11 / 31
11.勇者様、嬉しそう!
しおりを挟む
食堂に着くと、沢山の騎士がガヤガヤと話しながら食事をしていた。しかし、ジェイミー様が足を踏み入れた途端、呼吸の音も聞こえない静けさが食堂を包む。
「ジェイミー様だ……」
「何故こんな所に」
「相変わらず砂糖菓子みたいな顔だこった」
周囲の視線を集めているがそれに気付いていないのかと思う程無表情で颯爽と歩くジェイミー様と反対に俺は一人一人の声を噛み締めて聞いていた。
「砂糖菓子」かぁ。確かにこんな甘い顔をずっと摂取していたら虫歯になっちゃう。まあジェイミー様の顏を眺められるならば虫歯でも糖尿病でもなっても良い。
「ここでいいか」
頷き、ジェイミー様に言われた席に着くと隣に彼も座った。そして彼は自身が持っているバケットからサンドイッチを取り出し俺へ手渡す。
「あ、ありがとうございます!」
ジェイミー様が選んで下さったものは、ハムと卵のサンドイッチ。ジェイミー様行きつけの以前のお店の物だとしたら確実に美味しい。というかジェイミー様の指が触れた時点でこのサンドイッチは神同然。自分の思考回路がかなり気持ち悪い事は自覚してるが許して欲しい。
黙々と味わっていると横から熱い視線を感じる。ジェイミー様が何故かサンドイッチを食べずに此方をじっと見詰めているのだ。
何故だ。何故俺をそんなに見ているんだ。もしかして俺の食べ方をチェックしているとか?そんなに見られたら味が分からなくなるからやめて欲しいんですけど……。
「お、美味しいですね。サンドイッチ」
俺よりもサンドイッチに視線を移してもらうために話し掛けると、ジェイミー様はサンドイッチを取り出した。そうそう、俺なんか見ずに好きな物を食べてくれ。
「これも食べてくれ」
そっち!?俺が食べる方!?
推しに食べてくれと言われたら断る事は出来ない。笑みを浮かべ受け取ると、再びジェイミー様は頬杖をついて俺を見た。どういう心理で見ているんだ……。
四つ目のサンドイッチを渡され流石に吐きそうだ。俺は大食漢では無いし寧ろ少食である。だが、ジェイミー様は真っ直ぐな目で俺に手渡してくれるからつい断れず受け取ってしまう。照り焼きチキンの入ったサンドイッチを見て胃がどっと重くなったのを感じる。まだ食べてもいないのに。
「ジェイミー様は、食べませんか?美味しいですよ」
笑顔を作り話し掛ける。バケットの中にはまだサンドイッチが幾つか残っている。このままでは俺が全て食べることになりそうだ。それだけは回避したい。
すると、ジェイミー様は徐に俺から視線を外しサンドイッチを見る。
「分かった」
そう言うと、ジェイミー様は急にお顔を俺に近付けた。そして俺の持っていたサンドイッチを齧った。予想外の行動に目を見張る。周囲の騎士も息を飲んだだろう。
「美味しい」
心做しか少し表情が柔らかくなった。目尻が少し下がり喜色が伝わる。それに騎士達も気付いたようで驚いたように彼に釘付けになっていた。それは俺も同じで思わず彼の顔に食いつくように見つめていた。
「……何故、笑っている?」
俺の異変に気付き、再び普段の無表情で聞いた。
自分でも笑っていた自覚は無かった。素直にジェイミー様が嬉しそうだったから、と伝えたら変に思われるだろうか。でも、そんな人じゃないと長年推し続けた俺は分かる。
そして俺はそのまま笑顔で答えた。
「ジェイミー様が嬉しそうだったので」
「……私が?」
「はい。サンドイッチ、本当に好きなんですね!」
そう言うとジェイミー様は少し目を伏せた。
「……私はサンドイッチが好きだと以前言ったが、正直今までは味よりも食べやすさを好んでいた。持ちながら走れてちょっとした小腹を埋めるのに丁度良いから。何時魔物が現れるか分からないから食事というのは如何に早く胃に詰め込めるかが重要だと思っていた」
ジェイミー様が自分からこうして長く話すの今までに無かった。だから少したじろぐが彼の真剣な表情を見て俺も彼の話を真剣に聞こうと思った。
以前サンドイッチを二人で食べていた時もかなり早く食べ終わっていた。単に俺が食べるのが下手くそだからと思っていたが、彼は歩きながら食べることに慣れていたのだろう。魔物が潜む森で座りながら食べるなんてする間抜けはいない。
「だが、君と食べると心が温かくなった。君は……」
彼の口から出る言葉に耳を澄ます。すると、彼は至極真面目な顔で告げた。
「君は、もしかして何か魔法を使っているのか?」
「はい?」
「ジェイミー様だ……」
「何故こんな所に」
「相変わらず砂糖菓子みたいな顔だこった」
周囲の視線を集めているがそれに気付いていないのかと思う程無表情で颯爽と歩くジェイミー様と反対に俺は一人一人の声を噛み締めて聞いていた。
「砂糖菓子」かぁ。確かにこんな甘い顔をずっと摂取していたら虫歯になっちゃう。まあジェイミー様の顏を眺められるならば虫歯でも糖尿病でもなっても良い。
「ここでいいか」
頷き、ジェイミー様に言われた席に着くと隣に彼も座った。そして彼は自身が持っているバケットからサンドイッチを取り出し俺へ手渡す。
「あ、ありがとうございます!」
ジェイミー様が選んで下さったものは、ハムと卵のサンドイッチ。ジェイミー様行きつけの以前のお店の物だとしたら確実に美味しい。というかジェイミー様の指が触れた時点でこのサンドイッチは神同然。自分の思考回路がかなり気持ち悪い事は自覚してるが許して欲しい。
黙々と味わっていると横から熱い視線を感じる。ジェイミー様が何故かサンドイッチを食べずに此方をじっと見詰めているのだ。
何故だ。何故俺をそんなに見ているんだ。もしかして俺の食べ方をチェックしているとか?そんなに見られたら味が分からなくなるからやめて欲しいんですけど……。
「お、美味しいですね。サンドイッチ」
俺よりもサンドイッチに視線を移してもらうために話し掛けると、ジェイミー様はサンドイッチを取り出した。そうそう、俺なんか見ずに好きな物を食べてくれ。
「これも食べてくれ」
そっち!?俺が食べる方!?
推しに食べてくれと言われたら断る事は出来ない。笑みを浮かべ受け取ると、再びジェイミー様は頬杖をついて俺を見た。どういう心理で見ているんだ……。
四つ目のサンドイッチを渡され流石に吐きそうだ。俺は大食漢では無いし寧ろ少食である。だが、ジェイミー様は真っ直ぐな目で俺に手渡してくれるからつい断れず受け取ってしまう。照り焼きチキンの入ったサンドイッチを見て胃がどっと重くなったのを感じる。まだ食べてもいないのに。
「ジェイミー様は、食べませんか?美味しいですよ」
笑顔を作り話し掛ける。バケットの中にはまだサンドイッチが幾つか残っている。このままでは俺が全て食べることになりそうだ。それだけは回避したい。
すると、ジェイミー様は徐に俺から視線を外しサンドイッチを見る。
「分かった」
そう言うと、ジェイミー様は急にお顔を俺に近付けた。そして俺の持っていたサンドイッチを齧った。予想外の行動に目を見張る。周囲の騎士も息を飲んだだろう。
「美味しい」
心做しか少し表情が柔らかくなった。目尻が少し下がり喜色が伝わる。それに騎士達も気付いたようで驚いたように彼に釘付けになっていた。それは俺も同じで思わず彼の顔に食いつくように見つめていた。
「……何故、笑っている?」
俺の異変に気付き、再び普段の無表情で聞いた。
自分でも笑っていた自覚は無かった。素直にジェイミー様が嬉しそうだったから、と伝えたら変に思われるだろうか。でも、そんな人じゃないと長年推し続けた俺は分かる。
そして俺はそのまま笑顔で答えた。
「ジェイミー様が嬉しそうだったので」
「……私が?」
「はい。サンドイッチ、本当に好きなんですね!」
そう言うとジェイミー様は少し目を伏せた。
「……私はサンドイッチが好きだと以前言ったが、正直今までは味よりも食べやすさを好んでいた。持ちながら走れてちょっとした小腹を埋めるのに丁度良いから。何時魔物が現れるか分からないから食事というのは如何に早く胃に詰め込めるかが重要だと思っていた」
ジェイミー様が自分からこうして長く話すの今までに無かった。だから少したじろぐが彼の真剣な表情を見て俺も彼の話を真剣に聞こうと思った。
以前サンドイッチを二人で食べていた時もかなり早く食べ終わっていた。単に俺が食べるのが下手くそだからと思っていたが、彼は歩きながら食べることに慣れていたのだろう。魔物が潜む森で座りながら食べるなんてする間抜けはいない。
「だが、君と食べると心が温かくなった。君は……」
彼の口から出る言葉に耳を澄ます。すると、彼は至極真面目な顔で告げた。
「君は、もしかして何か魔法を使っているのか?」
「はい?」
26
あなたにおすすめの小説
過労死で異世界転生したら、勇者の魂を持つ僕が魔王の城で目覚めた。なぜか「魂の半身」と呼ばれ異常なまでに溺愛されてる件
水凪しおん
BL
ブラック企業で過労死した俺、雪斗(ユキト)が次に目覚めたのは、なんと異世界の魔王の城だった。
赤ん坊の姿で転生した俺は、自分がこの世界を滅ぼす魔王を討つための「勇者の魂」を持つと知る。
目の前にいるのは、冷酷非情と噂の魔王ゼノン。
「ああ、終わった……食べられるんだ」
絶望する俺を前に、しかし魔王はうっとりと目を細め、こう囁いた。
「ようやく会えた、我が魂の半身よ」
それから始まったのは、地獄のような日々――ではなく、至れり尽くせりの甘やかし生活!?
最高級の食事、ふわふわの寝具、傅役(もりやく)までつけられ、魔王自らが甲斐甲斐しくお菓子を食べさせてくる始末。
この溺愛は、俺を油断させて力を奪うための罠に違いない!
そう信じて疑わない俺の勘違いをよそに、魔王の独占欲と愛情はどんどんエスカレートしていき……。
永い孤独を生きてきた最強魔王と、自己肯定感ゼロの元社畜勇者。
敵対するはずの運命が交わる時、世界を揺るがす壮大な愛の物語が始まる。
オメガだと隠して魔王討伐隊に入ったら、最強アルファ達に溺愛されています
水凪しおん
BL
前世は、どこにでもいる普通の大学生だった。車に轢かれ、次に目覚めた時、俺はミルクティー色の髪を持つ少年『サナ』として、剣と魔法の異世界にいた。
そこで知らされたのは、衝撃の事実。この世界には男女の他に『アルファ』『ベータ』『オメガ』という第二の性が存在し、俺はその中で最も希少で、男性でありながら子を宿すことができる『オメガ』だという。
アルファに守られ、番になるのが幸せ? そんな決められた道は歩きたくない。俺は、俺自身の力で生きていく。そう決意し、平凡な『ベータ』と身分を偽った俺の前に現れたのは、太陽のように眩しい聖騎士カイル。彼は俺のささやかな機転を「稀代の戦術眼」と絶賛し、半ば強引に魔王討伐隊へと引き入れた。
しかし、そこは最強のアルファたちの巣窟だった!
リーダーのカイルに加え、皮肉屋の天才魔法使いリアム、寡黙な獣人暗殺者ジン。三人の強烈なアルファフェロモンに日々当てられ、俺の身体は甘く疼き始める。
隠し通したい秘密と、抗いがたい本能。偽りのベータとして、俺はこの英雄たちの中で生き残れるのか?
これは運命に抗う一人のオメガが、本当の居場所と愛を見つけるまでの物語。
絶対に追放されたいオレと絶対に追放したくない男の攻防
藤掛ヒメノ@Pro-ZELO
BL
世は、追放ブームである。
追放の波がついに我がパーティーにもやって来た。
きっと追放されるのはオレだろう。
ついにパーティーのリーダーであるゼルドに呼び出された。
仲が良かったわけじゃないが、悪くないパーティーだった。残念だ……。
って、アレ?
なんか雲行きが怪しいんですけど……?
短編BLラブコメ。
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
勇者になるのを断ったらなぜか敵国の騎士団長に溺愛されました
雪
BL
「勇者様!この国を勝利にお導きください!」
え?勇者って誰のこと?
突如勇者として召喚された俺。
いや、でも勇者ってチート能力持ってるやつのことでしょう?
俺、女神様からそんな能力もらってませんよ?人違いじゃないですか?
辺境の酒場で育った少年が、美貌の伯爵にとろけるほど愛されるまで
月ノ江リオ
BL
◆ウィリアム邸でのひだまり家族な子育て編 始動。不器用な父と、懐いた子どもと愛される十五歳の青年と……な第二部追加◆断章は残酷描写があるので、ご注意ください◆
辺境の酒場で育った十三歳の少年ノアは、八歳年上の若き伯爵ユリウスに見初められ肌を重ねる。
けれど、それは一時の戯れに過ぎなかった。
孤独を抱えた伯爵は女性関係において奔放でありながら、幼い息子を育てる父でもあった。
年齢差、身分差、そして心の距離。
不安定だった二人の関係は年月を経て、やがて蜜月へと移り変わり、交差していく想いは複雑な運命の糸をも巻き込んでいく。
■執筆過程の一部にchatGPT、Claude、Grok BateなどのAIを使用しています。
使用後には、加筆・修正を加えています。
利用規約、出力した文章の著作権に関しては以下のURLをご参照ください。
■GPT
https://openai.com/policies/terms-of-use
■Claude
https://www.anthropic.com/legal/archive/18e81a24-b05e-4bb5-98cc-f96bb54e558b
■Grok Bate
https://grok-ai.app/jp/%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%A6%8F%E7%B4%84/
婚約破棄を提案したら優しかった婚約者に手篭めにされました
多崎リクト
BL
ケイは物心着く前からユキと婚約していたが、優しくて綺麗で人気者のユキと平凡な自分では釣り合わないのではないかとずっと考えていた。
ついに婚約破棄を申し出たところ、ユキに手篭めにされてしまう。
ケイはまだ、ユキがどれだけ自分に執着しているのか知らなかった。
攻め
ユキ(23)
会社員。綺麗で性格も良くて完璧だと崇められていた人。ファンクラブも存在するらしい。
受け
ケイ(18)
高校生。平凡でユキと自分は釣り合わないとずっと気にしていた。ユキのことが大好き。
pixiv、ムーンライトノベルズにも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる