告発ゲーム

みにぶた🐽

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第15章 永遠の記憶

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2年後、蓮は大学生になっていた。

法学部に進学し、将来は人権問題に取り組む弁護士になることを目指していた。美咲のような被害者を救うために。まだ学生だが、既に法律事務所でインターンとして働き、ネット上の誹謗中傷問題に取り組んでいる。

大学の図書館で勉強していると、同級生の女子学生が声をかけてきた。

「蓮さんって、あの講演をしてる人ですよね?」

「はい、そうです」

「すごいですね。自分の過ちを公表するなんて、普通はできません」

蓮は苦笑いした。

「勇気があったわけじゃありません。ただ、償わなければならなかったから」

「でも、そのおかげで救われた人がたくさんいると思います」

確かに、蓮の講演を聞いて匿名での告発を思いとどまった人、ネットリンチに参加することをやめた人が大勢いた。直接感謝の手紙をもらったこともある。

しかし、蓮にとって最も重要なのは、美咲の死を無駄にしないことだった。

その日の夜、蓮は他の参加者たちとオンラインで会議をしていた。年に数回、こうして近況を報告し合っている。

「大輔さんの学校でのいじめ防止活動、すごく効果的だったみたいですね」蓮が言った。

「おかげで、昨年度はいじめの早期発見・早期対応ができました」大輔が答えた。「美咲さんのような悲劇を二度と起こさないために」

千尋が報告した。

「私のSNS啓発活動も、少しずつ成果が出てきてます。特に、匿名での誹謗中傷について考えてもらう機会を作れてると思います」

拓海、莉子、翔太、沙織、亮介、圭、美咲(従姉妹)——みんな、それぞれの分野で美咲の死を教訓とした活動を続けていた。

「奈々さんの近況はどうですか?」蓮が尋ねた。

「先月、カウンセラーの資格を取得しました」美咲(従姉妹)が答えた。「今は高校でスクールカウンセラーとして働いてます。美咲ちゃんと同年代の子供たちを支えてる」

「それは良かった」蓮が微笑んだ。

会議の最後に、みんなで黙祷を捧げた。橋本美咲のために。そして、二度と同じような悲劇が起こらないことを願って。

会議が終わった後、蓮は一人で美咲の写真を見つめていた。

「美咲さん、僕たちは今も、あなたのことを忘れていません。そして、あなたの死を教訓として、多くの人を救おうとしています」

蓮は写真に向かって話しかけた。

「でも、やっぱり悔しいです。あなたが生きていれば、もっと多くの人を直接救えたのに。僕の愚かな行動で、その可能性を奪ってしまった」

風が窓を揺らした。まるで美咲が答えているかのようだった。

「でも、約束します。あなたの分まで、頑張って生きます。そして、あなたのことを永遠に忘れません」

蓮は美咲の写真を大切にしまった。

明日もまた、贖罪の日々が続く。

しかし、それは同時に、希望の日々でもあった。

美咲の死が無駄にならないよう、一人でも多くの人を救うために。

そして、美咲のような優しい心を持った人たちが、安心して生きられる社会を作るために。

蓮たちの戦いは続いていく。

-----

## エピローグ

それから5年後——

蓮は弁護士として、ネット上の誹謗中傷被害者の支援に取り組んでいた。事務所の壁には、橋本美咲の写真と、彼女が生前に書いた「優しさは連鎖する」という言葉が飾られている。

ある日、一人の高校生が相談に訪れた。

「先生、僕……匿名で先輩のことを告発しようと思ってるんです。でも、先生の講演を聞いて、迷ってます」

蓮はその高校生を見つめた。まるで、かつての自分を見ているようだった。

「君の正義感は素晴らしい。でも、匿名での告発は危険だ。まずは信頼できる大人に相談することから始めよう」

高校生は頷いた。

「分かりました。先生のように、責任を持って行動します」

高校生が帰った後、蓮は窓の外を見つめた。

空には美しい雲が浮かんでいる。

「美咲さん、また一人、救うことができました」

風が優しく頬を撫でていった。

美咲の死から8年。

彼女の記憶は、多くの人の心の中で生き続けている。

そして、二度と同じような悲劇が起こらないよう、蓮たちは今日も戦い続けている。


デジタル倫理研究機関
研究報告書 最終版

実験名:「孤島プロジェクト」
期間:7日間
被験者:13名(最終生存者:11名)

結論
デジタル犯罪者に対する心理的介入により、真の贖罪意識を醸成することが可能であることが実証された。被験者たちは実験後、積極的に社会貢献活動に従事し、デジタル社会の健全化に寄与している。

本実験の成果は、将来的なデジタル犯罪防止プログラムの基礎資料として活用される予定である。

Dr.橋本 記
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