魔法は解けて、重たいカラダを引きずってた。どうにか家に着いて、倒れ込むようにベッドに横たわり死んだように眠った。
時々覚醒する意識と、少しずつ、動かなくなるカラダのアンバランスさに翻弄されては、痛みで直ぐに意識を失う。
それを何度も繰り返した。
そして、やっと意識を取り戻した時、カラダを動かすことはできなくなっていた。
手に絡まる蔦はトゲを皮膚に食い込ませて、自由を奪っていく。
胸を締め付ける薔薇の根はたぶんもうすぐ…
綺麗な花を咲かせるだろう。
薔薇の根は心臓を圧迫して、あと少し…
ほんの少しの猶予を残すのみ…。
呼吸をすることさえ困難で、徐々に呼吸が浅くなっていく…
それでも、透弥と一緒に居られたことが幸せだったと透弥との思い出に涙を流す。
何度かひとりで踊らせてしまったカンパニュラ
透弥ごめん…。
それでも、お前の隣は俺だと言ってくれたこと、本当に嬉しかった。
例え透弥に恋愛感情がなくて、俺の事を友達やバディだと思っていても…
俺を助けるために、してくれたキス…
あんなに甘い時間を過ごせたことが嬉しくて
…全部、全部…嬉しかった。
それを伝えられないことが、残念で仕方がない。
激痛だった痛みさえ、徐々に朦朧とした意識に飲み込まれていく…。
ぼんやりと浮かぶのは、透弥の笑顔。
いつも隣で笑っていた、一緒にふざけたあの笑顔。
胸を締め付ける痛みは、極限を越えて…
何も感じなくなってた
やっと、この痛みから解放される。
あぁ…もう、痛みを感じない…。
やっと、この痛みから…解放されたんだ。
惇希side
カンパニュラ、最高のステージだった!!
たくさんの歓声と拍手に包まれて、俺たちのツアーは終わった。
最後に踊ったカンパニュラは伝説のステージと呼ばれるくらい、凄かったと控室に戻ると称賛を浴びた。
なんだか照れくさくて、でも、嬉しくて、透弥と視線を合わせては、クスっと微笑んだ。
その後、みんなと打ち上げに行ったけど、俺は…
早々に打ち上げ会場を後にして、家に帰った。
カラダが動くうちに、家に帰りたかったから。
たぶん、この魔法はもうすぐ切れてしまうから。切れてしまう前に、みんなとは笑顔で別れたかったから。
『ごめん、お先っ!じゃあなっ!!』
いつもみたいに元気に手を挙げて、みんなにお別れを言った。
たぶん、これがお別れだから…。
みんなに残る俺の最後が、笑顔で元気な姿で残りますようにと願って、精いっぱい元気よく、明るい笑顔で手を振った。
ホントに楽しい時間だった。
憧れてたゆうまくんのライブ、そしてソロパートをデュオで透弥と踊る。何度かみんなに迷惑をかけてしまうようなステージもあったけど、みんなが俺を支えてくれた。
俺の踊る場所を残してくれた。
そして、最高のラストダンスを踊れた。
透弥と踊ったラストダンスは、俺史上最も完璧で、最高の出来だった!
なぁ?透弥。
いつも俺のダンスを見ていたお前ならわかるだろ?
俺の今日のダンスがどれほど素晴らしかったのか!
他の大勢にわかってもらえなくても、お前だけにわかってもらえればそれでいい。
俺の最高のダンス、隣にはお前がいた。
透弥と一緒に過ごした時間が、凝縮されたみたいなそんなステージだった。
いつだって、一緒だったしライバルだったし、お前がいたからここまでやって来れたと思う。
好きさえ超えて、ずっと一緒に居られればよかった…。
でも、俺は苦恋花病できっともう限界だ。
透弥の体液を体内に取り入れたから、一日動くことが出来たのかもしれない?
今のこの状態は奇跡みたいな事なんだ。
まだまだ解明されていないこの病
特効薬が出来るのはいつの日になるのだろう?
透弥と最後に踊ったカンパニュラをもう一度踊りたい…あの時の夢のような時間をもう一度…
なんて、思ってしまった。
でも、特効薬が出来るころには、きっと、俺はもういない。
最後に透弥が俺にくれたキスと、ひと時でもひとつになれた幸せな時間が宝物だ。
そして、雪と大輝にも感謝している。
雪があの時、部屋を変わってくれなかったら…。
きっと、俺の今はないだろう。
―――なぁ、雪…。
本当は、気が付いてる?
俺と透弥の事?
…いや、俺が透弥を好きなことに気が付いていたんだろ?
そして、雪はもしかしたら、この苦恋花病の事も気が付いていた?
こんな先輩でごめんな。
雪は、本当に可愛い後輩で、一緒に出掛けたり、いろんな話するのが、本当にに楽しかった…。
いろんな想いが、頭の中をぐちゃぐちゃと駆け巡った。
ようやく家に着く頃には、魔法は解けて、重たいカラダを引きずってた。どうにか家に着いて、倒れ込むようにベッドに横たわり死んだように眠った。
時々覚醒する意識と、少しずつ、動かなくなるカラダのアンバランスさに翻弄されては、痛みで直ぐに意識を失う。
それを何度も繰り返した。
そして、やっと意識を取り戻した時、カラダを動かすことはできなくなっていた。
手に絡まる蔦はトゲを皮膚に食い込ませて、自由を奪っていく。
胸を締め付ける薔薇の根はたぶんもうすぐ…
綺麗な花を咲かせるだろう。
薔薇の根は心臓を圧迫して、あと少し…
ほんの少しの猶予を残すのみ…。
呼吸をすることさえ困難で、徐々に呼吸が浅くなっていく…
それでも、透弥と一緒に居られたことが幸せだったと透弥との思い出に涙を流す。
何度かひとりで踊らせてしまったカンパニュラ
透弥ごめん…。
それでも、お前の隣は俺だと言ってくれたこと、本当に嬉しかった。
例え透弥に恋愛感情がなくて、俺の事を友達やバディだと思っていても…
俺を助けるために、してくれたキス…
あんなに甘い時間を過ごせたことが嬉しくて
…全部、全部…嬉しかった。
それを伝えられないことが、残念で仕方がない。
激痛だった痛みさえ、徐々に朦朧とした意識に飲み込まれていく…。
ぼんやりと浮かぶのは、透弥の笑顔。
いつも隣で笑っていた、一緒にふざけたあの笑顔。
胸を締め付ける痛みは、極限を越えて…
何も感じなくなってた
やっと、この痛みから解放される。
あぁ…もう、痛みを感じない…。
やっと、この痛みから…解放されたんだ。
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