可哀想は可愛い

ぽぽ

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「僕なら絶対に君を守れるよ」
「え、ででも、大丈夫ですよ。それに知らない人にそんなことさせるなんて」
「僕は君のこと知ってるけど」
 
 君は僕を知らないようだね、と寂しそうな顔をした。もしかして俺達ってどこかで一回会ったことあるのか?こんなインパクトの強い美形に会ったら絶対忘れない気がするけども。
 
「でも、助けるとはいえ一体何を?」
「彼が君に容易く手を出せないようにすればいい」
「む、無理ですよ。だって貴方が巻き添えになるかもしれないし」
 
 貴族様を巻き込んでしまったら流石に不味いだろう。俺なんかの為にそんな事になってはいけない。
 
 俺の心配を他所に彼は自信ありげに笑ってみせた。そして、俺にとんでもない提案をしてきた。
 
「大丈夫。僕と君が付き合えば良いんだよ」
「……え?」
「僕の恋人だと知り渡れば下手に手を出せないだろう?僕は親から婚約者を紹介されるのが苦痛でね。君と付き合えばそれを理由に断れるし君も嫌がらせを受けないし、WIN-WINと思わない?」
 
 予想外の言葉に俺は言葉を失った。
 こ、恋人?この人と俺が?釣り合わないだろう。寧ろ殺されるんじゃないか。思わず訝しげな顔になっていたのか、彼は口の端を更に上げて声を弾ませた。
 
「心配する必要ない。君に何かする者がいれば、ヘルキャット家が命をもって償うと誓うよ」
「……ど、どうしてそんなに優しくするんですか」
 
 声が震えた。だって、余りにも出来すぎた展開だ。今まで俺に優しくしてくれた人なんて、家族かオーバンくらいだった。でも彼等はこの人程行動に出ることは無かったしそれを俺も望まなかった。俺のせいで傷ついて欲しくなかったし。
 それなのに、どうしてこの人はなんにも俺のことを知らないのに助けの手を伸ばしてくれるのか。
 
「君が可哀想だったからだよ」

 同情か。正義感で助けてくれたのか。やっぱり何もかもを持ってる人は心も良いんだな。嬉しいと思うと同時に自分が酷く惨めに思えた。
 だが、次の言葉にそれは消えた。
 
「ただ虐められて可哀想なら僕は助けないけどね、君は誰かが助けようとしてくれても見栄を張っていただろう?」
「え?」
「普通なら助けてって言えば良いのに、君は寧ろ平気だと下手くそな笑顔を浮かべる。僕は不思議なんだ。泣きそうな顔をしてるくせ何故平気なフリをするのか。だから、僕はそんな君を助ける唯一の存在になりたかった」
 
 誰も手に入れられなかったものを手に入れた時って最高に優越感を感じるだろう?と、彼は口を歪ませた。
 ……思った以上にヤバい人だ。この人に任せて本当に大丈夫なのか。
 
「大丈夫。僕は昔から身内は大切にするよ。小さい頃に飼ってた犬なんて可愛がりすぎて早死になっちゃったくらい」
 
 むしろ不安になるんですけど……。
 だが、ここまで言ってくれるなら頼った方が良いかもしれない。何より、彼の優しさに甘えたいという気持ちもある。
 俺は小さく息を吐いて、彼の申し出を受け入れることにした。

「ふふっ、じゃあ決まり。今日からよろしくね」

 差し出された手に恐る恐る自分の手を重ねる。すると、彼は俺の手の甲に唇を落とした。
 
「わっ、何をして」
「初心な反応だな。でも、これくらい慣れてくれないと困るよ。これから僕らは恋人だから」
 
 男同士なのに恋人って良いのか?なんて思ったが、比較的男子生徒が多いこの学園では、割と男同士の恋人がいたことを思い出した。
 恋愛ごとには慣れないが、頑張ろう。この人も応援してくれているし。そして俺達の恋人ごっこが始まった。
 
 その後、ビルギットにキレられたり、オーバンには監禁されかけたり、王子(仮)には押し倒されたり、散々な目に遭うことをセシリオはまだ知らない。
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みんなの感想(2件)

kas
2025.07.28 kas

更新楽しみにしてました…!!!
かわいそかわいい受けくん大好きなので今後も攻めたちとの絡みがとても楽しみです!

2025.07.29 ぽぽ

感想ありがとうございます!
まさか続きを読んでいただけるなんて嬉しいです!更新が遅れて本当に申し訳ないです🙇‍♀️
かわいそかわいいの愛おしいですよね🥺とても励みになりました!ありがとうございます✨

解除
転生ストーリー大好物

つ、続きをお恵みください!

2023.09.23 ぽぽ

感想ありがとうございます!
思い付いたら書く予定ですので暫しお待ちくださいませ……!!🙇‍♀️🙏

解除

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