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第三十五話「誰のものでもない世界と誰かの居場所」
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「イグラさんは?」
「何とか命は取り留めた。 重症だが......」
ガガンはそう辛そうにいう。
「まさか、おいらたちがここから離れたすきに狙われるとはね」
パエルクは町の惨状をみてため息をついた。
「宝玉を奪うタイミングを計っていたのだろう」
「多分リファータも同じね」
そうアルラウネのミフィリムがいった。 彼女はカルネアスから言われてオークに協力にきていた。
「ただ、ミフィリムどのたちアルラウネの回復魔法でかなりの命が助かった。 感謝する」
そう、ガガンが頭を下げる。
「かまわないわ。 私たちの同胞のゴタゴタで無駄な時間を取らせたから...... それよりどうするの、もう向こうは六つの宝玉を手に入れたようよ」
「あと残りはケットシー、バンパイアの二つ、人間の持つ三つだけか。 パエルク、ケットシーの宝玉は大丈夫か」
「うん、おいらたちは全員色々な国にすんでいて、宝玉も警護するものが代わり移動するから、見つかりっこないよ」
「それなら、バンパイアですか...... ですが彼らは」
リオネが険しい顔をする。
「どこにいるんだ?」
「【ベルカーシア】、大陸から離れた孤島だ。 ただ交流もなく、バンパイアは他の種族を見下しているから、はいることもできん。 どのような場所かもわからない」
ミフィリムがそういうと、ガガンもうなづく。
「なんとか接触はできないのかパエルク」
「うーん、そうだ! 確か、変わり者のバンパイアがデラスク王国の外れにすんでるよ。 バンパイアなのに確かモンスターに襲われた人を助けたこともあるってさ」
「人を助けるバンパイア...... そのバンパイアに会って宝玉か、バンパイアに会えないか聞くしかないか」
私たちは一縷《いちる》の望みをかけて、エジェルガというバンパイアにあうことにした。
「ここがそのバンパイア、【エジェルガ】がいるという森か」
そこは町から郊外にある森だった。 ガガンとミフィリムは傷ついたオークの看護に残り、クルスとリオネも応援を呼びにかえる。 私とティルレ、パエルクはエジェルガに会いに来た。
「うん、ただかなりの変わり者らしいよ。 バンパイアたちともあまり上手くいかず、ここに引きこもってるんだって」
「なによ。 そんなやつに話をしてどうするのよ」
ティルレが怪訝な顔をした。
「今はバンパイアたちに関わる可能性がある方法がこれしかない。 早くしないと宝玉が奪われる。 いやもう奪われている可能性さえ......」
「でもおいらたち、ケットシーの宝玉は簡単には見つからないよ。 平気じゃない?」
「なに簡単にいってるの! あんたたちの中にも裏切り者がいたらどうするのよ!」
「ない、ない。 おいらたちは別になんの目的もないからね。 だらだらと猫として暮らしてるのさ。 だいたいおいらだって、長の命令じゃなきゃこんなとこまでついてこないもん」
「まったく、怠惰な種族ね...... 世界が危険なのよ」
ティルレがあきれたようにいった。
「君たちがおかしいのさ。 この世界はだれのものでもないのに、ここから自分の土地だとか国だとか。 そんなもの自分が死んだら関係ないじゃないか。 理解できないね」
そういってパエルクは肩であくびをした。
「まあ、確かにパエルクのいうとおり、勝手に線引きして所有を決めているな。 人の傲慢といえばそうだ」
「......そりゃそうかもしれないけど、どこにも居場所がないのは寂しいじゃない」
ティルレにもなにか思うところはあるようで、声が小さくなる。
「ああ、だから国や考えや種族や血筋を守ろうとするのだろうな。 人はそういう依るべがないといきられない弱いものだ」
「面倒だね。 ご飯が食べられて寝られればどこでだって生きていけるのに」
「確かに自由だが、ルールをつくらないと、ご飯を食べるためにも、奪いあうことになる。 それではリスクがあるからみんなルールをつくった。 それが掟や法や国なんだよ」
「ふーん...... まあ、おいらたちも最低限、長の命令や仲間のテリトリーは荒らさない。 確かにみんながおいらたちみたいになったら、奪い合って困るかもしれないなぁ」
そう困った顔をしてパエルクは空をみた。
「ああ、どっちも問題はある。 だから調整や対話は必要だ」
そういったとき、小さな一軒家がみえてきた。
その一軒家に近づく。 とても静かな場所で、虫の声が聞こえる。 木には鳥の巣箱のようなものがみえた。
「すみません。 エジェルガさん、いますか?」
ドアをノックする。
「いないのかな。 ねぇ、話があるの」
ティルレがドンドン、ドアを叩いた。
「いるよ。 匂いがするもの」
「いるならでてきなさいよ! 居留守をつかっても無駄だからね!」
更に激しくティルレがドアを叩いた。
「こら......」
「は、はい......」
か細い声で中から声がすると、ゆっくりとドアがあいた。
そこには白い肌の少女がいる。 とても華奢で儚げな少女だ。 その目は怯えているようにもみえた。
「えっ? あなたがエジェルガさん」
「......は、はい、なんのご用...... で、ですか......」
ドアに体を隠して、私から目をそらしながら少女ーーエジェルガはそういった。
「何とか命は取り留めた。 重症だが......」
ガガンはそう辛そうにいう。
「まさか、おいらたちがここから離れたすきに狙われるとはね」
パエルクは町の惨状をみてため息をついた。
「宝玉を奪うタイミングを計っていたのだろう」
「多分リファータも同じね」
そうアルラウネのミフィリムがいった。 彼女はカルネアスから言われてオークに協力にきていた。
「ただ、ミフィリムどのたちアルラウネの回復魔法でかなりの命が助かった。 感謝する」
そう、ガガンが頭を下げる。
「かまわないわ。 私たちの同胞のゴタゴタで無駄な時間を取らせたから...... それよりどうするの、もう向こうは六つの宝玉を手に入れたようよ」
「あと残りはケットシー、バンパイアの二つ、人間の持つ三つだけか。 パエルク、ケットシーの宝玉は大丈夫か」
「うん、おいらたちは全員色々な国にすんでいて、宝玉も警護するものが代わり移動するから、見つかりっこないよ」
「それなら、バンパイアですか...... ですが彼らは」
リオネが険しい顔をする。
「どこにいるんだ?」
「【ベルカーシア】、大陸から離れた孤島だ。 ただ交流もなく、バンパイアは他の種族を見下しているから、はいることもできん。 どのような場所かもわからない」
ミフィリムがそういうと、ガガンもうなづく。
「なんとか接触はできないのかパエルク」
「うーん、そうだ! 確か、変わり者のバンパイアがデラスク王国の外れにすんでるよ。 バンパイアなのに確かモンスターに襲われた人を助けたこともあるってさ」
「人を助けるバンパイア...... そのバンパイアに会って宝玉か、バンパイアに会えないか聞くしかないか」
私たちは一縷《いちる》の望みをかけて、エジェルガというバンパイアにあうことにした。
「ここがそのバンパイア、【エジェルガ】がいるという森か」
そこは町から郊外にある森だった。 ガガンとミフィリムは傷ついたオークの看護に残り、クルスとリオネも応援を呼びにかえる。 私とティルレ、パエルクはエジェルガに会いに来た。
「うん、ただかなりの変わり者らしいよ。 バンパイアたちともあまり上手くいかず、ここに引きこもってるんだって」
「なによ。 そんなやつに話をしてどうするのよ」
ティルレが怪訝な顔をした。
「今はバンパイアたちに関わる可能性がある方法がこれしかない。 早くしないと宝玉が奪われる。 いやもう奪われている可能性さえ......」
「でもおいらたち、ケットシーの宝玉は簡単には見つからないよ。 平気じゃない?」
「なに簡単にいってるの! あんたたちの中にも裏切り者がいたらどうするのよ!」
「ない、ない。 おいらたちは別になんの目的もないからね。 だらだらと猫として暮らしてるのさ。 だいたいおいらだって、長の命令じゃなきゃこんなとこまでついてこないもん」
「まったく、怠惰な種族ね...... 世界が危険なのよ」
ティルレがあきれたようにいった。
「君たちがおかしいのさ。 この世界はだれのものでもないのに、ここから自分の土地だとか国だとか。 そんなもの自分が死んだら関係ないじゃないか。 理解できないね」
そういってパエルクは肩であくびをした。
「まあ、確かにパエルクのいうとおり、勝手に線引きして所有を決めているな。 人の傲慢といえばそうだ」
「......そりゃそうかもしれないけど、どこにも居場所がないのは寂しいじゃない」
ティルレにもなにか思うところはあるようで、声が小さくなる。
「ああ、だから国や考えや種族や血筋を守ろうとするのだろうな。 人はそういう依るべがないといきられない弱いものだ」
「面倒だね。 ご飯が食べられて寝られればどこでだって生きていけるのに」
「確かに自由だが、ルールをつくらないと、ご飯を食べるためにも、奪いあうことになる。 それではリスクがあるからみんなルールをつくった。 それが掟や法や国なんだよ」
「ふーん...... まあ、おいらたちも最低限、長の命令や仲間のテリトリーは荒らさない。 確かにみんながおいらたちみたいになったら、奪い合って困るかもしれないなぁ」
そう困った顔をしてパエルクは空をみた。
「ああ、どっちも問題はある。 だから調整や対話は必要だ」
そういったとき、小さな一軒家がみえてきた。
その一軒家に近づく。 とても静かな場所で、虫の声が聞こえる。 木には鳥の巣箱のようなものがみえた。
「すみません。 エジェルガさん、いますか?」
ドアをノックする。
「いないのかな。 ねぇ、話があるの」
ティルレがドンドン、ドアを叩いた。
「いるよ。 匂いがするもの」
「いるならでてきなさいよ! 居留守をつかっても無駄だからね!」
更に激しくティルレがドアを叩いた。
「こら......」
「は、はい......」
か細い声で中から声がすると、ゆっくりとドアがあいた。
そこには白い肌の少女がいる。 とても華奢で儚げな少女だ。 その目は怯えているようにもみえた。
「えっ? あなたがエジェルガさん」
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