イセカイトレーダー ~取引《トレード》で異世界に建国する~

曇天

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第三十二話

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「角!? 魔人か!」

「知っているのか...... そうだ。 私は魔人」

 アーシェイカはそういう。

「私たちにも魔性病の人がいるんです! 魔人のまま正気でいられるならその方法を教えてください!」

 クリュエが必死に嘆願する。

「魔性病か...... 教えたいのはやまやまだが、私も魔力でこの体の成長を止めることでしか、抑えてはおけないのだ......」

「それでその幼い体なのね」  

「そうなのですか......」 

 クリュエが肩をおとした。

「すまんな、そのおかげで魔力も物理的な衝撃も弱めることはできるようにはなったがな」

「なるほどそれで剣を素手で......」

「まあ、話しはあとだ。 先にこのものたちを外へと連れだそう」    

 拘束したものたちを冒険者たちと外へと連れ出した。


「さて、改めて私はアーシェイカ、ギルド長だ。 君たちには感謝している」  

 ギルド本部があるナミエドという国にきていた。

「まあ、それはいいけど、なぜヴァルヘッドが関わってきてんだ」

「ふむ、彼らはどうやら魔召石という鉱石を探そうとしていてね。 多くの冒険者に依頼していたんだ。 私はそれを不審に思って調べていた。 そうしたら、彼らに行き着いたのだ」

 そうアーシェイカは目をふせた。

「ああ、魔王復活のためのエネルギーにするために探してたのさ」

「なっ! 魔王!!」  
 
 驚くアーシェイカにいきさつを話した。

「なんてことだ...... まさか魔王とは。 私は異変に気付いて魔召石絡みの依頼受付を拒否したんだが......」

「なるほど、それで繋がったな。 あんたを排除して魔召石を手に入れたかったってことだな」

「ええ、それなら彼らが関わってきた理由も納得がいきますね」 

「あなたを罠にかけるためにBクラスを使ったのかしら......」  

 クリュエとアンナがそういうと、アーシェイカは考えている。

「そうだろうが、魔召石のことだけではないと思う...... そこでだ。 君たち三人に頼みがある」

 アーシェイカが頼んできた。


「ここが、そのアビュラの滝か......」

 巨大な滝の前に俺たちはきていた。

「本当にここに神殿があるのでしょうか?」

「アーシェイカの話だとこの滝の裏側に神殿があるらしいわ」

「まあ、いってみよう。 クリュエ頼む」

「はい」

 ーー大いなる光よ、その加護をもって、我らを守りたまえーー

「シャインメンブレン」

 俺たちを包むように光の膜がはられ、激しく落ちる滝の中へとはいる。

 滝の裏は大きな洞窟になっており、そこには巨大な扉があった。

「これが昨日、アーシェイカのいってた扉か......」


「頼みってなんだ?」

「実は私を狙ったのは、ある場所のことが関係してると思うのだ」

「ある場所......」

 そうアーシェイカは語りだした。

「かつてこの世界には魔人がいた。 その者は魔力によりこの世界を統べようとした。 その話は知っているか?」

「最初の魔人か......」

「そうだ...... 魔人はその膨大な魔力を使い人々を支配しようとした。 モンスターを操るアイテムを使って支配したという」

「モンスターを操った!!?」

「そんなことができたのね」

 クリュエとアンナは驚いている。

「それでも人々はそれなりの秩序と幸福をえた。 なぜなら争いや奪い合いなどが、起こらなくなったからだ」

「まあ物事、悪いことがあればいいこともあるな」

「そう。 だが人々のなか巨大な力を持つものがうまれ、魔人に対抗するための魔力をつかった手段を与えた」

「手段...... 魔法ですか!」

 クリュエか声をあげた。

「そうだ」

 アーシェイカの答えに俺はひっかかる。

「ん? 魔法は魔王によって人間に与えられたんじゃないのか?」

「そういう逸話もあるが、私が文献などから、しった話ではそうではない」

(あの女の人がいってた魔王の話の方が本当だよな。 実際魔王もいた。 だけど......)

「そう魔法を手に入れた人間たちは、なんとか魔人を倒すことに成功する。 だが大きな力を持ったことで、その魔法を使い自らの欲を満たすようになる」

「だったら魔王はなんなんですか?」

 アンナが聞くとアーシェイカは首をふる。

「わからないな。 ただ魔王は少女によって倒されたと私が読んだ文献にはあった」

「少女によって?」

「うむ、その少女がどこかに国を作ったとされるが、よくわからない。 何せ何百年も昔の話だ。 どこかで嘘が混じってるのかもな......」

「それでその話がなんなんだ?」 

「実は、その最初の魔人が使ったとされる場所の鍵がこれだ」

 そういって宝石のついた鍵を見せた。

「君たちにはその場所にいってその鍵を使い、何かあるのか調べてきて欲しい」

 そういってアーシェイカは俺に鍵を託した。

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