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29話 俺の恋の物語
しおりを挟む思いの他すっきり目覚めた朝だった。
恋の終わりを祝福するみたいな穏やかな朝だった。
あれだけ泣いていたから、このままだと次の日パンパンに腫れるよって、一ノ瀬くんが一度部屋に戻って冷やすものを持って来てくれた。
そのお陰であまり腫れずに、すっきりとしていた。
心もどこかスッキリしていたのかもしれない。
一番乗りでロビーに下りて、みんなを待っていた。
次に一ノ瀬くんがやって来た。
『おはよう。腫れなかったみたいだね。』
俺の顔を覗き込んで、いつも通りの爽やかな笑顔で言った。
『…うんっ///…ありがとう。』
昨日は気が付かなかったけど…一ノ瀬くんがモテモテな意味がよく分かった。
爽やかなうえに、優しい…そして…キレイな顔してるんだな…。
なんて…不覚にも思ってしまった。
『おはようっ!!』
『おはようっ!!』
仁さんと友也さんがふたり揃って登場した。
ふたりの距離が、近くなっていることに気が付かない訳がない。
いつもより仲良しで、どことなく恥ずかしそうで…でも幸せそうなふたり。
ふたり…上手くいったんだなぁって思った。
不思議と嫉妬や嫉みは無かった。
帰りの新幹線でも、ふたりはイチャイチャしていて、見ているこっちが恥ずかしくなるくらいだった。
そんなふたりのイチャイチャを見たら、もっと悲しくて苦しくなると思っていたのに…。
意外と冷静に、ふたりを見れている自分がいた。
あのふたり…上手くいったんだな。よかった…。
やっとふたりの恋が、実ったという充実感さえ味わえるくらいになっていた。
たぶん、心のどこかで覚悟していたんだろう。
こうなることは自然なことで、わかっていたことなのだ。
そして、後日ふたりからは別々にお礼のメールが来ていた。
【遼平ありがとう。りょうへいのおかげで友也と付き合うことになった。ほんとに、ありがとう!!】
【遼平ありがとう。仁さんと付き合うことになった。そして…背中を押してくれてありがとう。遼平がいなかったらきっと、仁さんと付き合うことなんてなかったと思う。】
そのメールを見ても、不思議なくらいに悲しくならなかった。
俺のおかげなんだから、今度ふたりにはなんかおごってもらおうかな?
なんて思えるようになった。
そう思えるようになったのは…
『遼平!夜メシ行こう!』
『遼平!ちゃんと朝食べた?』
『遼平!姿勢悪い!』
遼平…遼平って俺のすぐそばで、俺を心配してくれる人がいるらしい。
『うっさいっ!』
そんな俺に
『お前気づいてないの?一ノ瀬お前の事…ふふっ。お前意外と鈍いんだな』
なんて仁さんに言われた。
散々拗らせていた仁さんにだけは言われたくない!!
『一ノ瀬!今日はお前のおごりな~』
爽やかなイケメンに言った。皆の視線を釘付けにして!!
『え~!仕方ないっ!なに食べる?』
俺の恋がひとつ終わった。
苦しい恋だった。
でも、俺は次へ進めるのかもしれない。
次の恋は止まることなく、終わることなく…
愛に変わっていきますように。
終わり
拙い文章を最後まで読んで下さった皆さん。
ありがとうございました。
苦しい恋でしたが、最後はハッピーエンドに♡
今後も他の作品も書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
白夜
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