婚姻=スキル共有!? ハズレと追放された俺に、美少女女王とイケメン魔王が嫁婿に来て土下座してきたんだが。俺の隠しスキルはガチャ確操作だった

みにぶた🐽

文字の大きさ
30 / 72
第1章6話「村娘のスキルと新たな仲間たち」

「村娘のスキルと新たな仲間たち」 ②

しおりを挟む
 エリシア女皇が、完全に農作業初心者だったのだ。

「えーっと、この大根を……こう?」

 彼女が恐る恐る大根を引っ張ろうとするが、なかなか抜けない。

「もう少し力を入れて、根元をしっかり掴んでください」

 マルセリーヌさんが優しく指導する。

「こう……ですか?」

 エリシア女皇が力を込めた瞬間、大根が勢いよく抜けて、彼女は尻餅をついてしまった。

「きゃっ!」

「エリーさん、大丈夫ですか?」

 俺は慌てて駆け寄った。

「はい、大丈夫です……」

 エリシア女皇の顔が真っ赤になっている。女皇としての威厳はどこへやら、完全に一般人の女の子だった。

 一方、エドリアンは魔法で土の感触や植物の成長具合を分析しながら作業している。

「興味深いな。この土壌には微量の魔力が混じっている」

「エイドリアンさんは魔法に詳しいんですか?」

 マルセリーヌさんが興味深そうに尋ねる。

「まあ、多少は。趣味の範囲だが」

 エドリアンが曖昧に答える。

「実は私も、少しだけ魔法が使えるんです」

 マルセリーヌさんが小さく呟いた。

 俺たちは手を止めて彼女を見つめた。やはりエドリアンの予想通りだったのか。

「どんな魔法ですか?」

 エリシア女皇が興味深そうに尋ねる。

「植物を育てる魔法です。でも、あまり強くないので、普段は使わないようにしているんです」

 マルセリーヌさんが恥ずかしそうに手のひらを向ける。すると、淡い緑色の光が漂い、周囲の野菜が僅かに元気になったように見えた。

「すごい!」

 俺は純粋に感動した。これが彼女の隠されたスキルなのか。

「【植物育成】のスキルですね」

 エドリアンが感心する。

「非常に希少で有用なスキルです。この村の豊作も、あなたの力によるものでは?」

「そ、そんな大げさな……」

 マルセリーヌさんが慌てて首を振る。

「でも、確かに私が来てから作物の出来がよくなったと、皆さんに言っていただいています」

「マルセリーヌさんはいつからこの村に?」

 エリシア女皇が尋ねる。

「三年前です。故郷の村が魔物に襲われて……両親を亡くして、一人でここに逃げてきました」

 マルセリーヌさんの表情が暗くなる。

「大変でしたね……」

 俺は胸が痛んだ。彼女にもつらい過去があったのか。

「でも、この村の皆さんが温かく迎えてくださって。今では第二の故郷だと思っています」

 マルセリーヌさんが笑顔を取り戻す。その健気さに、俺は改めて感動した。

「ところで」

 エドリアンが口を開く。

「この村には、他にも特別なスキルを持つ方がいるのでは?」

「え?」

 マルセリーヌさんが驚く。

「実は、そんな気がしていたんです。隼人さんが来てから、皆さんの調子がとてもよくて……」

「やはりそうですか」

 エドリアンが頷く。

「隼人の【ガチャ確操作】には、周囲の運気を向上させる副次効果があるようです。それによって、抑制されていたスキルが覚醒しつつあるのかもしれません」

「抑制されていた……?」

 マルセリーヌさんが首をかしげる。

「あ、いや、これは私の仮説ですが……」

 エドリアンが慌てて言い直す。あまり詳しく説明すると、古代遺跡のことがバレてしまう。

 その時、村の入り口の方から騒がしい声が聞こえてきた。

「なんでしょう?」

 マルセリーヌさんが心配そうな表情を見せる。

「見に行ってみましょう」

 俺たちは畑を離れて村の中心部に向かった。

 そこには、豪華な馬車と護衛の騎士たちがいた。王都からの使者のようだった。

「また討伐依頼でしょうか?」

 マルセリーヌさんが不安そうに呟く。

 しかし、馬車から降りてきたのは、意外な人物だった。

「あ……」

 俺は目を見開いた。

 フィーナが馬車から降りてきたのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

処理中です...