おこもり魔王の子守り人

曇天

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第二十一話

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「ここが国が指定した遺跡か......」

 そこは巨大な石でできた遺跡だ。 竜のような生き物を模した口が入り口になっていた。 

「ここが遺跡か......」

「ああ、どうやら新しく見つかったらしいな」

「うん、地震で新しく露出したみたいなんだ」

 そうガルムとラクレイはそういった。

(確かに土に埋まってたのか石の色が上と下で違うな......)

 遺跡へと入る。 

「結構きれいだな」

 古い遺跡なのに、壁や床に破損した場所はなかった。

「魔法でコーティングされた壁や床が汚れをはじいているね」

 ラクレイがいうとガルムも続ける。

「そうだな。 それに盗掘などはされてないっぽいな」

「誰も入ってない遺跡は危険なんじゃないかな......」

 橘さんが周囲を確認しながら両手で杖を握っている。

「確かに、ただこの四人なら並みのモンスターなら戦えると思う」

「だな。 正直八魔将クラスじゃなきゃ戦える」 

 俺の言葉にガルムが同意する。

「そうだね。 ユウナちゃんの防御、回復魔法もあるし、ポーションもたくさん持ってきたから、よほどのモンスター以外なら安全だと思うよ」

 そうラクレイにいわれて、橘さんは少し安心しているようだ。

 奥へと進むと昆虫やとかげ、スライムなど多種なモンスターと遭遇した。

「なかなか強い!」

「だが、十分やれるな!」

「ユウナちゃんの防御魔法や攻撃補助のバフが効いてるよ!」

「うん、補助や防御は任せて!」

 俺たちはモンスターを倒しながら奥へと進む。 

 いくつかの部屋には宝箱がおかれていた。 が先に調べてからにすることにした。 

(罠などがあった場合危険だからな。 二人によると、強さに関係なく危険なものがあるらしい。 テレポートやら石化や全員マヒとかだと最悪全滅もあり得るし...... これは!?)

「おい」

 俺がいうと、ラクレイとガルムはうなづく。

「ど、どうしたの......」

 橘さんがキョロキョロしている。

「ああ、かなり高い魔力を感じる......」

 進むと奥に大きな両扉がある。

「これはエンプレスアント以上だな」

「......うん、そうだね」

「あのエンプレスより......」

 ガルムとラクレイの話を聞くと、橘さんがそう一言いって口をつぐんだ。

「さて、どうする? 一度引き返すか......」

「モンスターの駆除も依頼に含まれてるんだが」

「前のお金もあるけど、僕たちなら倒せる可能性が高いよ」

「......みんなに従うわ」

「そうか...... 取りあえず確認しよう。 扉がしまらないように、開けてから遠目で確認する」

 俺がいうと三人はうなづいた。 俺は剣を抜き、橘さんが防御魔法をかけ直し、両扉をガルムとラクレイが開く。

 ゆっくり扉があくと、部屋の奥に複数の首をもつ巨大な蛇がそこにはいた。 動いていないので眠っているようだ。

「おい、まじか...... ヒュドラだぜ」

「うん、始めてみた......」

 ガルムとラクレイがそう小声で話す。

「ヒュドラ...... 聞いたことあるような」

「確かギリシャ神話の蛇の怪物だね......」

 そう橘さんがいう。

(そういえば、向こうの世界は種族ごとの言語がことなるから、魔力で言語を翻訳してたんだっけ、だからこっちの言葉で翻訳されて、ヒュドラになっているのか)

「それでどうする...... このまま撤退するか?」

「あいつはBランクモンスターだ。 特に再生と毒が厄介だな」

「だね。 それに倒せればかなり高額で売れる。 けど毒が......」

「私なら防毒の魔法アンチポイズンシールドをかけらるし、扉はしまってないから最悪逃げられるよ」

 三人がそういう。

「わかった。 じゃあ橘さんは防毒を、俺たちは前にでる」

「わかった!」

「おう!!」  

「うん!!」

 俺たちは扉の中へと走り出す。 ヒュドラの複数の頭が目を開けてその鎌首をあげた。

「ハウリング!!」

「グランドゲイザー!」

「ライトブリッドエクスプロージョン!」

 ガルムのハウリングはヒュドラの数頭をしびれさせ、ラクレイの岩の牙はヒュドラの複数の首を貫き動きを封じた。 俺の炎光弾はそのヒュドラの胴体に穴をあけ燃え盛る。

「よし! いや!」

 ヒュドラの傷はすぐに回復し始めていた。

「くっ! 再生力が速いな! 俺とラクレイで首を落とす! マモルは再生しないように攻撃してくれ!」

「わかったガルム!」  

 ガルムとラクレイは首を切りつけている。 俺は傷口に魔法を連打して再生を止める。

(とはいえ、止めるのがやっと...... ラクレイとガルムが首を落としているが、時間はかかるが生えかわってる...... どうするか、やはり同時魔法をやってみるか...... ただ一発でやれるか)

「わ、私がやってみる!」

 近づいた橘さんがそういった。

「なにかあるのか」

「ええ、ひとつだけ魔法が、だけどかなり魔力を集中するので、その間お願い......」

「......よし、ガルム、ラクレイ、あと少しだけ動きを止めるぞ!」

「わかった!」

「うん!」

 俺もガルムたちに加わり、首を落としにかかる。 しばらくヒュドラの攻撃をしのいだ。 

 ーー万物の根源たる力を、理に抗い留めさせよーー

「フォースアウトサイクル」

 橘さんが杖を地面につくと、そこから光る波動が放たれ部屋を包んだ。

「魔法で魔力を止めたわ! 今ならもう再生できないよ!」

 そう橘さんは叫ぶ。

「よし!! 毒液を避けつつ首を落とす!」

「おお!!」

「わかった!!」

 俺たちは毒液を避けながら、首を切り落としていき、最後の首を落とすとヒュドラは動かなくなった。
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