薄明喰 短編集【12話執筆中】

薄明 喰

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何故君が犠牲にならねばならなかったのか


ラオネット大将の養子になってから、何度も医師に身体を検査されているが医師の診断がなくてもアリオスには自分の身体がどんどん壊れていっていることが分かっていた。


戦場で戦っていた時よりも怪我が治りにくくなってきたし、頭痛が酷くて嘔吐する回数も増えてきた。
一日中めまいがして歩行もままならないことがあるし、無くてもいいくらいだった睡眠時間は日に日に長くなっている。




ととさまが顔を情けなく顰めている時間も増えてきたところでアリオスは今まで感じたことのない感情が自分の中にあることに気がついた。

ととさまに笑っていてほしい。
もっとととさまと遊びたいしお話したい。

そういう風に感じたのだ。


しかし残酷にもその感情に気がついた時にはアリオスの身体はあまり動かなくなっていた。

ラオネット家に仕える使用人の1人が今まで散々沢山の人を殺してきたのだから苦しみぬいて死ぬのが当たり前だと呟いたことがあった。
その人物は他の使用人がラオネット大将にそのことを報告し、今はどうなっているのかも分からないが、アリオスはあの使用人の言ったことが少しだけ分かった気がした。



今ととさまが戦場で殺されたら僕はその殺した人間を許せないと思う。

自分にとってのととさまのような存在を僕は何百、何千人と殺してきたのだからあちこち傷んでこんなに苦しい身体も仕方ないことなのだと諦めがついた。


今思えば、昔から諦めることが多くてそれが当たり前になり、考えることを止めてきた気がする。
自分以外の子供兵達も、きっと感情を無くしていたわけじゃなくて生きるために本能的に思考を麻痺させていたのだろう。






遂にベッドから出られなくなったアリオスは偶に目を覚ましてラオネット大将を探し、ととさまと呟くのが精一杯になってしまった。

鼓動がゆっくりになっていって、もうすぐ自分が死ぬのだとわかる。


「とと…ま」


ととさまと声を出すことすら満足に出来なかったが、ととさまはアリオスの呼び掛けに答え顔を覗かしてくれた。

近くにある泣きそうな顔に何故だか安心して自然と笑みがこぼれた。


そっと触れてみたととさまの頬は暖かくて頬を伝う涙は熱い。




ふと戦士が言っていた言葉を思い出した。

「あーあ。俺此処で死ぬんだろうなぁ」

「だろうなぁ。なぁ、生まれ変わったら何になりたい?」

「んー…金持ち?」

「ははは!俺は鳥になりたいなぁ」

「はは!いいな!あー…来世はもう殺し合いなんてしなくていい世界がいいなぁ」



来世は何になりたいと言う話をしている戦士を戦場で何回も見た。

ラオネット大将に拾われて色々教えを与えられている時に知った。
来世っていうのは死んでまた違う形で生まれる次の人生。



もし自分にも来世というものがあるのなら、次こそはととさまともっと沢山お話がしたい。

そんな願いごとをしながらアリオスの人生初幕を閉じたのであった。



Fin




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