36 / 52
第三十六話 捕縛
しおりを挟む
「ちょっとみんな!」
リビィが慌てたように呼んだ。
「なんだリビィ?」
「これみて!」
畑の中になにかモゾモゾしている。
「あっ! ヒナか!」
そこには小さなサンダークラウドイーグルのヒナが巣の上でピイピイ鳴いている。
「どうやらヒナを守っていたようだな」
「でもなんでこんな所に?」
「さあ、でもこいつを山に持ってきゃ親も帰るんじゃね......
誰だ!?」
ザインは後ろを振り返った。
後ろには誰もいない。
「まさか誰かいるのか...... ザイン」
「ああ......
オレと同じようような魔法か......
しかも十人はいやがる......」
「見えないんじゃどうしようもないよ......」
リビィが不安そうな声をだす。
「静かに......
こっちも見えないはず、ゆっくりと離れ......」
「その隠された姿を白日のものとせよ。
破れた衣《ブレイクフォーム》」
どこともなく聞こえたその声で、オレたちの姿は丸見えとなった。
「しまった! これは解呪の魔法!?
リビィ! いま魔障術《オブスタクル》を......」
「深き深き、御身を夢の中へと誘え。
白昼夢《デイドリーム》」
「これは......ねむ、りの......魔......法」
オレは意識を失った。
目が覚めると両手足を縛られている。
周りを見るとザインとリビィが縛られ、剣や杖を持つ男たちが十名ほどサンダークラウドイーグルを縛ろうとしていた。
「ほう目覚めたか......
かなり魔法に耐性があるな。
他の二人はまだ眠っているのに」
杖を持った人間《ヒューマン》の男がそういった。
「おまえたちは何者だ......」
「君たちと同じだよ」
「冒険者......
なんでこんなことをする。
そのサンダークラウドイーグルをどうするつもりだ......」
「仕事《クエスト)だよ。
このサンダークラウドイーグルを確保するのが依頼だ」
「違うだろ。
法で守られているんだ。
密漁だろ......」
そうオレがいうと男はニヤリと笑う。
「ホビットどもの法など知らんな。
こいつの皮は雷を防ぐから高値で売れるのさ。
それに一本だけある特殊な羽は高額で売れる。
逃げられたのを捕まえてくれてありがとうよ」
「そうか、お前たちが山から追い立てたのか......
で、オレたちはどうするつもりだ」
「我々は人種を売り買いする場所も知っていてね。
ホビット、リザードマン、それに人間《ヒューマン》か、若いからまあまあの値で売れそうだ」
そういうと笑いだした。
(まずい......手が縛られてて紋様《サイン》も使えない。
オレは呪文《スペル》は使えない。
ナイフも取り上げられたしな......)
男たちがオレのナイフを振っている。
(あとは、この杖ソートスタッフだけだが......)
とっさにズボンの中に隠したから見つからず持っていた。
(確か意識を操る杖......
前に男たちがやってたようにやるしかない......)
オレは見られないよう縛られている両手で杖を引き抜くと、目を閉じ魔力《マナ》を集中し杖に込めた。
すると肉体から意識だけ抜け出したような、いままで感じたことのない感覚があった。
(これは、魔力《マナ》にオレ自身が入ったみたいな感じだ......
あっちに何体かの魔力《マナ》を感じる。
これはザインとリビィか......
それにこの複数のは密猟者か......
この大きいのはサンダークラウドイーグル......)
オレはサンダークラウドイーグルに意識を近づける。
するとサンダークラウドイーグルの魔力《マナ》にするりと入り込んだ。
(これは!?)
目を開けるとそこにはロープを引っ張っている男たちの姿が見えた。
(これサンダークラウドイーグルの視点か!
させるか!)
オレが動くと男たちは驚いている。
すると勝手に体から放電した。
(何か心配する気持ち、そして怒り......)
「な、なんだ勝手に動きだしただと!?
麻痺させていたのになぜだ!」
オレに話していた男が驚いていった。
男たちは立ち上がろうとしている。
(雷耐性のアイテムを持っているのか。
よし! なら!)
オレはそこに放電した。
「がはっ!!」
男たちは皆その場に気絶した。
オレが集中をとくと、自分の体に戻っていた。
「ふう、なんとかなったか......」
遠くを見るとザインとリビィも痙攣していた。
(しまっ......)
そう思ったオレも意識を失った。
リビィが慌てたように呼んだ。
「なんだリビィ?」
「これみて!」
畑の中になにかモゾモゾしている。
「あっ! ヒナか!」
そこには小さなサンダークラウドイーグルのヒナが巣の上でピイピイ鳴いている。
「どうやらヒナを守っていたようだな」
「でもなんでこんな所に?」
「さあ、でもこいつを山に持ってきゃ親も帰るんじゃね......
誰だ!?」
ザインは後ろを振り返った。
後ろには誰もいない。
「まさか誰かいるのか...... ザイン」
「ああ......
オレと同じようような魔法か......
しかも十人はいやがる......」
「見えないんじゃどうしようもないよ......」
リビィが不安そうな声をだす。
「静かに......
こっちも見えないはず、ゆっくりと離れ......」
「その隠された姿を白日のものとせよ。
破れた衣《ブレイクフォーム》」
どこともなく聞こえたその声で、オレたちの姿は丸見えとなった。
「しまった! これは解呪の魔法!?
リビィ! いま魔障術《オブスタクル》を......」
「深き深き、御身を夢の中へと誘え。
白昼夢《デイドリーム》」
「これは......ねむ、りの......魔......法」
オレは意識を失った。
目が覚めると両手足を縛られている。
周りを見るとザインとリビィが縛られ、剣や杖を持つ男たちが十名ほどサンダークラウドイーグルを縛ろうとしていた。
「ほう目覚めたか......
かなり魔法に耐性があるな。
他の二人はまだ眠っているのに」
杖を持った人間《ヒューマン》の男がそういった。
「おまえたちは何者だ......」
「君たちと同じだよ」
「冒険者......
なんでこんなことをする。
そのサンダークラウドイーグルをどうするつもりだ......」
「仕事《クエスト)だよ。
このサンダークラウドイーグルを確保するのが依頼だ」
「違うだろ。
法で守られているんだ。
密漁だろ......」
そうオレがいうと男はニヤリと笑う。
「ホビットどもの法など知らんな。
こいつの皮は雷を防ぐから高値で売れるのさ。
それに一本だけある特殊な羽は高額で売れる。
逃げられたのを捕まえてくれてありがとうよ」
「そうか、お前たちが山から追い立てたのか......
で、オレたちはどうするつもりだ」
「我々は人種を売り買いする場所も知っていてね。
ホビット、リザードマン、それに人間《ヒューマン》か、若いからまあまあの値で売れそうだ」
そういうと笑いだした。
(まずい......手が縛られてて紋様《サイン》も使えない。
オレは呪文《スペル》は使えない。
ナイフも取り上げられたしな......)
男たちがオレのナイフを振っている。
(あとは、この杖ソートスタッフだけだが......)
とっさにズボンの中に隠したから見つからず持っていた。
(確か意識を操る杖......
前に男たちがやってたようにやるしかない......)
オレは見られないよう縛られている両手で杖を引き抜くと、目を閉じ魔力《マナ》を集中し杖に込めた。
すると肉体から意識だけ抜け出したような、いままで感じたことのない感覚があった。
(これは、魔力《マナ》にオレ自身が入ったみたいな感じだ......
あっちに何体かの魔力《マナ》を感じる。
これはザインとリビィか......
それにこの複数のは密猟者か......
この大きいのはサンダークラウドイーグル......)
オレはサンダークラウドイーグルに意識を近づける。
するとサンダークラウドイーグルの魔力《マナ》にするりと入り込んだ。
(これは!?)
目を開けるとそこにはロープを引っ張っている男たちの姿が見えた。
(これサンダークラウドイーグルの視点か!
させるか!)
オレが動くと男たちは驚いている。
すると勝手に体から放電した。
(何か心配する気持ち、そして怒り......)
「な、なんだ勝手に動きだしただと!?
麻痺させていたのになぜだ!」
オレに話していた男が驚いていった。
男たちは立ち上がろうとしている。
(雷耐性のアイテムを持っているのか。
よし! なら!)
オレはそこに放電した。
「がはっ!!」
男たちは皆その場に気絶した。
オレが集中をとくと、自分の体に戻っていた。
「ふう、なんとかなったか......」
遠くを見るとザインとリビィも痙攣していた。
(しまっ......)
そう思ったオレも意識を失った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』
公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル!
書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。
旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください!
===あらすじ===
異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。
しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。
だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに!
神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、
双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。
トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる!
※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい
※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております
※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる