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第十八話 仕事《クエスト》
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オレたちは何とかエルフの国ミルフレインを脱出し、隣国ロートラム王国、国境近くの町メルーザにたどり着いた。
「とりあえず、俺はこの町のギルドで預けた金を持ってくるから、お前らはここで待ってろ」
そういうと、ザインは歩いていった。
「冒険者ギルドってここにもあるのか?」
「うん、だいたいの国にあるよ。
どこでも仕事《クエスト》を受けたり、お金を預けたり下ろしたりもできるんだ」
「そうなのか、かなりでかい組織だな」
フェルスが驚いていう。
「それぐらい国が手が回らないことが多いんだ。
特にモンスターがいるからね。
兵士は国の防衛や犯罪者の対応で手一杯、住人の要望なんていちいち聞いていられないからさ」
「それで需要があるんだな。
オレの国にはなかったが......
だが、お陰で食事に困ることはなさそうだな」
リビィとオレの話を聞いて安心したようにフェルスはそういう。
「話は変わるけどフェルス、本当にルイエとジルエストさんは大丈夫なのか......」
「大丈夫、殺されたりはしないさ。
あの方たちに味方は多いからな。
ただ、女王が亡くなられたら状況は変わる。
邪魔なルイエ様を亡きものにしようとするかもな」
フェリスは腕を組み眉をひそめいった。
「それなら平気だろう。
女王に薬は渡したからな......
そうだ! 親父に連絡しないと......
落として拾われたとき政治問題になるから寮にスマホ置いてきたんだった」
「......でも、ルイエが学園にいたことは知られているからね。
ボクたちがエルフの国に入ってたことバレるとまずいよ」
「いやその心配はないな。
エルフは他国との関係が希薄だ。
仮に外交ルートで話をしても、表向き動くといって適当にあしらわれるだけだ。
わざわざ調べて国が動いたりはしないだろう」
フェルスはそういう。
「それよりユーヤは何者だ。
その魔法の習得の早さふつうじゃない」
「ユーヤは異世界人だよ。
そしてボクとザインの友達さ!」
リビィは胸を張って答えた。
「異世界人!?
確か古代遺跡にゲートが見つかったってのは聞いたが......
そうか! 薬はお前たちの世界のものか!」
「ああ、オレの世界の医療でつくられたものだ」
「なるほど! それで合点がいった!
ルイエさまが外に留学にいったのも、女王に渡す薬を得るためだったのか!」
「そうだよ」
オレが言うとフェルスは安心したように頷いている。
少ししてザインが戻ってくる。
「宿代と食事代、それと国にかえる馬車代だ」
「すまんな......」
「謝るのはもうなしだフェルス」
ザインが謝るフェルスにいった。
「そうはいってもな......
ここまでしてもらって」
「ザインは照れ臭いのさ。
やめてやれよフェルス」
「そうそう」
オレとリビィがにやつく。
「うるせえな!!」
さっさとメシ食いにいくぞ、そういってザインがプリプリ怒りながら歩いていくのをオレたちは追った。
オレたちは夕食をとると宿に向かう。
そして次の日、昼には寮についた。
「やっとついたぜ! 懐かしさすら感じるな!」
「うん! いろいろあったからね!」
ザインとリビィかそういいながら背伸びをする。
「スマホとってくるからフェルスは待っててくれ」
「ああ」
オレは寮に戻ってスマホをみてみた。
親父からメールが届いていた。
『連絡がないんですが、まさかとは思うけれど、まずいことはしてないよね』
ガッツリしてるよ。
『まあ、お前のことを完全に信じてるけど、大丈夫だよね?
お父さんの立場わかってるよね? ね? ね? ね? ね?』
めちゃくちゃ疑ってるじゃねーか!
まあ当たってるけど......
『終わらない反抗期だと思うことにします。
だって、まだ甘いしる吸いたいんですもの』
......わざとばらしてクビにさせたいな。
オレは、なんでもない。
スマホの価値がないから机にいれっぱなしでつい忘れてただけだ。
とメールして送る。
その後みんなと冒険者ギルドに仕事《クエスト》を受けに向かう。
「とりあえず、フェルスの冒険者登録と軽い仕事を探そうぜ」
「そうだね。
やっぱり薬草とりかな」
「またバジリスクがでないだろうな」
「なっ!? バジリスクだと!!
そんなのと戦ったのか!」
フェルスは驚いていった。
「ああ、そしてこのユーヤ君が見事倒したのでした」
「やめろ! ザイン! みんなでだろ!」
「なんなんだお前たちは......」
フェリスはあきれてような驚いたような複雑な顔をしている。
「まあ、あんなの何回も出くわしたりしないよ」
リビィはあくびをしながらいった。
ギルドにつくと冒険者たちがこちらを見ている。
「まさか、ボクたちのことエルフの国から捕まえろとか依頼《クエスト》がきたんじゃ......」
「そんなわけないだろ。
これは......」
みんなの視線はフェルスに注がれている。
特に女性たちはずっと目で追っている。
「ということだ」
オレがいうと、だな、とザインがうなづく。
受付にいってフェルスの登録をすませると、掲示板に向かい依頼書を物色する。
「あー、薬草とりはないな......」
「モンスター討伐ばっかりだね」
「オレは金がほしいからモンスターでもかまわないぞ」
「オレたちがいやなんだよ」
オレがそういう。
「なあ、あんたら」
そんなオレたちに中年の背は低いががっしりした冒険者が話かけてきた。
「とりあえず、俺はこの町のギルドで預けた金を持ってくるから、お前らはここで待ってろ」
そういうと、ザインは歩いていった。
「冒険者ギルドってここにもあるのか?」
「うん、だいたいの国にあるよ。
どこでも仕事《クエスト》を受けたり、お金を預けたり下ろしたりもできるんだ」
「そうなのか、かなりでかい組織だな」
フェルスが驚いていう。
「それぐらい国が手が回らないことが多いんだ。
特にモンスターがいるからね。
兵士は国の防衛や犯罪者の対応で手一杯、住人の要望なんていちいち聞いていられないからさ」
「それで需要があるんだな。
オレの国にはなかったが......
だが、お陰で食事に困ることはなさそうだな」
リビィとオレの話を聞いて安心したようにフェルスはそういう。
「話は変わるけどフェルス、本当にルイエとジルエストさんは大丈夫なのか......」
「大丈夫、殺されたりはしないさ。
あの方たちに味方は多いからな。
ただ、女王が亡くなられたら状況は変わる。
邪魔なルイエ様を亡きものにしようとするかもな」
フェリスは腕を組み眉をひそめいった。
「それなら平気だろう。
女王に薬は渡したからな......
そうだ! 親父に連絡しないと......
落として拾われたとき政治問題になるから寮にスマホ置いてきたんだった」
「......でも、ルイエが学園にいたことは知られているからね。
ボクたちがエルフの国に入ってたことバレるとまずいよ」
「いやその心配はないな。
エルフは他国との関係が希薄だ。
仮に外交ルートで話をしても、表向き動くといって適当にあしらわれるだけだ。
わざわざ調べて国が動いたりはしないだろう」
フェルスはそういう。
「それよりユーヤは何者だ。
その魔法の習得の早さふつうじゃない」
「ユーヤは異世界人だよ。
そしてボクとザインの友達さ!」
リビィは胸を張って答えた。
「異世界人!?
確か古代遺跡にゲートが見つかったってのは聞いたが......
そうか! 薬はお前たちの世界のものか!」
「ああ、オレの世界の医療でつくられたものだ」
「なるほど! それで合点がいった!
ルイエさまが外に留学にいったのも、女王に渡す薬を得るためだったのか!」
「そうだよ」
オレが言うとフェルスは安心したように頷いている。
少ししてザインが戻ってくる。
「宿代と食事代、それと国にかえる馬車代だ」
「すまんな......」
「謝るのはもうなしだフェルス」
ザインが謝るフェルスにいった。
「そうはいってもな......
ここまでしてもらって」
「ザインは照れ臭いのさ。
やめてやれよフェルス」
「そうそう」
オレとリビィがにやつく。
「うるせえな!!」
さっさとメシ食いにいくぞ、そういってザインがプリプリ怒りながら歩いていくのをオレたちは追った。
オレたちは夕食をとると宿に向かう。
そして次の日、昼には寮についた。
「やっとついたぜ! 懐かしさすら感じるな!」
「うん! いろいろあったからね!」
ザインとリビィかそういいながら背伸びをする。
「スマホとってくるからフェルスは待っててくれ」
「ああ」
オレは寮に戻ってスマホをみてみた。
親父からメールが届いていた。
『連絡がないんですが、まさかとは思うけれど、まずいことはしてないよね』
ガッツリしてるよ。
『まあ、お前のことを完全に信じてるけど、大丈夫だよね?
お父さんの立場わかってるよね? ね? ね? ね? ね?』
めちゃくちゃ疑ってるじゃねーか!
まあ当たってるけど......
『終わらない反抗期だと思うことにします。
だって、まだ甘いしる吸いたいんですもの』
......わざとばらしてクビにさせたいな。
オレは、なんでもない。
スマホの価値がないから机にいれっぱなしでつい忘れてただけだ。
とメールして送る。
その後みんなと冒険者ギルドに仕事《クエスト》を受けに向かう。
「とりあえず、フェルスの冒険者登録と軽い仕事を探そうぜ」
「そうだね。
やっぱり薬草とりかな」
「またバジリスクがでないだろうな」
「なっ!? バジリスクだと!!
そんなのと戦ったのか!」
フェルスは驚いていった。
「ああ、そしてこのユーヤ君が見事倒したのでした」
「やめろ! ザイン! みんなでだろ!」
「なんなんだお前たちは......」
フェリスはあきれてような驚いたような複雑な顔をしている。
「まあ、あんなの何回も出くわしたりしないよ」
リビィはあくびをしながらいった。
ギルドにつくと冒険者たちがこちらを見ている。
「まさか、ボクたちのことエルフの国から捕まえろとか依頼《クエスト》がきたんじゃ......」
「そんなわけないだろ。
これは......」
みんなの視線はフェルスに注がれている。
特に女性たちはずっと目で追っている。
「ということだ」
オレがいうと、だな、とザインがうなづく。
受付にいってフェルスの登録をすませると、掲示板に向かい依頼書を物色する。
「あー、薬草とりはないな......」
「モンスター討伐ばっかりだね」
「オレは金がほしいからモンスターでもかまわないぞ」
「オレたちがいやなんだよ」
オレがそういう。
「なあ、あんたら」
そんなオレたちに中年の背は低いががっしりした冒険者が話かけてきた。
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