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もう数人の僕
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人はよく忘れる。過去の人間関係、大切だったもの、昔の短い趣味。どれを並べても過去の産物で今は形として残っていない記憶の話だ。
僕は仕事をしていないので散歩をする。それが仕事をしていない僕に対しての償いとなっているのかもしれない。いや、そんな言い訳は置いておこう。
あまり現代人は散歩をしないイメージだ。散歩と遊びを一緒くたにしてしまうくらいに。いくら近くでも歩きながらタピオカやクレープを買って服を見てショッピングしたらそれはもう遊びであり散歩ではない。
そんな古代人の僕は散歩で色々な事に気づく。あの2人組はカップルに見えてそうじゃないんだろな、とか、あの人は会話してるようで聞いてないんだろなとか、そんなちっぽけな気づきだ。そんな事を思いながら歩いてるが、それすら頭が回らないほどに息が上がり、すぐに体力が尽きてしまう。スポーツは中学の部活までしかして来なかったし、そもそも僕自身、体力が無いのである。
なので歩いて数分、近くの池でよく休憩をする。1人で座るのに丁度いいコンクリートの冷たいベンチに腰をかけ、眺める。
散歩にカバンなんてものは持っていかないのでポケットに大抵のもの入れてるのだが座る時は、横に置いておく。そうして小休憩が終わると立ち上がり、また歩き出す。体力のない男の散歩はこれを繰り返す。
休憩を終えてから数分、ある事に気づく、体が少し軽いのだ。これは別に、小休憩で体力が全回復したからでも、この短時間に大幅に成長した訳でもないことは、無職の僕でもすぐに分かった。理解してすぐに、手をポケットへと歩み寄り、確認する。思った通り、そこにはなにもなかった。ベンチで置いたまま歩き始めてしまったのだ。後で取ろうと思ったのに...
僕はよく忘れ物をする。皆も僕ほどではないだろうが忘れ物をするだろう。後で取ろうとして、取ったと勘違いして置いていく。そこには取ろうとした過去の自分と一緒に置かれている。
概念性クローン人間の僕は今もそこに座っているのだろう。
僕は仕事をしていないので散歩をする。それが仕事をしていない僕に対しての償いとなっているのかもしれない。いや、そんな言い訳は置いておこう。
あまり現代人は散歩をしないイメージだ。散歩と遊びを一緒くたにしてしまうくらいに。いくら近くでも歩きながらタピオカやクレープを買って服を見てショッピングしたらそれはもう遊びであり散歩ではない。
そんな古代人の僕は散歩で色々な事に気づく。あの2人組はカップルに見えてそうじゃないんだろな、とか、あの人は会話してるようで聞いてないんだろなとか、そんなちっぽけな気づきだ。そんな事を思いながら歩いてるが、それすら頭が回らないほどに息が上がり、すぐに体力が尽きてしまう。スポーツは中学の部活までしかして来なかったし、そもそも僕自身、体力が無いのである。
なので歩いて数分、近くの池でよく休憩をする。1人で座るのに丁度いいコンクリートの冷たいベンチに腰をかけ、眺める。
散歩にカバンなんてものは持っていかないのでポケットに大抵のもの入れてるのだが座る時は、横に置いておく。そうして小休憩が終わると立ち上がり、また歩き出す。体力のない男の散歩はこれを繰り返す。
休憩を終えてから数分、ある事に気づく、体が少し軽いのだ。これは別に、小休憩で体力が全回復したからでも、この短時間に大幅に成長した訳でもないことは、無職の僕でもすぐに分かった。理解してすぐに、手をポケットへと歩み寄り、確認する。思った通り、そこにはなにもなかった。ベンチで置いたまま歩き始めてしまったのだ。後で取ろうと思ったのに...
僕はよく忘れ物をする。皆も僕ほどではないだろうが忘れ物をするだろう。後で取ろうとして、取ったと勘違いして置いていく。そこには取ろうとした過去の自分と一緒に置かれている。
概念性クローン人間の僕は今もそこに座っているのだろう。
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