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27話 怒りの意味
しおりを挟む友也さん忘れ物でもした?
部屋をぐるりと見まわした。それでも、友也さんのものなんて何も置いて無くて…
ドンドンっ!!ドンドンっ!!
ドアをノックする音は鳴りやまなくて、仕方なくドアを開けた。
『…なにか…わすれも…の…?』
…そこに立っていたのは……
一ノ瀬くんだった!!
『えっ!』
俺は思いもよらない人物が立っていたことで、頭の中が軽くパニックになっていた。
そんな俺を、上から下までじっと見つめる一ノ瀬くんの視線に、我に返った。
慌てて乱れた浴衣を直して、さっきまで頬を伝っていた涙の後を隠した。
『一ノ瀬くん!何?っ!!…』
一ノ瀬くんはドアの外側から俺の部屋を覗き込んだかと思うと、俺が止めるのも無視して、部屋の中へズカズカと入って行った。
『ちょっとっ…一ノ瀬くんっ。…』
ベッドの前まで行くと、ピタリと止まって汚れたシーツを凝視していた。
『何っ!なんだよっ!!』
吐き出された欲で汚れたシーツを、慌てて隠して、怒りをぶつける様に言った。
そんな俺に…
『もうこんな事止めなよ!!ツライだけだろ!!』
その言葉にドキっとした。
俺の秘密を見透かすようなその言葉を否定するように、
『はぁ?なに言ってんの?』
とぼけた口調で言った。
でも、そんな事一ノ瀬くんには通用してなくて…
『さっきまでいたんだろ?ヤってたんだろ!!』
穏やかな一ノ瀬くんには似合わない乱暴な言葉と強い語気だった。
『そんな意味もない事止めろって!!わかってんだろ!』
一ノ瀬くんが、凄い勢いで俺に怒りをぶつけた。
その怒りの意味がわからなかった。
なんで俺が、一ノ瀬くんにとやかく言われなくちゃならないんだ!!
『俺が何をしようが、誰とヤろうが俺の勝手だろっ!!』
俺がそう言った後、一ノ瀬くんの表情が急に変わった。
『遼平のつらそうな顔…もう…見たくない。…ヤった後…辛くなるんだろ?』
『………………』
あまりに図星過ぎて、返す言葉が見つからなかった…。
何も言えない俺に、一ノ瀬くんは続けて言った。
『気が付いてるんだろ?あの二人が好き合っているってこと…どう考えったってあの二人は両想いだって!!』
『……………』
俺だってわかってた…、最初からわかってた。
でも、好きになっちゃんだから…仕方がない…。
好きになった人に、好きな人がいるからって、止められるモンじゃないんだ…
それで止められるくらいなら、こんなに苦しくなっていない。
穏やかな一ノ瀬くんが怒りを露わに
『友也さんも友也さんだ!!仁さんを好きなのに、なんで遼平をっ……』
一ノ瀬くんの口を手で塞いで、次の言葉を遮った。
仁さんが悪いわけじゃない…俺が悪いんだ…。
俺が誘ったんだ…。
友也さんを悪く言われたくない!!
『俺が誘ったんだっ!!』
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