異世界留学生

曇天

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第四十四話 学園

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「悠哉くん。
 わざわざ会いにくるなんてスマホでよくないかい。
 で、僕になにか用でも」

 カフェでそう佐藤はいつものようにすました顔でいった。
 エルフの国から戻ったオレは佐藤に会いに来たのだ。

「佐藤さんですよね。
 ラハラールにオレのことを話したのは」

「いいや。
 誰だい? ラハラールって」

 そういって表情ひとつ変えずに答えた。

「国はエルフの国をラハラールに支配させるつもりだったんですか......」

「ずいぶん想像豊かだね。
 なぜそう思うか聞かせてもらえるかい」

「ラハラールが知っていたんですよ。
 エルフの国に異世界の者が潜入しているってこと。
 オレがここにいないのを知ってるのはあなたしかいないでしょう」

「僕とは限らないだろう。
 他の国の者もこの世界に入ってるだろうしね。
 それに、仮に僕だとしてそれでどうするのかな?」

「......ええ、別にあなたをどうこうするつもりはないですよ。
 ラハラールはいなくなりましたしね。
 ......エルフの国はもう大丈夫ですが、これ以上何かするつもりなら、オレも」 

「なんでもする...... かい? 
 国を敵に回すなんて、子供じゃないんだからそんな脅しが通用するとはおもってないだろう?」 

「さあ、国のことなんてオレは子供なんでわかりませんから......」

 オレがそういうと、とても冷たい目でこちらをみすえた。

「......まあ、話だけは聞いておくよ。
 このことはお父さんには黙っておくしね」

 そうにこやかな顔に変わると佐藤は席を立ち、手を振ってかえっていった。

(あの反応から少なくとも今は手を出すつもりはないみたいだな。
 だが、何でエルフの国を? 
 前にオークの時の奴らに伝えたのは別の人間なのか......
 それに支配がラハラールに変わったとして、あいつは信頼なんて出来ない......
 そんなことわかりそうな気がするが.....)

 オレはそんなことを考えながら寮の帰路に着いた。
 

 次の日、オレは走っていた。

(いろいろ考え過ぎて寝過ごした。
 リビィもザインも先にいってしまった。
 起こしてくれてもいいだろうに)

 急いで学園につくと教室がざわついてる。

(まさか!? またあいつら!!)

 オレが教室のドアを開けると、教室の後ろに生徒が集まってる。

「おお、きたかユーヤ」

「あんまり疲れてたみたいだから、起こさなかったんだ」

「ザイン、リビィなんだこれは...... 」
 
 ザインとリビィが指さす。
 生徒の中心から見知ったエルフの少女がみえた。

「......ユーヤ」  

「ルイエ!?」
 
 それはルイエだった。


 授業終わりの教室。

「ルイエ、何でここに?」

「国が他国との交渉を始めたからね。
 私も他の国のことをもっとよく知りたいと思ってきたの」

「王族がお付きもつれずなんてよく許されたね」

 リビィが聞くとルイエが苦笑いした。

「何とかね......
 キルフィナには反対されたけど、ユーヤたちがいるからってなんとか強引にでてきたのよ」

「まあ、いーんじゃねーの。
 女王は回復してんだろ。
 もう心配ごともないなら」

「ええザイン、あなたたちのおかげで国に蔓延する前に滅国病も治せそうだしね」

「そうか、それはよかった。
 ......でも国で何か起こってなかったか?」

「ユーマ何かってなんだよ?」

 ザインが怪訝な顔で聞いてくる。

「変わったこととか......
 何か小さなことでもいいんだ。
 少し気になってるんだが......」
 
「あれラハラールが異世界人と繋がってたこと?」

 リビィは首をかしげそういうので、オレはうなづいた。

「そうね...... 
 ひとつだけある......
 国宝の封印魔石《シールストーン》がなくなっているの」

「それってラハラールが勝手に使ってた魔法を封じる石か」

「ええ、ラハラールも持っていなかったし、どこにもないの」

(あの時ラハラールが持っていて奪われた......)

「それ以外は特に......」   
 
「そうか、オレの考えすぎかすまない。
 それで、ルイエは学園終わりなにするんだ?」
  
「私も寮にはいったから帰るだけよ。
 ユーヤたちは学園終わりいつも何をしているの?」

「まあ寮にかえるか、フェルスに剣をみてもらうか、ギルドにいくかだな」

 ザインはがそういう。

「ギルド!?
 冒険者ギルドね!
 私行きたい!」 

 ルイエは目を輝かせてそういった。
 
(イヤな予感がする......)

 オレがそう思ってるとリビィとザインは顔を見合わせニンマリした。

「ユーヤ! みんなで仕事《クエスト》にいこう!」


 こちらをみて同時にそういった。
 
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