私が君と過ごした数分間

第二章

離婚と始まり

私は滝沢と別れたその日に、離婚届をもらってきた。

そして離婚するという事を夫に伝えた。

一度だけ会い、養育費や慰謝料などの誓約書を交わし…

最後に離婚届に判を押した。

何の躊躇も感じられなかった。

淡々と終わり、私はその足で離婚届を提出してきた。


終わった…


紙切れ1枚で他人。

笑っちゃう。


これでよかったんだ！


そしてその日の夜、海斗にゆっくり話をした。


「ごめんね…海斗…高校受験の1番大切な時にママたちがこんな事になっちゃって…
本当にごめん。
でもね、ママたちは憎み合って離婚したわけじゃないよ。
海斗の父親であることは変わらないし、いつ会ってもいいんだよ。

ママも頑張ったんだけど…
一緒に生きていくことは…もう出来なかったんだ…」


海斗は今まで何も言って来なかった。

心の中でどんなに不安で苦しく、寂しい思いをさせてしまっただろう…


私が話し終わると、海斗は静かに泣いた。。。

「ママが守るからね！海斗たちが大人になるまで、みんなのことはママがしっかり守る。
一緒に頑張ろうね…」

と海斗を抱きしめた。



風花と空美はまだ小さかったが…

「パパとママはもう一緒にいられなくなったんだ…
でもふうちゃんもくーちゃんもいつでもパパに会えるからね」

と伝えた。


夫が家を出て1年。


二人はまだ離婚の意味が分からないので
キョトンとした顔で

「今までと変わらないねっ！」

と笑った。


私はとりあえずホッとした。


いつか聞かれる時が来たらちゃんと教えてあげよう。


これからだ。

私たち家族は。


絶対に守ってみせる。


「幸せになる事を諦めるな」

ふと滝沢の顔が浮かんだ。


諦めてたまるか。


私は子供たちを集めて、4人の手を重ね写真を撮った。


よしっ！

頑張るぞ！

大地…
君もこの手の中にちゃんと入ってるからね…