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しおりを挟む「犬山以外……」
本を抱えながら誰も居ない廊下で呟く。
あの後、犬山は授業が終わった後でも膝立ちで「嫌いにならないで下さい!」なんて泣き叫んでいたが「元から嫌いになんてなってない」と言うと泣いて喜んだ。本当に元気な奴だ。
それにしても、アイツがまさかこんなに俺のことが好きなんてな。犬山の思いを確かに受け取った俺は、もしキスの相手が犬山だとしても他の奴に言い触らすのはやめようと反省した。
しかし、まだ問題は解決してない。
俺のキスの相手はじゃあ誰なんだ。
すると、突如抱えていた本が消えた。
代わりに大きな影が俺を覆う。見上げればそこには眼鏡の奥で目を細める長身の男が立っていた。
「重そうだね。手伝うよ」
「あ、悪い。夜鳥」
ナイスタイミングと言えば良いのやら、夜鳥は丁度俺の頭を悩ませる同室の男の一人だ。
他クラスだが同室の相手だし顔を合わせれば話す。眼鏡を掛けているが、ガリ勉の真面目くんという訳でもなく気さくで爽やかだ。いつも人当たりが良い笑顔を浮かべていて教師や生徒からも評判が良い。
だが俺はコイツの秘密を知ってしまった。
夜鳥は、実は男が好きなのだ。
いや、前に彼女が過去にいたと言っていたから男限定という訳でもないのか?
兎に角、この爽やかな笑顔に騙されてはいけないという事だ。
実を言うと、過去に空き教室で夜鳥と下級生の野郎が致している所を見てしまった。
それはもう俺はかなり動揺した。本当に。
ただ犬山といつものようにお昼を食べようと近寄っただけなのに、男の喘ぎ声が聞こえた上に相手が同室の爽やかイケメン眼鏡王子だなんて仰天する。
更にその後、彼と廊下で鉢合わせてしまったが全く動じず「どうしたの?また勉強会する?美味しいケーキ買ってこようか」なんて優男のように聞いてきた。
一方、全くそんな男だと知らなかった俺は動じる余りぶんぶんと過剰に首を振った。そのせいで少し傷付いていたようだが、お前の行いが悪いのだ。
同性愛者ということが悪いとは思わない。
多様性を尊重する今の時代だ。お好きにどうぞ、と言いたい所だが致す場所が悪いのだ。その空き教室は犬山とお昼を食べる場所として気に入ってたのに、そんな事に使われていたなんて何処か嫌だ。飯を食べる度に彼等の行為の様子を自然と思い出してしまう。はっきり言って気分は最悪だ。そういう事は他の場所でして欲しい。切実に。
まあ今はその空き教室も使ってないし、問題はキスについてだ。
正直俺的候補一位は断然この男だ。だって夜鳥の相手と同じく俺は男だし、寝ている間も盛っていそうだ(失礼)
「ここで良いかな?」
「うん、ありがとう」
持ってきた本をジャンル別に分けて棚に戻す。
内申のために入った図書委員だが何気に面倒だ。チマチマした作業が多い。それに本を借りに来る生徒が滅多にいないから仕事は楽だけどこの古びた図書室がやけに静かで薄気味悪い。
まあ、今日は夜鳥と来たおかげで仕事も楽だし話し相手が居ていつもよりは楽だけど。
そんな事を考えながら作業をしていると、突如腕を掴まれる。相手は一人しかいない。
「何?」
「本当に腕が細いなって思って」
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