異世界留学生

曇天

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第三十四話 リビィの故郷

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「あっ、あそこだよ!
 ボクの村!」

「あれか、なんか丸い家が建ってるな」

 リビィとザインが声をあげる。
 目の前の丘に村が見えてくる。
 そこでは半円のような丸い石のような家が点在している。
 オレたちの馬車が止まると、わーとホビットたちが歓声をあげて近づいてきた。

「リビィが帰ってきたー!」

「人間《ヒューマン》とリザードマンかいるー!!)

「よく帰ってきたね! リビィ!」

「お帰りリビィ!」

「みんなただいま!
 こっちはユーヤとザインボクの友達だよ!」

 そういってリビィはみんなに答える。

「ねえ! リザードマンって皮膚硬いの?  
 そんか硬くないね」

「人間《ヒューマン》ってなんでそんな大きいの?」

 そんな風に次々と質問されオレとザインはたじたじになった。

(確かに人懐っこいな......
 子供も大人も質問してくる)

「みんな待って。
 ボクたち一回家に帰るから
 またね」

 リビィはそういって他のホビットたちから解放してくれた。

「ふぅ、すごいな」
 
「はあ、人懐っこさの塊だな」
 
 オレとザインが歩きながら一息つく。

「はは、みんな好奇心が強くてごめんね。
 ほら見えてきた。
 あそこがボクの家さ」

 そう指差した場所に二つの半円の家がある。
 近づいていくと、庭で幼いホビットたちがいて、こちらに気づいた。

「にーちゃんだ! みんなにーちゃんが帰ってきたぞー!」

 一人がそういうと、家のなかからホビットたちがでてきた。

「ただいま! みんな元気だった」

 わーという、声と共にホビットたちは駆けてくる。

(みんなリビィにそっくりだ!)

「にーちゃんの友達ー、こっちこっち!」 
 
 そういって腕を引かれオレたちは家に招かれた。
  
「リビィお帰りなさい!!」

 家に入るとそう恰幅のよい女性がリビィを抱き締めた。

「うわっぷ! お母さん苦しいよ!」

「ああ、ごめんなさい。
 あら、あなたたちがユーヤくんにザインくん?」

「オレたちのこと知っているんですか?」

「ええ、この子が手紙で伝えてくれたから、いつもリビィがお世話になってありがとう」

 リビィのお母さんはそう頭を下げた。

(そうだった。
 リビィは父親が死んでたんたったな......)

「い、いえオレたちこそ、何度リビィに救われたかわかりません」

「そうだぜ。
 こいつがいなかったら、俺たちここにはいないんだから」

 オレとザインがいうと、リビィのお母さんは驚いた顔でリビィをみる。

「......この子が本当に」

「すごいや、にーちゃん!」

「うん、すごい、すごいね!」

「やっぱりリビィにいちゃんはすごいんだ!」

 わいわいとリビィの姉弟たちがさわぐ。

「ま、まあね」

 リビィは照れながら胸を張った。
 オレたちはリビィの家で夕食を食べさせてもらった。
 リビィが帰ってきたからか、果物や肉野菜、煮物やスープ等たくさんの食事がテーブルに並ぶ。

「うまい!」

「うむ、うまいな!」

「ね、お母さんの作る料理は世界で一番なんだ!」

 リビィは嬉しそうにそういった。

「おかわりもあるからたくさん食べてね」

 リビィの六人の姉弟たちとにぎやかな夕食をすませる。

(こんなにぎやかな夕食は初めてだな。
 親父はいつも仕事だったし......)

「ねえにーちゃん明日何するの?」

「私とあそんでよー!」

「いやボクと!」 

「ちよっとポムポム亭に二人をつれていくんだ。
 そのあと遊んであげるよ」

「リビィ......
 ポムポム亭はいま休業中なのよ」

 リビィのお母さんが困り顔でそういう。

「なんで!? 
 休みなんてしたことないじゃない!」

「実は......
 山の畑にサンダークラウドイーグルがいて作物が収穫できないのよ」
 
「わたしたちも食べたいんだけど、ずっと食べられてないの......」

 リビィの妹のリリーがかなしそうな顔でいった。
 他の姉弟も同じ顔をしている。

「最初は他の町から手に入れてたけど、値段が上がるからっていなくなるまで休業なんだって」

 弟のモリーも残念そうにそういった。

「じゃあ、ボクが追い払うよ!」

「だめよリビィ! 危険よ!」  

「ギルドの冒険者に頼んでもだめだったんだって......」

 リリーは悲しそうにぬいぐるみを抱いた。

「大丈夫!
 だめだったら、やめるから、ね!」 

 リビィがこちらを見ていう。

「そうだな。
 確認だけなら安全にできるな」

「だな。
 無理はしないが、オレたちも冒険者だからな」

 オレとザインはうなづいた。
 リビィのお母さんは不安そうだったがリビィの説得で許可してくれた。

 その後部屋に入る。

「でリビィ、サンダークラウドイーグルってどんなモンスターなんだ?」

「うん、その名前の通り雷雲を操る鷲だよ」

「雷の鳥か厄介だな。
 ユーヤの魔法を纏わせたお前の矢で射ぬくしかないか」 

「だめなんだよ。
 サンダークラウドイーグルは数が少なくて法で守られてるんだ。
 何とかケガさせないで追い払わないと...... 
 でも本来もっともっと高い山に住んでるのに、こんな近くにくるなんて」

「まあ、対策をとらないと雷に当たると即死もありうるぞ」

「そうだな。
 こんなことなら、雷耐性の護符《アミュレット》でも買っとくんだったな」

 ザインがそういった。

「リビィ、何か弱点とかないのか?」

「えっと、確か強い匂いが苦手だったから、匂いの強いコモンの実なら追い払えると思うよ」
  
「ザインの《見えざるもの》で隠れて近づいて、そのコモンの実を畑においておけばいいな」

「だな」

「うん、明日さっそくやってみよう」
 

 オレたちは作戦を寝ると、リビィの姉弟たちと川の時になって寝た。

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