イセカイトレーダー ~取引《トレード》で異世界に建国する~

曇天

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第二十七話

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「ないな......」

「おかしいわ...... このあたりのはずなのに......」

 アンナが不思議そうにしている。 

 二日はあるいて、目印を書きながらかなり奥へと進むが、湖は見つけられない。

「しかもマジックメジャーメントで、魔力をはかっているのに、いまいち位置が狂うんだよ」

「何か位置を阻害するものなんかがあるのか? うっすらと霧があるだけだぞ」

 そうシモンズが腕を組んで左右をみる。 

「......かもしれないな。 リリンそういう妨害を除外するアイテムは作れないのか」

「ええと、魔力でつくられた幻影を除去するものなら......」

「幻影か...... ああそれでいい、つくる素材を教えてくれ、モンスターを魔召石に変えてるから、これで取引する」

 その素材を聞いた俺は魔召石で交換した。

「少しまってくださいね!」

 リリンはアイテムをその場で制作する。

「できました! 【破幻のランプ】です! その灯りを当てるとその魔力の効果を一時的に消し去ります」

 そのランプを借りてあたりを照らしながら歩く。

「あっ!!」

 その照らした光が木々を透かして道がみえた。

「幻影だったってこと?」

「みたいだな。 魔法の類いなのか、モンスターが作り出していたのかはわからないが、とりあえず進むしかない」

 俺たちはその道を進んだ。  

  
「あっ! あった!」

 見えてきたのは対岸が見えないほどの大きな湖だった。 
  
「でかいな。 海じゃないだろうな」  

「ここは内陸部ですよ」  

 シモンズとリリンはそう話している。
 
「大丈夫...... そんなに近づいて」

 湖には魚も泳いでいて、きれいな湖面にみえる。

「透明度は高いな。 魚がいるってことは飲めるみたいだな」

「まって! 何か近づいてくる」

 湖に大きな影がみえる。 

「なんだ!?」 

 水面に何か大きな煙突のようなものが飛び出すと、そこから大量の霧がでて、周囲を包む。
  
「霧...... みんなそばに!」

「くそっ! 全くみえないぞ!」

「何か近づいてきます!」 

「人!?」 

 霧のなかから人影が現れる。 それは騎士だった。 次々と現れると剣を抜き襲ってくる。

「幻影!?」 
 
「いや! 槍でついても消えない!!」

 シモンズが槍で突くと剣で防いだ金属音がする。

「本物です!!」 

「アンナ...... は無理か! 今蒼氷球をつくるから、それまで持ちこたえてくれ!」 

「いいえ......」

 アンナは光る剣を最大値まであげて、騎士たちを消し去った。

「すげーな嬢ちゃん」 

「アンナ、よく斬れたな。 人を切りたくなかったんじゃないのか?」

「......あの鎧は、グナトリア騎士団のもの...... 今は存在しないわ」

「幻ってことか」

「だけど感触はあったぞ」

「ええ、音も聞こえました」

「どうなってる?」   
 
「まあ、それも多分あれのせいね」

 そういうと、アンナは剣で湖の方をないだ。 すると霧がはれる。 そこには水管をだした島のように大きな白い貝があった。

「こいつか! 幻だしてたやつ! とりあえず凍らせるか!」

 蒼氷球を投げようとすると、アンナが止める。

「まって、グナトリアの昔話に幻を見せる大きな貝の話があったわ。 それはファントムシェルといって、この国を守っているとも......」

「じゃあ、敵というわけでもないのか」

「元々モンスターは古代の人が魔力を使って産み出したとされますから、敵対しないものもいるのかもしれませんね」

 シモンズにリリンがそういった。

「まあ、邪魔しないなら別に倒す必要はないが...... なんで幻覚を見せたんだ」

「わからないわ」

 その時水管から水が噴水のように吹き出した。 その水が雨のようにふってきた

 ガン!!

「いた!!」

 俺の頭に何かが当たる。

「これは......」 
 
「痛いな! なんだよ!」

「ほら箱よ」

 それは手に乗るような箱だった。

「こんなもんぶつけんな!! 死ぬかもしれないだろうが!」

 聞こえたのかいないのか、ファントムシェルはブクブクと湖に沈んでいった。

「その箱、紋様がありますね」

「ええ、これはグナトリア王家の紋様よ」  

 アンナが開けた。 中には赤い宝石が入っている。

「宝石か」

「みたいだわ。 取引《トレード》で調べられる?」

「ああ、取引《トレード》!? なっ! これ1000万の魔力値だぞ......」

「1000万!? 一体なんなの!?」

「えっと、【神界晶】ってあるな? 知ってるか」 

「神界晶...... 知らないな」

「私も聞いたこともないですね」

「ええ......」

「まあいいか、とりあえずアンナがもっていてくれ」

「構わないけど......」

「正直そんなもの取引《トレード》には使えん。 複製も無理だ。 しかも誰かに盗まれるのは困る。 特にベインツには」

「そうですね。 さすがにこれは扱えないですね」 

「まあ、マルキアかアンナかどちらかが持つのが安全だろうな。 マルキアはターナを守らないと行けないから、必然的にアンナが持つのが妥当か」 

 シモンズがそういった。

「わかったわ。 これは預かっておく」

「さて、帰るか」

 帰った俺たちは目印をたよりに、湖から町までの壁と水路を作り始めた。

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