薄明喰 短編集【12話執筆中】

薄明 喰

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僕のヒーロー、田丸君。



寂しい。

寂しすぎて消えてしまいたい。



母が居なくなってから何日経った?

今日、先生に呼び出されて給食費が払えてないけど親御さんにきちんと渡しているかと聞かれた。
正直に母がしばらく帰ってきていなくて渡せていないと答えたら先生は顔をしかめて大きなため息をついた。



僕には今、学校の給食しかご飯がない。

食べられなくなったらどうしたらいいんだろう。







バタン!!


「あんたっ!この!」


部屋で丸まっていると突然大きな音が響いて、久しぶりに見た母に頬を叩かれた。



「生かしてやってんのに!私の邪魔すんじゃねーよ!」



母は酷く怒っていて、何度も僕の頬や頭を力いっぱいに叩く。




「死ね!」



ゴン!



叩かれることは今までに何度もあったけど、椅子を振り落とされたのは初めてで、痛いと感じる前に僕は眠ってしまった。












どれくらいの時間寝ていたのか、気がついたら僕は病院に居た。

看護師さんの話だと、様子を見に来た担任の先生が中からすごい音が聞こえてきて警察を呼び、母は警察に捕まったらしい。



看護師さんにお父さんは?と聞かれたが、僕はお父さんっていう人を知らない。
そう伝えると担任先生と同じように大きなため息をついて病室から出ていってしまった。






僕は2日入院して、そして児童相談所に保護された。

そこで2ヶ月ほど過ごして、住んでいた所から離れた施設で暮らすことになった。



僕が暮らすことになった施設の先生は皆疲れた顔をしていて、僕が増えることに大きなため息をついていた。
なるべく迷惑をかけないように頑張るけど、転校の手続きだったり、学校からのお知らせを渡さないといけなかったりと、どうしても迷惑をかけてしまう。


そんな時は決まって大きなため息が聞こえてきた。









高校生になってアルバイトを初めてから、それとなく職員さんから施設を出ていくように促されることが増えた。

だから2年生に上がる時に施設を出た。


国からの支援があっても食費を削らないといけなかったり、よく変な大人がやって来て僕からお金を取ろうとすることがあり、毎日満足に眠れない日々。






疲れていた。

毎日朝から夕方まで学校で、そこから夜の22時までアルバイト。
帰って宿題を片付けて、ご飯を用意したりお風呂に入ったり、洗濯をしたり。

休みの日もアルバイトをかけもって朝から夜まで働いた。


生活費だけを稼げばいいんじゃない。
大学もしくは専門学校に通うための資金を集めないといけなかった。






毎日、毎日体がしんどくても頑張って生きた。





そして高校3年生の夏

アルバイトの帰り道に道端で倒れてしまった。
診断結果は過労。


医師は「頑張るのもいいけど、休ませてあげないと」と言うが、そう出来るのならばそうしていると怒鳴りつけてやりたかった。
そう出来ないから…だから…



もう何もかもが嫌になった。

頑張っても頑張っても報われず、更には母がやばい所からお金を借りていて、見知らぬおじさんが家に来るようになり、大家さんから出ていくように言われた。


このままでは死に際もろくなもんじゃない。





だから僕は自ら命を断つことを選んだ。






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