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第三十九話 フェルス
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郊外にある一軒の家に馬車は止まる。
「フェルス様、皆様、わざわざこの国のために危険を省みず来て頂いてありがとうございます」
そういってルイーブさんは深々と頭を下げる。
「構いません。
ルイーブさん、それで今この国はどうなってるんですか?」
オレがそういうと、頭を上げ話だした。
「......ええ、そうですね。
今から二週間前までは女王の容態は、かなりよくなっていると城内の者から聞いておりました。
しかしそのあとは、箝口令がしかれたのか何も伝わってきません。
それどころか、城から人が外に出てこないのです。
私も城に参りましたが、門前払いされてしまいました」
「やはり、女王の体の回復でラハラールが焦りだしたのか......
だが、反ラハラール派の王族、貴族たちがいるだろう」
フェルスは不可解そうに聞いた。
「それが......
ここ二日あまり、不正を理由に次々と投獄されているのです......」
「なっ!」
「あまりに電撃的でなすすべなく皆とらえられています。
証拠もなく強引なやり方なので各地で不満が高まっています。
いつ反乱が起きるかわかりません」
「もうなりふり構ってられないか......」
オレは呟いた。
「ならユーヤ! ルイエが危ない早くいかないと!」
「リビィのいうとおりだ!
さっさと助けねえとヤバイぜ!」
「ええ、ですが、三十名の近衛騎士団の警備の中ルイエ様とジルエスト様を連れ出すのは容易ではありません......」
ルイーブさんは苦悶の顔をしている。
「三十名の近衛騎士か......
真正面じゃかなわんな」
フェルスは考え込んでいる。
「ボクたちが、姿を消して助け出せばいいじゃない」
「無理だなリビィ。
魔障術《オブスタクル》の使い手も一人じゃないだろう。
もしかしたらあの封印宝石《シールストーン》を置いてるかもな」
ザインが答えた。
「封印宝石《シールストーン》国宝を!?」
フェルスが驚いていった。
「ああ、前の時それで魔法を破られ捕まったからな」
オレがフェルスに言う。
「ラハラールめ。
国宝まで勝手に使うとは!」
ルイーブさんは拳を握りしめている。
「......ひとつだけ方法はある」
オレはみんなに伝えた。
次の日オレは一人ルイーブさんの馬車に乗っていた。
「本当に大丈夫なのですか......
私には自殺行為に思えるんですが......」
ルイーブさんは馬を操りながら中にいるオレに話す。
「ええ、リスクはあるがこれしかない......
信じられないでしょうが......」
「いえすみません。
フェルスさまが信じたのなら私も信じます」
「ルイーブさんフェルスになぜ、さま付けで呼んでるんですか、フェルスは牢の兵士では」
少し沈黙があった。
「......そうですね。
あなたならば話してもよいでしょうね。
あの方の父上は元近衛騎士団の団長クルファス。
そして私はその部下でした」
「父親が近衛騎士団の団長......」
「......ですが、十五間年前、ある事件で処罰され死罪となったのです」
「事件......」
「王を暗殺した容疑です......」
「!?」
「もちろんそんなものは根も葉もない嘘です。
団長は王を慕われていましたから......」
「誰かにはめられた......」
「......ええ、あなたも御存知のラハラールです。
団長はラハラールが不正を働いてることを探っていた。
ですが、ラハラールの策謀で逆に陥れられ死罪となった」
「でも、フェルスは兵士に」
「ええ、出自を知るものは私以外いません。
それ故ラハラールも知らないでしょう。
団長が捕まったとき手を回される前に、私がフェルスさま......
いえフェアルさまと赤子であった妹のイシュアさまを離したのです」
「狙われるからですか」
「ええ、ラハラールは小心者で慎重な男、息子であるフェアルさまを探すはずだと考え隠しました。
実際に執拗に探していたようです」
「それで二人が別れることに」
「ええ、二人一緒だと、見つかる確率が上がりますから......
お二人には申し訳ないことをしました」
そういってルイーブさんは肩を落とした。
「いえ、あなたの機転がなければ二人とも殺されていたと思いますよ。
あなたは二人を守った」
オレがそういうとルイーブさんは黙ってうなづいた。
しばらく走り森の前に馬車が止まる。
「本当にいかれるのですか......」
「ええ、ここで待っていてください......」
オレはそういって暗い森の中に入った。
(失敗すれば死ぬな......)
茂みをかきわけながらゆっくりと進む。
(いた!!)
そこには大きな赤い複数の目が暗闇にひかった。
「フェルス様、皆様、わざわざこの国のために危険を省みず来て頂いてありがとうございます」
そういってルイーブさんは深々と頭を下げる。
「構いません。
ルイーブさん、それで今この国はどうなってるんですか?」
オレがそういうと、頭を上げ話だした。
「......ええ、そうですね。
今から二週間前までは女王の容態は、かなりよくなっていると城内の者から聞いておりました。
しかしそのあとは、箝口令がしかれたのか何も伝わってきません。
それどころか、城から人が外に出てこないのです。
私も城に参りましたが、門前払いされてしまいました」
「やはり、女王の体の回復でラハラールが焦りだしたのか......
だが、反ラハラール派の王族、貴族たちがいるだろう」
フェルスは不可解そうに聞いた。
「それが......
ここ二日あまり、不正を理由に次々と投獄されているのです......」
「なっ!」
「あまりに電撃的でなすすべなく皆とらえられています。
証拠もなく強引なやり方なので各地で不満が高まっています。
いつ反乱が起きるかわかりません」
「もうなりふり構ってられないか......」
オレは呟いた。
「ならユーヤ! ルイエが危ない早くいかないと!」
「リビィのいうとおりだ!
さっさと助けねえとヤバイぜ!」
「ええ、ですが、三十名の近衛騎士団の警備の中ルイエ様とジルエスト様を連れ出すのは容易ではありません......」
ルイーブさんは苦悶の顔をしている。
「三十名の近衛騎士か......
真正面じゃかなわんな」
フェルスは考え込んでいる。
「ボクたちが、姿を消して助け出せばいいじゃない」
「無理だなリビィ。
魔障術《オブスタクル》の使い手も一人じゃないだろう。
もしかしたらあの封印宝石《シールストーン》を置いてるかもな」
ザインが答えた。
「封印宝石《シールストーン》国宝を!?」
フェルスが驚いていった。
「ああ、前の時それで魔法を破られ捕まったからな」
オレがフェルスに言う。
「ラハラールめ。
国宝まで勝手に使うとは!」
ルイーブさんは拳を握りしめている。
「......ひとつだけ方法はある」
オレはみんなに伝えた。
次の日オレは一人ルイーブさんの馬車に乗っていた。
「本当に大丈夫なのですか......
私には自殺行為に思えるんですが......」
ルイーブさんは馬を操りながら中にいるオレに話す。
「ええ、リスクはあるがこれしかない......
信じられないでしょうが......」
「いえすみません。
フェルスさまが信じたのなら私も信じます」
「ルイーブさんフェルスになぜ、さま付けで呼んでるんですか、フェルスは牢の兵士では」
少し沈黙があった。
「......そうですね。
あなたならば話してもよいでしょうね。
あの方の父上は元近衛騎士団の団長クルファス。
そして私はその部下でした」
「父親が近衛騎士団の団長......」
「......ですが、十五間年前、ある事件で処罰され死罪となったのです」
「事件......」
「王を暗殺した容疑です......」
「!?」
「もちろんそんなものは根も葉もない嘘です。
団長は王を慕われていましたから......」
「誰かにはめられた......」
「......ええ、あなたも御存知のラハラールです。
団長はラハラールが不正を働いてることを探っていた。
ですが、ラハラールの策謀で逆に陥れられ死罪となった」
「でも、フェルスは兵士に」
「ええ、出自を知るものは私以外いません。
それ故ラハラールも知らないでしょう。
団長が捕まったとき手を回される前に、私がフェルスさま......
いえフェアルさまと赤子であった妹のイシュアさまを離したのです」
「狙われるからですか」
「ええ、ラハラールは小心者で慎重な男、息子であるフェアルさまを探すはずだと考え隠しました。
実際に執拗に探していたようです」
「それで二人が別れることに」
「ええ、二人一緒だと、見つかる確率が上がりますから......
お二人には申し訳ないことをしました」
そういってルイーブさんは肩を落とした。
「いえ、あなたの機転がなければ二人とも殺されていたと思いますよ。
あなたは二人を守った」
オレがそういうとルイーブさんは黙ってうなづいた。
しばらく走り森の前に馬車が止まる。
「本当にいかれるのですか......」
「ええ、ここで待っていてください......」
オレはそういって暗い森の中に入った。
(失敗すれば死ぬな......)
茂みをかきわけながらゆっくりと進む。
(いた!!)
そこには大きな赤い複数の目が暗闇にひかった。
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