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1. 祖母
しおりを挟む「花が咲けば良いのよ」
そう言い祖母はひまわりの種を無造作にばら撒いた。
今年は綺麗に咲くかしらと言い合いながら畑の一角に作ったひまわり畑用のスペースを満足そうに祖母と眺めた。
少しするとひまわり畑から芽が出て、ついには私の身長まで大きく背を伸ばしていた。
「あと少しで黄色い花が見えるわね」
そう言った祖母の身体も黄色くなっていた。
その年大きな台風が通った所為で私の身長より高く天を目指していたひまわりは、大部分が折れてしまいあの黄色い花を見せることはなかった。
もうその頃には祖母の身体も動かなくなっていた。
癌だった。
畑仕事を毎日していたあの手の先から日差しの眩しさに細めた目の白目まで黄色くなった祖母の姿を、私はただただ何も出来ずに見つめているだけだった。
ねえ、あの時私に話した韓国ドラマのタイトルが思い出せないの。昔話した国の話、どこの国を旅したんだっけ。今度は絶対に忘れないから、夢の中で私に耳打ちしてくれないかしら。
毎日制服を着ていた頃、畑に目をやると必ずいる祖母の姿を、真摯に毎日野菜の世話をしていたあの姿を、声をかけるとくしゃりと笑ったあの顔を私は忘れない。
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